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子どものために…「離婚後の名字」はそのままか、旧姓に戻るか。子が15歳以上の場合は要注意【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月5日 10時0分

子どものために…「離婚後の名字」はそのままか、旧姓に戻るか。子が15歳以上の場合は要注意【弁護士が解説】

子どもがいる夫婦が離婚をしたことで発生するのは、親権の問題だけでなく、名字をどうするかという問題もあります。旧姓に戻すのか、そのままの姓を名乗り続けるのか、子どもへの影響も考慮し、悩まれる人も少なくありません。名字を戻す、そのままでいる、それぞれの選択にはどのような影響があるのでしょうか? また、それぞれどのような手続きが必要になるのでしょうか? 本記事では、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が、離婚後の名字について解説していきます。

女性は旧姓に戻すかどうか決められる

婚姻により姓を変更した女性は、離婚をすると、旧姓に戻るか、結婚時の姓をそのまま使い続けるか、本人が選べます。その際、戸籍や姓をどうするかについては、3つの選択肢があります。

1.親の戸籍に戻る

離婚後、女性が旧姓に戻る場合、もとの戸籍に戻ることができます。もとの戸籍とは一般的に結婚前に入っていた親の戸籍を指します。手続きとしては、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」とある欄の「妻はもとの戸籍にもどる」を選び、親の本籍地を記載します。

2.新たな戸籍を旧姓で作る

離婚によって旧姓に戻るタイミングで、自分を筆頭者とした新たな戸籍を作ることもできます。この場合は、離婚届の「妻は新しい戸籍をつくる」を選択し、自分が希望する本籍地を記入します。

3.結婚時の姓で新たに戸籍を作る

離婚をすると、旧姓に戻るのが原則ですが、離婚から3ヵ月以内であれば、結婚時の姓を名乗る「婚氏続称」が可能です。しかし、この場合でも、夫の戸籍からは出る必要があります。そのため、夫の戸籍から抜けたうえで、新たに戸籍を作らなければなりません。この場合、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄にはチェックを入れず、離婚届とは別に、「離婚の際に称していた氏を称する届」を届け出ます。

また、この届出は、離婚届提出後3ヵ月以内に提出する必要があります。ただし、3ヵ月以内の場合でも、一度届け出ると取り消しはできないので、注意が必要です。

子どもは基本的に父親の戸籍に入ったまま

女性(母親)は、離婚後に旧姓を使うか、結婚時の姓を使うかが選べます。しかし、子どもの場合、夫婦が離婚したことで戸籍が変動するということはありません。子どもがいる夫婦の場合、離婚後、親権をどちらが持つかという問題がありますが、仮に母親が親権を持ったとしても、子どもは、父親の戸籍のままで、姓が変わることもありません。

母親の戸籍に入れて結婚時の姓を名乗る

母親が、婚氏続称を選択し、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出した場合、母親も結婚時と同じ姓を名乗るため、子どもと同じ姓を名乗れます。しかし、戸籍は異なるうえ、親権を自分が持っていたとしても、父親が再婚すると、子どもは再婚相手と同じ戸籍に入ります。

このような状況を避けるためには、子どもを母親の戸籍に入れることが必要です。

■家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出する

子どもを母親の戸籍に入れるためには、「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出します。その際、申立書のほか、子どもの戸籍謄本、母親の戸籍謄本、収入印紙なども必要です。裁判所のなかには、直接申立をすることで、即日許可がおりることもあります。まずは、自分の管轄の裁判所の手続きの詳細を確認しておきましょう。

■入籍届を提出する

家庭裁判所の許可がおりて審判書を取得したら、役所で子どもの入籍届を提出します。この際、戸籍が入っていない役所に提出する場合は、子どもの戸籍謄本、母親の戸籍謄本を準備しておきます。

