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「こんなこと両親に知られたら…」“楽勝の老後”が約束されていた51歳元会社員、年金機構から届いた「赤い封筒」に戦慄【FPが警告】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月5日 11時15分

「こんなこと両親に知られたら…」“楽勝の老後”が約束されていた51歳元会社員、年金機構から届いた「赤い封筒」に戦慄【FPが警告】

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入することが義務付けられています。そのうち、自営業者や農業者、学生、無職の人は第一号被保険者として国民年金保険料を納めなければなりません。将来の年金は少なくても構わないから…と、国民年金保険料を滞納し続けた自営業の伊藤博さん(51歳)のもとに、国から赤い封筒が届きました。この封筒の中身はいったい何だったのでしょう? 今回は伊藤さんを例に、赤い封筒の正体ととるべき行動について南真理FPが解説します

「国民年金保険料の想像以上の高さ」に請求を無視し続けた結果…

伊藤博さん(51歳)は、大学卒業後に親元を離れ、会社員として建築関係の企業に勤務していましたが、1年前(当時50歳)に早期退職をしました。

これには事情がありました。伊藤さんの実家は地元でも有名な地主で不動産業を営んでいるのですが、父の邦夫さんが80歳と高齢になり、母の小夜子さんから家業を引き継ぐためにそろそろ帰ってきてほしいと言われたのです。

長く働き愛着もやりがいもあった職場を離れることに悩やまなかったわけではありません。しかし、親の頼みを断ることはできず、同い年の妻、みゆきさんと共に実家に帰ることにしたのでした。

家業を継ぐために会社員から自営業者となり、不慣れな社会保険の手続きもすませました。会社員の時には年金を含む社会保険料は給与天引きだったため、支払金額を意識することがありませんでしたが、夫婦二人分の国民年金保険料の案内が届き、その金額が想像以上に高いことに驚いた伊藤さん。

案内に記載されていた請求額は、一人当たり月16,980円、年にすると203,760円です。夫婦二人では年407,520円という、かなり大きな金額になります。

これを見た伊藤さんは、「会社員時代から厚生年金を28年も払ってるし、親からの相続で不動産収入も見込めるんだから年金に頼らなくても大丈夫だろう」という安易な考えで、国民年金保険料の請求を無視し続けてしまいました。

何度も年金の支払いを促す案内が届いていたものの伊藤さんは年金を滞納し続けました。そして年金滞納から1年ほどたった夏のある日、年金事務所から“赤い封筒”が届いたのです。

国民年金保険料を滞納し続けると届く“赤い封筒”は最後通告

国民年金法第88条 に被保険者が保険料を納付することは義務であると明記されています。さらには、世帯主及び配偶者は国民年金保険料を連帯して納付する義務があるのですが、意外とその事実を知らない方もいるのではないでしょうか。

国民年金保険料は納付期限までに支払わないと、日本年金機構の職員や委託された民間事業者から電話や文書によって「納付推奨」 が実施されます。

国民年金保険料を支払う能力がありながら、度重なる「納付推奨」を実施しても国民年金保険料が納付されない場合、「特別催告状」が届きます。「特別催告状」の封筒の色は、信号のように青→黄→赤(ピンク)と変化し、色が変わるにつれ深刻度が増します。

この赤い封筒に入った「特別催促状」の指定した期日までに未納の保険料を納めないと「督促状」が送られます。この「督促状」は、被保険者に世帯主や配偶者といった連帯納付義務者に対しても送付されます。「督促状」の期日まで待っても国民年金保険料の納付がなされない場合、財産の差押えや延滞金が発生することになるのです。

「自分だけでなく親にまで影響が?」財産の差押えに震え

赤い封筒に書かれた「財産の差押え」の準備を始めるという内容に驚き、慌てて知り合いのファイナンシャルプランナー(FP)に相談に行った伊藤さん。FPはなぜ国民年金保険料を滞納し続けたのか尋ねました。

「そもそも年金を必ず払わなければいけないものという認識が低く、国民年金保険料が想定以上に高いなと思って放置してしまいました……。実家が不動産業を営んでいるので、将来、親の不動産を相続すれば、不動産収入がもっと入ってくるし、年金に頼らなくてもいいかなと思ったんですよ」と、年金への意識が低かったことを正直に話しました。

伊藤さんは現在、実家の不動産業の手伝いをしており給与として年500万円ほど受け取っています。将来、父である邦夫さんの不動産を相続するとなると、不動産収入が年1,500万円ほどになると父から聞かされていました。それもあってか、自営業になってからの国民年金保険料は払わなくてもいいかという考えに至ってしまったそうです。

FPは、差押え対象の財産は、給与や預貯金、所有する不動産などに及ぶことを説明しました。しかも、仮に預金が差押えられた場合、未納になっている金額だけではなく、口座の預金全体が差押えられ、未納分を支払うまで預金を引き出せなくなってしまうことを伝えました。

さらには、納付義務者と連帯して世帯主や配偶者の財産も差押えられる可能性があることを説明したところ、伊藤さんの顔色が蒼白になっていきました。伊藤さんは現在、父母と同居しており、父邦夫さんが世帯主となっているからです。

FPの説明を聞いたあと、伊藤さんは「こんなことを両親に知られるわけにはいかない」と、大急ぎで1年分の夫婦2人の年金約40万円を年金事務所に納めに行きました。

後悔先に立たず、年金は一生涯続く老後の大切な収入源

伊藤さんは未納分の年金を納めた後、再びFPのもとを訪れました。

「本当にバカなことをしたなと思っています。期限までに支払うことができたので延滞料や差押えも免れることができました。恥ずかしながら赤い封筒がきてから色々と調べたことで、年金は支払い義務があって、財産の差し押さえや、延滞料がかかることをはじめて知りました。両親にも迷惑をかけてしまうところでした」と、とても反省している様子でした 。

繰り返しになりますが、年金は納付義務があります。老後を迎えても、他の収入や貯えがあるからという理由で、納めないということは通用しません。そして、何よりも年金は老後の大きな収入源になります。保険料を未納とすることで年金が減額され老後生活に支障をきたす可能性も出てきます。もしも、経済的に支払うことが困難であれば、納付を猶予または免除してくれる制度もあります。

伊藤さんも自営業になったタイミングで調べるなり、専門家のアドバイスを仰ぐことができれば、ここまでバタバタすることはなかったはずです。国民年金保険料の請求書が届いたら、放置せずしかるべき対応をするようにしましょう。

南 真理 ファイナンシャルプランナー

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