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愛妻を亡くし、強烈な喪失感と後悔に打ちのめされた日々…〈おひとりさま〉になって初めて知った「人生の意味」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月22日 7時0分

愛妻を亡くし、強烈な喪失感と後悔に打ちのめされた日々…〈おひとりさま〉になって初めて知った「人生の意味」

たびたびもらうことがある「贈り物」。形のない、代えがたい「贈り物」は誰にもらいましたか。現在、年金を受け取りながらフリーのコンサルト・YouTuberとして活躍するぺこりーの氏は妻からの「贈り物」を回想しながら、妻を失って初めて知った「人生の意味」について語ります。本記事は、大切な人がいる、あるいは大切な人がいたシニアに向けて、ぺこりーの氏の著書『妻より長生きしてしまいまして。』(大和書房)より一部を抜粋してご紹介します。

今でも手元にある大切なもの

贈り物をもらう機会はたくさんある。一番わかりやすいのは自分の誕生日、その他にクリスマスやバレンタインデー、入学や卒業、引っ越しなどなど。私もこれまでたくさんの贈り物をもらう機会があった。その中でも、記憶に残っている贈り物がいくつかある。

東京の会社にスカウトされた時に、お祝いでもらったイタリア製の皮のバッグ。私が大好きだった「LIN-KU(リンク)」というメンズブランドのバッグだ。イタリア製の革なので、色が鮮やかでとてもおしゃれなバッグだった。その革の色は黄色と黒。もらってからもう15年以上も経つが、まだまだ十分使える。「LIN-KU」ブランドは、他にも名刺入れと財布も一緒にもらったので、総額で15万くらいしたのではないかと思う。

あとティファニーっぽく、ふたつのリングがクロスしているように見えるプラチナのリングももらったことがある。私の誕生日プレゼントだった。プラチナを男がつけていても、シルバーリングにしか見えない。イエローゴールドのように嫌味な主張がないから、本当は高級なジュエリーなのにあえてシルバーに見えるという、そのチョイスに頭が下がる。そのリングは、ジュエリーデザインの職人さんに手作りしてもらったものらしい。

誕生日といえばよくもらったのが、私の大好きな芋焼酎「森伊蔵」だ。今でも相変わらずのプレミア価格だが、もっともこの焼酎がブームだった頃はとんでもない価格だった。個人的には、この贈り物が一番嬉しかった。

私はファッションが好きだったので、洋服や靴などもたくさんもらった。今でも手元にあるが、イギリスのブランドの「KATHERINE HAMNETT(キャサリンハムネット)」の革靴とマフラー。このブランドは細身なので、今の私が着れる服はないが、当時はまだ私も今よりは細かった。

人生という贈り物

もらったのは物ばかりではない。「人の道を教わる」という贈り物もたくさんもらった。親の愛情を知らずに育った私は、自分を産んでくれた親に感謝し愛することを教わった。

他にも、友人を大切にすること。一度でも縁があった方には礼を尽くすこと。間違ったことには、自分が前に出て声をあげること。動物を愛すること。思い出は財産であること。などなど。人として生きるうえで大切なことを、たくさん教えてもらった。これも大事な贈り物だ。

1万回近くの手作り弁当。数えきれないほど食べた、毎日の美味しいご飯。私の服を洗濯し、私の布団をベランダに干し、毎日掃除機をかけ、お風呂を沸かし、私が仕事から帰ったら、毎日気持ちよく過ごせるように気遣ってくれていた。そうだ。ここまで書いたことはすべて生前の妻からもらった贈り物なのだ。

そして一番大きな妻からの贈り物は、娘だった。かけがえのない命という贈り物は新たな命へとつながり、遠すぎてよく見えない未来まで続くのだろう。私は、どれだけ多くのものを妻からもらったのだろう。しかしもう……、私がお返しできることは何ひとつない。

今までたくさんの贈り物をありがとう。そして遠い道のりを一緒に歩いてくれて、本当にありがとう。ここから先は、ひとりで歩くよ。

いつか天国で再会した時のために

7年前の夏は、強烈な喪失感と妻を助けられなかったという後悔とで、身も心もボロボロになっていた。

男のくせにいつまでもメソメソ泣いて、酒に逃げて、毎日二日酔いで会社に行く日々。今、こうしている間も世界では数秒ごとに人が死に、きっと私のすぐ近くにいる人たちにも死は訪れていて、でも周りの人たちが私のようにメソメソ泣いているのを見たことがない。

自分だけが弱く、惨めで、いつまでも悲しみに明け暮れている。妻の死とともに、自分の愚かさや小ささを否応なく実感させられて、打ちのめされた。悲しみの渦の中から這い出せず同じところをグルグル回るだけ回って、ようやくたどり着いたところはまた悲しみの崖っぷち。つくづく男は、妻に先立たれると情けないと思った。男は弱いな〜。

そんな時に、やはり私同様にご主人を亡くされ、女手ひとつで子どもふたりを育てておられる女性と出会った。その方からこんなことを言われた。

「いつまでも泣いているのは自分だけで、奥様は病気の苦しみから解放されて、あの世でニコニコ笑ってますよ」

そうなのだ。自分で自分を悲しみのどん底に突き落として、這い上がれずにもがいているだけ。毎日をただ泣いて過ごすのは、せっかく自分は生きているのに、無駄な日々を過ごすことになる。妻は、生きたくても生きることができなかった。だったら前を向こう! 前を向いて一歩足を踏み出そう! 本当にその女性の言葉に救われた思いだった。

あれからおひとりさまにもだいぶ慣れた。ひとりで映画も観にいけるようになった。

ひとりでスーパーで買い物をして、ひとりで料理をして、ひとりで食べる。ひとりでテレビを見て笑って。ひとりで寝る。たくさんの人たちに励まされ、時には誰かと一緒に涙し、酒を飲み、思い出を語るうちに、だんだんと生きる気力がわいてきた。

見たくもなかった妻の写真や服を整理してやろうと思った。妻が、人生のほとんどを過ごしたキッチンにも立ってみた。よ〜し! 俺も料理でもしてみるか!そんな気持ちまでわいてきた。

おひとりさまを楽しむ

人間は、何かを手に入れると、代わりに何かを失う。私は妻を失ったが、そのおかげで人生の意味を知った。

人はなぜ生きるのか……。人間の永遠のテーマだが、私はそれがわかってしまった。しかし、それは妻を失うことでしかわからなかったと思う。毎朝、妻の遺影に手を合わせる時に、生前に伝えられなかった感謝の気持ちを声に出して言うことにしている。その行為だけが妻への供養のような気がして、私はできるだけ長生きして、できるだけたくさんの感謝の言葉を声にして伝えたい。

手を合わせている間は、過去のいろんなことが思い出されて、とても楽しい時間となっている。今のひとり暮らしも、自由な時間も楽しもう。たくさんの思い出とともに。朝の通勤電車もタイムカードも、もう何もないのだ。あるのは、ひとりでは使いきれないほどの時間だけ。

そして、いつか妻に伝えたい。私が天国に行って妻と再会した時に、ひとりの暮らしもなかなか楽しかったよ、と。きっと妻は、それをニコニコ笑いながら聞くことだろう。

ぺこりーの コンサルタント・YouTuber

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