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宝くじ、当たりそうな気がする…初心者の投資判断を誤らせる「脳の錯覚」とはなにか?【経済評論家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 9時15分

宝くじ、当たりそうな気がする…初心者の投資判断を誤らせる「脳の錯覚」とはなにか?【経済評論家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

投資初心者は、さまざまなタイミングを見誤ることが多いもの。しかし「なぜそんな判断・行動をしてしまったのか?」といった理由がわかれば、投資スキルはもっと向上します。投資経験豊富な経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「脳の錯覚」が「投資判断の歪み」を引き起こす!?

同じ大きさのパンを〈大きな皿〉と〈小さな皿〉に載せて並べると、アラ不思議! パンの大きさが異なって見える…。そんな「目の錯覚」は有名ですね。

じつは、錯覚を起こすのは目だけではなく、脳も同じように錯覚するのです。

錯覚するからといって恥じることはありません。人類の進化の過程で生存確率が高いように変化してきたわけですから、錯覚する人はしない人より進化しているのですから(笑)。

そうは言っても、脳の錯覚によって正しい投資判断が歪められてしまうとすれば、もったいないことですから、錯覚の影響を知っておくことは重要でしょう。

まず、人間の脳は非常に小さな確率を実際より大きく感じるようにできているそうです。飛行機に乗るのが怖かったり、宝くじが当たりそうな気がしたりするのは、そのせいですね。

投資との関係でいえば、「株価が暴落して大損をする可能性を考えると、怖くて投資を始める気にならない」ということでしょう。数多くの銘柄の株式を持てば上がる物もあり下がる物もあり、毎月少しずつ買えば高い時も安い時もありますから、長期投資であれば大損をする可能性は非常に小さいのですが、それでも怖くて投資に踏み切れない、という人は、脳の錯覚のせいで投資のチャンスを自ら逃しているのですね。

次の錯覚は、「儲かった喜びより損をした悲しみの方が大きい」「儲けや損が2倍になっても、喜びや悲しみは2倍にはならない」というものです。

投資初心者は「損切り」が下手だと言われます。企業の将来性に対する市場の見方が悪化して株価が下落した場合、本来であれば売るべきであっても「いま売ったら損が確定してしまう。それは絶対嫌だから、売らずに塩漬けにしておこう」と考えるのです。

実際、株価が暴落して価格が戻って来たときには、売り注文が増えるといいます。「やれやれ」と安堵した顔で売り注文を出している投資初心者の顔が目に浮かぶようです。

損が2倍になっても悲しみが2倍になるわけではないので、さらに値下がりするリスクがあることを知りながらも値段が戻る可能性に賭けてみる、ということで塩漬けを選択する投資初心者も多いのでしょう。

余談ですが、投資初心者は利食い(利益確定の売り)が早すぎるとも言われています。これも同様に「利益が2倍になっても2倍嬉しいわけではないから、利益がゼロになってしまうリスクを避けるため、いますぐ売ろう」と考えるからなのでしょうね。

重要なのは「サンクコスト」という考え方

合理的に考えるなら「買った値段より上がっているか、下がっているか」ということは、売るか否かの意思決定には関係ないはずなのです。1,000円で買った株であろうと500円で買った株であろうと、いまの株価が800円なのであれば、将来の株価が800円より高くなりそうか否かだけ考えればよいのです。

買ったときに払った代金は「サンクコスト」です。これはサンキューのサンクではなく、「沈んでしまった」という意味の英単語で、「株を売っても持っていても戻らない金」という意味です。どうせ戻らないなら、過去のことは忘れて未来志向で「売るのと売らないのと、どちらが金持ちになれるだろう?」ということだけを考えればよいのです。

サンクコストに囚われないようにするためには、毎朝すべての株を売り、新しく買い直すとよいでしょう。もちろん、実際に売買すると手数料も手間もかかりますから、「売ったつもりになる」だけでいいのですが、そうすれば、買ったときの値段に左右されることはありませんから。

余談ですが、サンクコストという考え方は、色々な場面で重要です。たとえば買った本を読み始めたらつまらなかった、という場合「買ったお金がもったいないから」と思って最後まで読む人も多いのですが、結果として「買ったお金」と「読んだ時間」の両方を損することになるのです。買ったお金はサンクコストなので忘れてしまい、「いまから幸せになるために本を読むか散歩に行くか」だけを考えればよいのです。

自ら「損になる行動」をとるなんて…

もしかすると、投資初心者の中には「損が確定すると、こんな株を買った自分が愚かだった、と思ってしまうから、売りたくない」と考える人がいるかもしれません。自分に見栄を張って合理的でない投資判断をするわけですね。

他人に見栄を張るために損を承知で行動するというのであれば、ある程度理解はできますが、自分に見栄を張るために損切りをせずに塩漬けにする、というのはとてももったいないことですね。

投資に慣れてくると「儲かったのは幸運、損したのは不運」だと割り切れるようになるかもしれません。そうなれば、「この銘柄を買ったのは不運だった。不運な銘柄とは早急にお別れして、別の銘柄で運試しをしよう」と思えるようになるでしょう。

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

塚崎 公義 経済評論家

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