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「主食抜き」はやめて!血糖値スパイクを抑制する「医師オススメの食べ方」【これならトンカツも食べてOK】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月27日 11時0分

「主食抜き」はやめて!血糖値スパイクを抑制する「医師オススメの食べ方」【これならトンカツも食べてOK】

(※写真はイメージです/PIXTA)

世間では「糖尿病になったらアレもコレも食べられない」というイメージがありますが、糖尿病治療に詳しい團茂樹(だん・しげき)医師は、「糖尿病の人こそ、いっぱい食べてください」といいます。一見、糖尿病にはNGメニューに思えるトンカツ定食も、「ご飯150g以下・キャベツたっぷり・味噌汁もきちんと飲む」という条件なら、むしろオススメなのだとか。團医師が解説します。

血糖コントロールのカギは1日3食、主食・主菜・副菜をしっかり摂ること

糖尿病のコントロールを良くするためには、1日3回バランスの良い食事を摂り、その都度しっかりと膵臓からインスリンを分泌させる必要があります。そして、エネルギーとしてのブドウ糖を筋肉や内臓組織にしっかり届けることです。

「バランスの良い食事」というのは、主食だけでなく主菜や副菜もしっかり摂る食事のことを言います。

毎食の主食として、ご飯なら一膳(150g)は摂るようにしてください。主菜や副菜が十分摂れれば、主食のご飯をもっと増やしても構いません。

主食としてのご飯は最低150gを堅持して、主要な体のエネルギー源であるブドウ糖をしっかり確保してください。

■主食とは…

米、もち、パン、うどん、そば、スパゲティーなど。炭水化物を主成分とし、体のエネルギー源となるものです。脂質はエネルギー源とも言えますが、ここには入れていません。

■主菜とは…

魚、肉、大豆製品、卵、乳製品など。主にタンパク質や脂質の供給源で、筋肉や血液など体作りの材料になるものです。

■副菜とは…

野菜、きのこ、海藻類を使った料理など。ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源で、体の調子を整えるものです。

タンパク質はインスリン分泌を助ける「サポーター」

血糖値を気にする人なら、インスリンという言葉を聞いたことがあるでしょう。インスリンとは、簡単に言うと膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血糖値を一定に保つ働きを担います。

正常な人(糖尿病ではない人)は、糖質をたくさん摂っても、インスリンのおかげで筋肉や肝臓などの内臓組織でしっかり利用されるので、血液中のブドウ糖は溢れることなく基準値以内にコントロールされています。

糖尿病の人は、血液はブドウ糖で溢れていても、体のほうはむしろブドウ糖を欲しがっています。ブドウ糖は体にとって大切なエネルギー源ですが、インスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖を筋肉などに送り込むことができず、体はエネルギー不足に陥っているのです、

そこで注目されるのがタンパク質です。実はタンパク質というのは、インスリン分泌の助っ人なのです。

朝食時やかなり遅い夕食時には「食前20~30分にタンパク質10g」がオススメ

特に朝食に関しては、前夜から長時間にわたる空腹状態が続くためか、食後の血糖値スパイクが大きくなる方が少なからずいらっしゃいます。そこには膵臓からのインスリン分泌反応が遅れるという側面があると考えています。朝食後に食後血糖スパイクが大きくなる方々には、膵臓の目覚めを期待して、食前20〜30分にタンパク質を10g以上摂るようにアドバイスしています。

夕食がかなり遅くなるときも、食後血糖スパイクを抑えるため、食前20~30分に10g以上のタンパク質を摂ることをオススメします。

<食前にタンパク質10g以上を摂るためには…>

・牛乳なら約300ccは必要  ⇒ただし150ccを食前に飲み、残り150ccを朝食事中に回してしまうと食後過血糖の抑制効果は半減してしまいます。食前に飲み切ってください。

・牛乳150cc+卵1個、または牛乳150cc+豆腐100g程度

・具沢山の味噌汁を飲む  ⇒例としては卵か納豆、またはつくね入りが理想です。

・高たんぱくヨーグルトを食べる  ⇒いま流行りの食品ですね。これには炭水化物も少なからず入っていますが、乳糖であり、筆者の総合wtGL(=ブドウ糖換算量。別稿で詳説)の試算では問題ありません。ただし砂糖入りのものは避けたいですね。

主菜や副菜が十分な食事とは?