母親の旧姓に戻す場合「子の氏の変更許可申立書」を届け出る

母親が旧姓に戻った場合、「子の氏の変更許可申立書」を届け出て、子どもの姓を変更し、母親の戸籍に子どもを入れる必要があります。ただし、母親が旧姓に戻っていたとしても、親(子どもにとって祖父母)の戸籍に入っていると、子どもを同じ戸籍に入れることはできません。この理由は、戸籍に3世代が入ることができないためです。

つまり、子どもと同じ戸籍に入るためには、母親は、離婚届を提出する際に、「妻は新しい戸籍をつくる」を選択しておく必要があります。

「子の氏の変更許可申立書」は15歳未満・15歳以上で異なる

子どもの姓を変更する際は、「子の氏の変更許可申立書」を届け出る必要があります。この申立は、子どもが15歳未満、15歳以上で手続きが異なります。

15歳未満であれば親権者が手続きを行う

子どもが15歳未満であれば、親権者が姓の変更を家庭裁判所で行います。この場合、母親が子どもと同居していたとしても、親権が父親にあると、母親が申立を行うことができません。子どもの姓を変更する前に、家庭裁判所で親権者変更の手続きを済ませておく必要があります。

15歳以上の場合は子どもの意思で姓を選べる

子どもが15歳以上であれば、子ども自身で子の氏の変更手続きを行います。そのため、子どもの意思によって姓をどうするか、戸籍をどうするかを決めることになります。

子どもも学校によっては通称が認められることもある

親の離婚は、子どもにとってみれば繊細な問題です。そのため、子どもが、学校において、母親の旧姓を使用することを嫌がることが考えられます。この場合、学校に相談すれば、通称名として、離婚までの姓を使用できることもあります。

姓を変更した場合のメリットとデメリット

メリット:離婚して旧姓に戻ることで気持ちを切り替えられる

離婚して旧姓に戻ることで得られるメリットは、気持ちの一新です。姓を変更することによって、新たな気持ちでスタートを切ることができるでしょう。

デメリット:旧姓に戻るにはさまざまな手続きが必要

旧姓に戻るには、離婚届における記載に加え、クレジットカード、キャッシュカードといった、諸々の名義変更する手続きが必要になります。

姓を変更した場合のメリットとデメリット

メリット:離婚後も同じ姓を名乗っていることで周囲の目も気にならない

離婚したことを周囲に隠しておきたい人もいます。そのような場合は、離婚後も夫と同じ姓を名乗ることで、周囲には伝わりにくくなります。これは母親だけでなく、子どもにとっても、学校で姓が変わった理由を聞かれるということもないため、大きなメリットであるといえます。

また、旧姓に戻る際に発生する、名義変更に関する手続きが不要という点もメリットとして挙げられます。

デメリット:気持ちを一新できない

子どもの親権や財産分与など、離婚で発生する協議をすべて終えて、いざ新生活をはじめようとした場合、姓が結婚時のままでは気持ちが一新できないこともあります。人によっては、離婚した相手との関係を持ちたくないと考えている場合もあるでしょう。そのようなケースであれば、手続きの手間が発生しますが、旧姓に戻すほうがおすすめです。

離婚に関する姓の変更は弁護士に相談できる

姓の問題をはじめ、離婚したことによって発生する問題は、弁護士に相談できます。自分ひとりで悩むよりも、不安な点は専門的な知識のある弁護士に相談しましょう。

子どものことも考えて選択する

離婚したことで姓を変えるかどうかは、自分だけでなく、子どものことも考えて決めましょう。大人であれば気にならないことも、多感な子どもには大きく影響をおよぼすこともあります。子どもにとってもいい決断かどうか、しっかり本人と相談したうえで決めることをおすすめします。

また、自分だけ姓を変える場合であっても、名義変更のさまざまな手続きが発生します。 そのため、姓を変えるのであれば、名義変更の手続きのスケジュールも検討しておきましょう。

白石 英恵

Authense法律事務所

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