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「好きな人ができた。離婚してほしい」とメールが…夫のダブル不倫、結婚27年目の裏切り。還暦過ぎの妻「それでも別れたくない」【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月7日 11時45分

「好きな人ができた。離婚してほしい」とメールが…夫のダブル不倫、結婚27年目の裏切り。還暦過ぎの妻「それでも別れたくない」【弁護士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

夫から突然「離婚したい」と告げられ、しかもその理由が不倫相手との結婚を望んでいることだと知ったら、誰しも動揺することでしょう。高齢の場合はとくに、経済的な不安から、離婚を避けたいと考えるのも自然なことです。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚回避について、飯沼楓弁護士に解説していただきました。

27年間の結婚生活を送り…

相談者は、夫から突然の離婚要求を受けています。

昨年末、夫は「好きな人ができたから離婚してほしい」とメールで告げ、その日から家を出て行きました。夫は愛人とともに住むため、マンションを借りています。この愛人は中国人女性で、彼女にも夫と子どもがいるため、ダブル不倫の状態です。

相談者は27年間の結婚生活を送り、息子は独立しています。

夫は会社を経営しており、相談者はこれまでなんとか離婚を回避しようと努力してきました。夫の裏切りにあっても、別れたくないのです。しかし、夫はその女性との結婚に向けて動いており、最近では義母とその女性を会わせ、義母の了解も得たといいます。還暦を過ぎた相談者は、これから1人で生きていく自信がないと感じています。

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

1.夫が離婚を強く望んでいるなかで、法的に離婚を回避するための方法はあるのでしょうか。

2.仮に離婚を避けられない場合、相談者が受け取ることができる財産分与や慰謝料について、どのように進めるべきでしょうか。

不倫した夫からの離婚請求は回避できる?

本件では、配偶者の不倫が離婚の原因となっており、相手方は有責配偶者といえます。そこで、有責配偶者からの離婚請求であるとして、現時点においては離婚請求を拒めるものといえます。

有責配偶者とは?

そもそも有責配偶者とは、自ら婚姻関係を破綻させた者をいいます。

本件のように配偶者の不倫によって離婚を回避できない状態となった、つまり婚姻関係が破綻したといえる場合、不倫をした配偶者は有責配偶者となります。

有責配偶者からの離婚請求は拒むことができるのか?

有責配偶者からの離婚請求を認めるべきか否かについて、従来、有責配偶者からの離婚請求については、たとえ婚姻が破綻しているとしても認めるべきではないとされていました。しかし、現在は、このような場合であっても離婚請求を認める場合があると考えられています。

離婚請求を認めるか否かについては、別居期間の長さ、未成熟子の存否、離婚によって相手方配偶者や未成年の子が極めて苛酷な状態に置かれるか否か等の事情を総合的に考慮して、有責配偶者からの離婚請求を容認してもよい状態に至っているか否かという視点から判断されることになります。

本件では、相談者ご夫婦のお子さんはすでに独立しており、未成熟子はいませんので、監護状況等に関し考慮する事情はありません。一方で、別居が昨年末から始まったばかりであり短く、現時点において有責配偶者からの離婚請求を認めるとなれば、相談者が精神的に過酷な状況に置かれる可能性があるため、離婚請求が信義誠実の原則に反するとして認められないものと考えます。

もっとも、今後も別居期間が継続し、10年を超える状態に至っては、すでに離婚したのと同じ状態の生活を長年過ごしてきたものといえます。この場合は、長期の別居期間継続という事情は、離婚請求が認められる事情として考慮されます。

また、別居期間が10年未満であっても、離婚による財産分与や慰謝料等の経済的給付が有責性に対して十分誠意ある対応をしているといえる場合には、離婚請求が認められることがあります。近時の判例では、7年から9年程度で離婚請求を認めるものもあります。

以上のとおり、本件において、有責配偶者からの離婚請求として、別居期間が短期間である現時点においては離婚を拒むことができるといえます。しかし、今後の別居期間の継続や誠意ある対応等により、離婚が認められる場合があることには注意が必要となります。

財産分与・慰謝料の請求

相談者の質問にもあるとおり、本件のように不倫が原因で離婚に至る場合、有責配偶者に対し、(1)財産分与に加えて、(2)不倫を原因とする離婚慰謝料を請求できます。

(1)財産分与について

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して形成した財産(夫婦共有財産)を離婚時に原則2分の1ずつ分割するものです。

本件では、配偶者が会社を経営しているということですので、法人・個人の名において夫婦共有財産を保有していないかの検討を忘れないよう注意が必要です。法人の事業や財産は、法人に帰属するものですから、原則財産分与の対象とはなりません。しかしながら、ご夫婦の協力によって法人の財産を築いたとして財産分与の対象となりうる場合があるため、十分な検討が必要です。

また、離婚がやむを得ないとなった場合には、離婚を先行してしまうのではなく、離婚の条件として全財産を開示し合ったうえでしっかりと財産分与を行うことがよいといえます。なぜならば、離婚を求める相手に対し、離婚前であれば、離婚と引き換えに有利な条件を引き出せる可能性が高いからです。

話し合いの場において、配偶者が財産開示を拒んだり財産を隠したりするような場合には、弁護士や裁判所を通じた財産調査の方法を検討することがよいでしょう。

(2)不倫を原因とする離婚慰謝料

離婚慰謝料とは、離婚によって生じた精神的な苦痛を慰める目的で、一方の配偶者から他方の配偶者へ支払われる賠償金です。

慰謝料の請求に値する有責行為が認められる場合に請求が可能となります。本件のように、不倫によって離婚に至る場合にも請求できます。

もっとも、いざ、離婚の際に不貞行為を否定されれば、そもそも有責配偶者であるか否かが問題となり、離婚慰謝料すら請求できなくなる可能性があります。そこで、まずは有責配偶者であることの証拠、つまり不貞行為が認められるだけの証拠を集める必要があります。

本件では、配偶者からの自白があったとしても、後々これを否認される可能性もあります。また、「好きな人ができたから離婚してほしい」旨のメールがありますが、それだけでは証拠として十分とはいえません。そして不倫相手が義母にも会っていたとしても、配偶者の母親である義母から有力な証言を得られるとも限りません。

そこで、配偶者の不倫に関する自白の録音やメッセージのやり取りを保存することや、配偶者と不倫相手との親密な関係を、2人のやり取りや行動調査などで把握し証拠化できるとよりよいでしょう。

また、慰謝料については、離婚慰謝料とは別に、不倫相手に対して、不倫を原因とする慰謝料請求を行うことができます。不倫は、配偶者と不倫相手の2人で行ったものであり、原則として2人が2分の1ずつ責任を負うものといえるからです。なお、不倫の慰謝料を2人からそれぞれ全額回収することは、慰謝料の二重取りとなるため、裁判上認められないことに注意が必要です。

飯沼 楓

弁護士法人名古屋大光法律事務所

弁護士

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