「ほぼ私だからな」と思って演じている。“ファッサマ清少納言“が誕生するまで【ファーストサマーウイカに聞く】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月31日 6時15分
![「ほぼ私だからな」と思って演じている。“ファッサマ清少納言“が誕生するまで【ファーストサマーウイカに聞く】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/goldonline/goldonline_62334_0-small.jpg)
NHK提供
大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合・午後8時ほか)で、『枕草子』の作者・清少納言(ききょう)を演じているファーストサマーウイカさん。高畑充希さん演じる藤原定子のもとに女房として出仕し、心からの忠誠を尽くす姿も話題になっています。定子に心からの忠誠を尽くし、主人公・まひろの良き友人としても描かれているききょうについて、お話を伺いました。前後編。
「清少納言の生まれ変わりかもしれない」と思って演じている
――紫式部のライバルとも言われる清少納言役のオファーがきたときの心境からお聞かせください。
ファーストサマーウイカさん(以下、ウイカ):大石静先生と制作統括、チーフ演出の3人、私は御三家と呼んでいるのですが、その御三方と面談をさせていただいたのちに正式オファーをいただきました。本当に嬉しい気持ちでいっぱいだったのですが、一方で、清少納言というおそらく日本の教育を受けていたらほぼみんな知っている人物で、しかも紫式部という主役のライバルと評されることも多い人物を演じることに、何よりも驚きが一番大きかったです。
最初は吉高由里子さん演じる紫式部のお相手に不足がないキャラクターになればいいなとぼんやり考えていたのですが、実際にどんな人物だったのかは深くは知らなかったので、清少納言に関わる本などを読んでいきました。
いろいろ調べていくうちに、非常に自分と考え方や表現の仕方が近い人物だと思いました。最近よくSNSで「(ファーストサマーウイカさんは)清少納言の生まれ変わり」と言ってくださることもあるのですが、「いやいや、言い過ぎでしょう」とも思わないというか「かもしれない?」と思うくらい親近感を持って清少納言と接しています(笑)。
感情移入ではなく、「そうでしょ。こういうときはそう言うでしょ。これ以外なんて言うんだよ」みたいな、清少納言と重ね合うような瞬間が何回もあって、彼女を知れば知るほど最初に感じていた不安が消えていきました。プレッシャーもありましたが、「これほぼ私だからな」と思って演じています。「(清少納言の気持ちが)全然わからない」ということは一度もないですね。
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「圧強めの先輩と苦笑いしながら聞いてくれる後輩みたい」まひろとの関係
――紫式部のライバルと評される清少納言ですが、『光る君へ』では、まひろとききょうが互いに友人として交流する姿も描かれています。
ウイカ:『紫式部日記』の中に清少納言の悪口が書かれている通り、ふたりの関係性は何となくわかっているんですよね。そこで、大石先生の脚本がすごいなと思ったのは、わかっているからこそ最初に2人を近づけるというギャップの幅を持たせている部分で、1本取られた感じです。最初からライバルで1年間バチバチというのも飽きちゃうだろうし、マブからの「あれ? なんかちょっと空気悪くない?」という感じになっていくのでは? と見ているほうもハラハさせるような感じがしました。
友達というよりは「圧強めの先輩と、基本的に苦笑いしながら聞いてくれる後輩」みたいな関係なのですが、そんなこれまでの力関係がどうなっていくのか、どこかで変化するのか、まひろが強くなっていくのかというのは私もまだわからなくて……。
大体道長が悪いんですよね、ききょう目線から見ると本当に許せないですよ(笑)。道長を介してまひろとききょうのマブな関係が崩れていくというのは、やはりすごい脚本だなと思います。最後までまひろとは友達でいたいですけれど、本当にどうなるかわからない。最終話まで生き残りたいなとは思っています。だから仲良くしてほしいです(笑)。
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まひろとききょう、対極にいるからこそ築けた関係
――まさにまひろとききょうの関係は「圧強めの先輩と苦笑いしながら聞いてくれる後輩」ですが、ききょうはまひろのどんなところに興味を持ったのだと思いますか?
ウイカ:ききょうはきっと自尊心もあますし、自分の能力も把握していて、自分のできることとできないこと、得手不得手をきっと認識できている。でも、それを表に見せないようにできるタイプというか、ちゃんと空気を読みながらもあえてぶち壊すことを選択できる人間だと私は解釈しています。
「まひろは自分に持っていないものを持っている」というのは、まひろに会った1回目か2回目で気づいて、両極にいるからこそ引き合ったのかなって。きっとまひろもそうで、ききょうのそんなところが「すごいな」と思ったからこそ、苦笑いしつつもききょうに対して、興味深く接しているんだと思います。
似たもの同士だと反発しあうけれど、対極にいるからこそお互いがないものを見て面白がれる。そして大抵の人間がききょうの言動にポカンとしているところを、ききょう自身も「こいつらに言ってもどうせわからない」と卑下していたところに、まひろと出会って「この子はわかってくれている。できる子!」と思って認めた唯一の存在なんだと思います。「やっと自分と対等に話せる友達を見つけた!」みたいな。
性格は対照的だけど、志に向かっていく行動力や博識で教養があるという点は、この時代の女性の中では稀有な共通点でもあります。だから、尊敬もしているし、仲間でいてほしいから足繁く通って一方的に喋るということを続けていたんじゃないかなと思いますね。
『光る君へ』
『光る君へ』は、平安時代中期の貴族社会を舞台に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。のちの紫式部であるまひろが、藤原道長への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で「光源氏=光る君」のストーリーを紡いでゆく姿を描く。脚本を手掛けるのは、『セカンドバージン』や『知らなくていいコト』『恋する母たち』などで知られる大石静さんで、今回が2度目の大河ドラマ執筆となる。 THE GOLD 60編集部
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