悔やんでいます…疎遠になっていた〈年金14万円・80歳の父〉が逝去。20年ぶりに訪れた実家で遭遇した「まさかの惨状」に衝撃
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月26日 11時15分
![悔やんでいます…疎遠になっていた〈年金14万円・80歳の父〉が逝去。20年ぶりに訪れた実家で遭遇した「まさかの惨状」に衝撃](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_62257_0-small.jpg)
(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢化によりさまざまな問題が深刻化していますが、そのひとつが「孤独死」。主に一人暮らしの人が誰にも看取られることなく、その人の住居などで突発的な疾病などによって死亡することを指し、特に高齢者に多いとされています。さらに孤立を深めるおひとり様の高齢者は多く、発見が遅れることも珍しくありません。そんな孤独死の現場には、ヒドイ惨状が広がっていることも……。
家族を崩壊させた父親に嫌悪感…20年、会話らしい会話もなく
――どちらかといえば、憎んでいました
中学生のころ、父の不倫により家庭が崩壊したという40代男性。「あの頃は、不倫相手から母に電話がかかってきたりと、本当に大変だった」と振り返ります。
結局、男性が高校に進学したタイミングで両親は離婚。母と男性と弟は、母方の実家に引越し、父親は20年の住宅ローンが残る家に住み続けていたといいます。
――結局、不倫相手の女性にも捨てられて……ざまーないですよね
以来、ひとり暮らしを続けてきた父親も80歳。本来であれば傘寿を祝うのかもしれませんが、中学生という多感な時期に大騒動を巻き起こした父親への嫌悪感はいまなお拭いきれず……両親が離婚してからは顔を合わせることはほとんどなく、父が住む実家にも20年ほど行っていないといいます。そのため、弟も含め、父親の傘寿を祝うという発想はなかっといいます。
ただ「そのことが今は悔やまれる」と男性。春先、父親が急逝したのです。ポストに郵便物がたまっていると、近所の人から叔父に連絡が入り、そこで行ってみると……すでに亡くなって1ヵ月ほど経った父親がいたといいます。気温が低い日が続いていたため、発見も遅れたのでは、ということでした。
――20年ほど会話らしい会話もなく、顔を合わせることもほとんどありませんでした。ひとりどう亡くなったかと想像すると……傘寿くらい祝ってあげればよかったですね
東京都の資料によると、2020年、23区で自宅で亡くなった人は8,950人。そのうち単身世帯は男性で4,206人、女性が1,890人。6,000人あまりが孤独死しました。
また年齢別にみていくと、65歳以上の高齢者の孤独死は、男性が3,132人、女性が1,594人、合計4,726人。高齢男性の孤独死が多いことが分かります。
内閣府『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』によると、高齢者の2~3割の人が、「ひとりだ……」とか「自分は孤立している……」と多少なりとも感じていることが分かります。
・自分には人との付き合いがないと感じることがある…「常にある」9.3%、「時々ある」30.7%
・自分は取り残されていると感じることがある…「常にある」3.4%、「時々ある」19.0%
・自分は他の人から孤立していると感じることがある…「常にある」3.5%、「時々ある」17.7%
20年ぶりの「実家」は驚きの変わりよう
弟と話し合い、最後の親孝行として葬儀を行うことにしたという男性。参列したのは親戚10名程度というものでしたが「やらなかったら後悔したと思うので、やってよかった」といいます。
ただ今後のことを考えると「少々面倒だな」とポツリ。問題は父親の相続まわりのことでした。長らく顔を合わせていない父親。相続人となるのは男性と弟の2人だろうと考えられましたが、父親がどんな生活をしていたのか、どれほど遺産があるのか、まったく想像できません。また本当に相続人は2人だけなのか、調べる必要もありました。
とりあえず弟と状況把握のために、父親が住んでいた実家を片付けにいこうということになったという男性。早速、週末に訪れた2人。そこにあったのは変わり果てた実家でした。
――私の記憶にある実家は、母がいつも綺麗に掃除をしてくれていた家だったので……衝撃でした
外壁や屋根はボロボロ。手入れされていた庭は、背丈ほどの雑草が生い茂っています。さらに家の中に入るとゴミの山で悪臭も。口呼吸でないととてもその場にはいられません。まさにそれは「ごみ屋敷」と呼べる惨状。
環境省が全国1,741市区町村に行った『令和4年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書』によると、直近5年間でごみ屋敷事案の認知している自治体は661で4割弱。ごみ屋敷事案の認知方法は「市民からの通報」が88.7%であり、あくまでも見るからに「ごみ屋敷」となっているものの棟数。「扉を開けたら、ごみでいっぱい」というものは含まれません。
――こんな家を相続といっても……売れもしないのでは
総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、日本全国にある住宅は6,502万0,700戸。そのうち「空き家」は899万5,200戸で、空き家率は13.8%。今後、高齢化と共に相続の数は増えていき、男性のような「相続といっても困る」というような住まいは増えていくだろうといわれています。
空き家のままだと腐敗や損壊が進み、地域の防災面や治安にマイナスの影響を与える可能性があります。そこで空き家を放置すると罰金を科す法律が施行され、空き家増を食い止めようという動きも。
男性の場合、何をするにしてもまずは片付けないことには先に進めないと、遺品整理も兼ねて業者に依頼することに。その額、50万円……かなり痛い出費でしたが、整理した結果出てきたのが、父の貯金通帳。父がもらっていた年金は月14万円ほどで、貯蓄は数十万円のみ。
――余裕があるとはいえないなか、ひとり質素な暮らしをしていたんだろうな
そんな父親がどんな最期を迎えたのか……男性はさらに後悔の念が深まったといいます。
[参照]
東京都保健医療局『東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)』
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