■主菜:毎食20g以上のタンパク質を

朝食前のタンパク質とは別に、毎食、タンパク質は必ず20g以上摂るようにしましょう。1食20g以上というのは、国が推奨する大人のタンパク質摂取量を参考にした数字です。

タンパク質摂取は、主食によるインスリン分泌反応に対して、追加でインスリン分泌作用をもたらしてくれます。また、筋力アップのためにも欠かせません(筋力アップは血糖コントロールを助けてくれます)。

『カロリーSlim(https://calorie.slism.jp/)』を参照すると、種々の食品中のタンパク含有量がわかりますよ。

■副菜:可能であれば毎食7g以上の食物繊維を

余裕のある人は、毎食、食物繊維を7g以上摂ってください。こちらは努力目標です。

上述したことの根拠としては、次の事例が挙げられます。

i)筆者が日常診療で診ている糖尿病の患者さんは、朝の食後血糖値はHbA1c値で類推するよりも高めの人が多い傾向にあります。言ってみれば2型糖尿病(※)の膵臓は朝寝坊です(※糖尿病の大多数はこの「2型」)。

また、朝の食後血糖値が高くなる症例において、朝食の約30分前にタンパク質を10g以上摂ってもらうのとそうでないのとでは、同じメニューでも朝食後の血糖値が大きく違うことを経験しています。

ii)夕食を摂っていても、主食を抜くと、翌朝の食後血糖値がさらに高くなる患者さんを経験しています。

iii)朝食抜きだと、その後の昼食や夕食による食後血糖値は、同じ食事メニューで検討しても高めに推移するという報告があります。

iv)朝食で主食を摂らない患者さんの場合、昼食後血糖は高いという症例を経験しています。

朝食でタンパク質をしっかり摂っても、主食を抜くと膵臓からのインスリン分泌は十分ではないと考えます。

インスリン分泌効果は通常の主食で簡単に得ることができますが、タンパク質だけでは十分なインスリン分泌効果を得ることは難しいです。ですから食後過血糖対策には、主食と主菜によるインスリン分泌が大事であると考えます。

P.S.)こんな患者さんがいます。以前は「朝食抜き・昼ラーメン」という生活で糖尿病コントロールが凄く悪かった(HbA1c8以上)のが、現在は1日3回しっかり食事を摂り、HbA1c6以下。

前者のような生活(朝食抜き・昼ラーメン)を送る方は意外と多いのでは? 糖尿病治療は食事が基本ですよ(もちろん、コントロール状況によっては薬剤投与も考えます)。

【具体例】糖尿病の方にオススメの食事

<糖尿病の方にオススメの食事>

次のメニューは、一食中のタンパク質はしっかり20g以上あります。ただしご飯を150g以下にし、付け合わせのキャベツはたくさん、味噌汁もしっかり摂ってください。

・焼肉定食 ・トンカツ定食 ・生姜焼き定食 ・カキフライ定食 ・唐揚げ定食 ・鰤照り焼き定食 など

<気をつけるべき食事>

・カレーライス(ご飯、ジャガイモ、カレールーはどれも炭水化物です)  ⇒食べるならご飯100gにして、カツもしくは肉を多めにする

・ご飯と麺もの(チャーハンとラーメンなど)  ⇒主食はどちらかに。セットで食べるのは控えてください。

・お好み焼き定食(お好み焼きとご飯)  ⇒主食はどちらかに。

・コロッケ定食  ⇒コロッケよりメンチカツのほうがいいかも。

これらはほんの一例です。

ほとんどのものはご飯の量だけ気にすれば問題ありません。

また、ほとんどの調味料も大丈夫です。さすがに調味料を単独で大量に摂れば血糖値に影響しますが、そんな食べ方はしませんよね。基本的には食事と一緒に摂るでしょうし、大さじいっぱい程度では血糖値に影響しません。

本稿の内容を踏まえて、糖尿病の人こそいっぱい食べてください。1日3回のバランスの良い食事でインスリンを分泌させ、体にしっかりとブドウ糖というエネルギーを届けましょう。

今回述べてきた食事が糖尿病治療の基本ですが、高度なインスリン分泌低下状態のときや、HbA1c7.5以上が続くときはもちろん、飲み薬やインスリン注射の増減が必要になることがあります。

最後に、2型糖尿病は可逆性がありますので、主治医と一緒にしっかり治療計画を立ててください。

團 茂樹(だん しげき)  宇部内科小児科医院 院長、総合内科専門医

日本大学医学部附属病院で血液のガン治療に従事した後、自治医科大学へ国内留学、基礎研究分野の経験を経て大学病院や地方病院に勤務。その後、遺伝子研究の本場・カナダオンタリオ州立ガンセンターで遺伝子生物学に関する基礎研究に従事。帰国後、那須中央病院の内科部長を経て、宇部内科小児科医院副院長に就任。その後3年間、千代田漢方クリニック院長を兼任。以来16年余り漢方治療を導入。2010年から現職。2015年に総合内科専門医を取得。 総合臨床医として様々な症例に携わるとともに、臨床で培った経験や医療情報の中から選りすぐったアドバイスを行うダイエット法には定評がある。著書に『糖尿病は炭水化物コントロールでよくなる』(2022年6月刊行、合同フォレスト)がある。

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