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年金手取り月15万円…「後悔しています。」妻と2人暮らしの都内在住65歳・元会社員の悲鳴【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月31日 11時45分

年金手取り月15万円…「後悔しています。」妻と2人暮らしの都内在住65歳・元会社員の悲鳴【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の暮らしを支える年金。受給者のなかには受給額が少ない人もいます。年金額が少ない人にはそれぞれに原因があって……。本記事では、安達さん(仮名)の事例とともに、高齢期に入ってからでも老後資金を増やせる方法についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

58歳で再婚、老後をともにするパートナーを見つけたが…

「後悔しています」

悲鳴をあげる安達崇さん(仮名/65歳)。現在は東京都内で妻と2人暮らしをしています。

安達さんは大学卒業後、東京都内の中堅企業で働いていました。退職時には、400万円程度の退職金を受け取り、貯金と合わせると老後資金に回せる額は500万円程度です。

安達さんは58歳のころに5歳年下の晴美さん(仮名/現在60歳)と再婚しています。晴美さんは25歳で結婚しましたが、元夫のDVにより35歳で離婚。DVがきっかけで精神障害を患い、子供が成長するまで生活保護を受けながら子育てをしていました。子供も大きくなり就職し、いまはパートで働けるほどに回復していて、パート先で常連だった安達さんと親しくなり結婚することになったのでした。

再婚同士、お互いの生活ペースを大事にしながら、老後をともに過ごしていければと考えていました。しかし、老後はそんな2人の理想を大きく裏切るものとなってしまったのです。

公的年金の受給額

安達さんは実際に年金を受給し始めると、その手取り額の少なさに驚いていました。「妻と再婚して孤独な老後を免れたと思っていましたが、2人暮らしなのに、こんなにも年金収入が少ないとは……。老後は1人でならなんとかなりそうだったんですが、人生の最後の伴侶を望んだばかりに……」振り込まれた年金額をみてがっくりと肩を落とします。

安達さんの年金受給額は、月額にして約15万円程度。安達さんは40歳近くで一度転職しており、それまで勤務していた会社では厚生年金に加入しておらず、自分で国民年金保険料を支払っていました。

妻の晴美さんはまだ年金を受け取っておらず、パート勤務を続けていますが、そこから受取れる金額は月9万円程度です。

生活費は切り詰めて20万円程度に抑えることができます。安達さんの年金と晴美さんの収入、そして晴美さんが公的年金を受給開始するまで受取ることができる加給年金年額約40万円を合計すれば足りてはいますが、問題は晴美さんのリタイア後です。

2人とも年金生活に入ると…

晴美さんの年金の受給額の見込みは、月額で約3万円程度だったのです。晴美さんは前の夫と結婚している期間は国民年金保険料を納めることができず、未納が続いていました。そして、離婚後は生活保護を受けながら納付免除を受けていたため、免除期間中の分の年金額は半分になります。これにより、年金の月額はたったの3万円となってしまうと見込まれ、晴美さんの分の加給年金年額約40万円も給付されなくなってしまうのです。

夫婦の年金額を合計しても月15万円程度しかなく、都内で切り詰めて生活しても毎月の支出は20万円ほどは必要、毎月5万円程度が赤字になってしまいます。

また、安達さんの資産は500万円ほどで、いまは減らさずに生活できていますが、2人とも年金生活に入ると8年ほどで資金が枯渇してしまいそうと予測されます。短時間でなにかできる仕事はないかと考えて仕事を探してはいますが、年齢が理由でなかなか採用に至りません。

少ない公的年金のなかでどう生活していくか、安達さんは頭を抱えるのでした。

年金未納への穴埋め

まず、今回の安達さんの問題点として、公的年金の受給額を事前に把握せず、老後にどの程度お金が足りないのかを把握しないまま老後を迎えてしまったことがあげられます。

妻の晴美さんは、結婚後に扶養に追加されて年金保険に加入していましたが、それまでに未納期間、また免除を受けていた期間があり、公的年金が通常よりも少ないことは十分予測できたことです。

また、現在は勤務時間が週20時間以上でも厚生年金に加入することが義務付けられている会社もあります。週20時間を超えて働いていれば厚生年金を将来受け取ることができるだけでなく、国民年金の保険料を未納だった期間、減免を受けていた期間で減額されている基礎年金に相当する分を経過的加算として上乗せして受け取ることができ、未納や減免期間の分の年金の穴埋めが可能なのです。

そのため、勤務時間を少しだけでも増やして厚生年金に加入することで老後の年金を増やすことが可能です。これは、いまからでも遅くないことです。そして、公的年金は最長で75歳まで繰下げして受給することができ、それによって受給額を増やし、収入を増やすことも可能です。まだ公的年金を受給開始していない妻の晴美さんは今後検討すべきことでしょう。

夫婦で働いて収入を得て、可能な限り資産形成を行い、妻の晴美さんの厚生年金加入と公的年金の繰下げも活用しながら、一生黒字でいられる計画を順序立てて考えることが必要です。

国民年金第一号被保険者のうち2割の人が年金未納

今回は公的年金が少ない安達さんご夫婦の事例をご紹介しました。安達さんのようなケースは実は珍しくなく、自営業者や、本来厚生年金に加入しなければならないはずだけれど加入せずに長期にわたり未納期間がある方もいます。また、経済的事情により免除を受けている場合も。

厚生労働省年金局が行った『令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況』によると、国民年金第一号被保険者のうち80.7%が納付しているというデータがあり、20%近くが未納であるという結果があります。

収入が低く納付が困難であるという場合には、保険料の減免を受けることも可能で、保険料の減額、もしくは免除を受けることも可能です。この場合、将来の年金が減額されることには注意が必要です。

また、もし未納期間がある場合は、60歳以後も厚生年金に加入することで経過的加算として未納分を厚生年金に上乗せして受け取ることもできます。60歳以後も厚生年金に加入することで老齢厚生年金を増やすこと、そして未納分の基礎年金の穴埋めも行うことができますので、こういった制度も活用するといいでしょう。

大事なことは自分が望む生活を行うために、いまなにをしなければならないかを考えることです。安達さんが孤独な老後ではなく晴美さんと2人で過ごすことを選んだことは決して分不相応な願いではありません。自分が望む生活を行うために、制度を知り、いまの自分に与えられた選択肢のなかから最適な手段を組み合わせ、最大限豊かな人生を送ることができる資金計画をいまから考えていけばよいだけでしょう。

小川 洋平

FP相談ねっと

CFP

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