数千億円規模の壮大なプロジェクトも実現…世の中に役立つ〈株式会社〉のスゴイ仕組み【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月27日 9時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
世の中には数多くの会社がありますが、その中でも最重要なのは「株式会社」だといえます。ここでは、株式会社が世の中の役に立つメカニズムについて見ていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
「株式会社」=大勢が金を出し合って会社を作る仕組み
株式会社は、1人で作る場合もありますが、多くの人が金を出し合って作る場合にメリットが大きい仕組みです。
金を出してくれた人には「株券」を渡します。株券を持っている人は「株主」と呼ばれ、会社が儲かったときには「配当」という形で利益の分前にあずかりますし、会社が解散する時には財産を山分けすることになります。
そして、もう1つ重要なことは、株主は会社の社長の選挙で投票できます。
さまざまな手続きも、会社が契約するならカンタン
たとえば筆者が、友人たちと資金を出し合い、パンを仕入れて売る仕事をするとします。店を借りる契約、アルバイトを雇う契約、銀行預金の口座開設等は、だれがやるのでしょうか。金を出し合った全員がサインしなければならないとすると面倒ですね。
そこで「塚崎パン株式会社」を設立したとします。株式会社は人間ではありませんが、人間と同じように契約を締結することができるので、便利です。その際に契約書にサインするのは社長1人でいいのですが、注意が必要なのは、社長のサインの仕方です。
サインの欄に「塚崎公義」と記入して「塚崎」という印を押すと、筆者が自分1人で契約したことになるので、たとえば店の家賃を滞納したときに、筆者個人のサイフを目掛けて家主がやってきてしまいます(笑)。
それは避けたいので、「塚崎パン株式会社 社長 塚崎公義」と記入し、「塚崎パン株式会社の印」という印を押すのです。そうすれば、家主は会社の金庫を目掛けてやってきますから、筆者が自分の財布から払う必要はないわけです。
壮大なプロジェクトも実行できる!
電力会社や製鉄会社などは、数千億円もの資金を集めて巨大なプロジェクトを実行しているわけで、顔見知りだけが金を出し合って作れるような企業ではありません。
巨大企業が作れるのは、株式会社ができて株式が上場されて、お互いに顔も知らない何百万人もの零細投資家が零細資金を投じることができるようになっているからです。
巨額の資金を銀行から借りることもできますが、プロジェクトに必要な資金の一部は株主が出さないと、銀行が不安に思って融資をしてくれないので、巨額資金の一部(といっても十分巨額)は株主から集める必要があります。それに、銀行自身も株式会社ですから。
リスク分散もできる!
塚崎パンであれば、筆者が全財産を投じれば設立できるかもしれませんが、それは筆者にとってリスクが大きすぎます。事業が失敗したときに全財産を失いかねないからです。
しかし、10人の友人と資金を出し合って会社を作るならば、失敗しても資産の10分の1を失うだけで済みますから、気楽に事業を営むことができます。
世の中には「6割の確率で2倍になるが、4割の確率でゼロになる」というような投資案件が多数あります。多くの人は臆病(慎重)なので、たとえば「2倍になるかゼロになるか、確率が五分五分だったら投資しない。7割の確率で2倍になるような投資案件があるなら、投資してもいいが…」と考えているわけです。そうであれば、少しだけ大胆な人(臆病度合いが少ない人)は、簡単に期待値がプラス(確率的には儲かる)案件を手にいれることができるわけです。
中小企業の経営者の中には、1人で株式のほとんどを持っているような人もいますし、そういう人は成功すれば大金持ちになれるのでしょうが、筆者はそこまでの勇気はないので、せいぜい「10人で会社を10社設立して、10分の1ずつ株を持つ」といったところだと思います。
そうすれば、確率的には6社の株が2倍になり、4社の株がゼロになり、総資産は増えることが期待できます。大不況が来て9社が倒産する、ということもあり得ますので、リスクがないわけではありませんが、全財産を1つの会社に注ぎ込むよりは、はるかに安心でしょう。それができるのが、株式会社の魅力の1つですから、活用したいですね。
実際には、もう少し保守的に、資産の半分を銀行預金で持ち、資産の10分の1を塚崎パンの株で持ち、残りの10分の4は上場企業の株の投資信託で持つ…という人が多いのでしょうが。
ちなみに投資信託というのは、プロが大勢の投資家から資金を集めて上場企業の株などを買い、儲かっても損してもそのまま(手数料を差し引いて)投資家に返却する、というものなので、数百社の上場企業の株を少しずつ買ったのと同じ効果が得られるのです。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義 経済評論家
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