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自分のパソコンを使ってください!派遣会社の〈とんでも要求〉を飲んでいた「派遣のシングルマザー」が遂に大爆発…派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブル事例

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月2日 7時15分

自分のパソコンを使ってください!派遣会社の〈とんでも要求〉を飲んでいた「派遣のシングルマザー」が遂に大爆発…派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブル事例

経営側と従業員。労使問題という言葉があり、労働基準法をはじめさまざまなルールや制約があることからもわかるように、共に企業活動を行う組織の一員でありながら、時には利害が対立することも避けられません。なぜ従業員による内部告発は起きてしまうのか。予防法は? 今回は派遣社員と派遣会社、派遣先企業の間に起きたトラブルを例に考えていきます。※本記事で紹介している事例は、事案特定を防ぐため設定等を変えています。

「派遣社員の不祥事」の典型パターン

我が国の労働者派遣制度は1985年の中曽根内閣の時代に労働者派遣法が成立し、翌年に施行されたあたりから本格的に始まりました。それまでは「フルタイムは基本的に正社員」「転職はほぼなく永年雇用制」といった働き方が一般的。しかし、より多様な労働力を求める企業と、より多様な働き方を求める人材との間で、正規雇用社員の直接雇用を脅かさず、専門的なスキルを持つ人材のスキルアップと活用という名目で労働者派遣制度は始まります。その後、紆余曲折あり、現在では「正社員として採用されなかったため新卒で派遣」という若者や、「人件費削減のため社員を減らし派遣で賄う」という企業が多く見られるようになりました。

また3年を過ぎると同じ派遣先企業の同じ組織では派遣社員として働けなくなったため、雇い止めなどの問題も出てきています。「中抜き」という言葉でしばしば批判される派遣業は、今や当初掲げた「高水準な専門スキルを持つ人材の活用と柔軟な働き方」という理念からは大きく異なっているのが実情だと言わざるを得ません。

そんな中、派遣社員が就業先で問題行動を起こすことも少なからずあります。典型的な例は、次のようなものでしょう。

・求められているスキルや能力に達しておらず、期待された業務遂行ができない

・契約期間満了より前に、辞めたがる。辞めてしまう

・就業先でのルールや規則を守らない

・情報漏洩など、禁止事項を行なってしまう

・派遣社員間、社員との間など、人間関係のトラブル

・備品盗難など着服行為

事例1.派遣会社でパワハラ!? 派遣1日で契約解除

派遣社員によるトラブルを2つみていきます。一つ目の事例は派遣会社P社からZ社に派遣されたA子さんの話です。

A子…派遣社員

P社…A子が登録する派遣会社

Z社…A子が派遣される派遣先企業(ホームセンターを多店舗展開)

Z社はホームセンターを多店舗展開している企業。社員は4,000人、パートタイマーやアルバイトが1,000人ですが、本社の事務社員は店舗スタッフから異動した女性が多く、語学、貿易事務などの経験者が欲しいと考え、派遣社員に目を向けました。A子さんは30代前半・大卒、言葉遣いが美しくハキハキした女性で、TOEIC850、パソコンの操作も問題ありません。パソコンが苦手だったり英語が分からなかったりする社員に比べても、理想的な人物です。留学経験もあることから英語での会話にも物おじしません。

Z社との顔合わせの印象も良く、早速就業開始となったA子さんですが、出勤するなり通りすがりの男性社員から髪を引っ張られ、「髪はちゃんと結ぶように」叱責されます。驚いたA子さんですが、その時は素直に従い、手持ちのシュシュですぐに髪をまとめました。

ところがその後も、直属の上司や面接で話した管理職以外から、「飾りのついていない黒いゴムでしっかりと後ろで一つに結べ」「明日から髪を黒く染め直してくるように」と指摘が入ります。派遣会社からも顔合わせの時にも、ひと言も何も言われていなかったこと、また髪を引っ張られキツイ口調で注意されたことから、A子さんは非常に気を悪くしてしまいました。

初日の就業後、様子伺いのため電話してきた派遣会社Pの担当者に相談したところ、「今日中に髪を黒くしてください」「僕も実はその色はちょっとまずいなと思っていたんですよね」と言い出したところから、A子さんはますます頑なになってしまいます。

元々、バンギャ(ヴィジュアル系バンドの女性ファン)だったA子さんは髪にこだわりがあり、毎月美容院でライトブラウンのハイトーンとダークブラウンのロートーンを入れて立体的に見えるようにしていました。「事前に髪色や髪型のことなんてひと言もなかったじゃないですか」とP社の担当者に詰問するA子さん。「お客様を接客する店舗従業員も皆、同じように黒髪で肩につく場合は結ぶよう指導しているのでA子さんもそうしないといけない」と主張するZ社と派遣会社P社の担当者。完全に不信感を持ったA子さん、折り合いがつかず、結局、初日で辞めるという話になってしまいました。

このケースの問題点としては、派遣会社Pの担当者の聞き取りや調整力に不足があったことがまず挙げられます。またZ社のパワハラやセクハラなど社風についての理解が不足していたかもしれない点も否めません。A子さん自体も、白黒がはっきりした理不尽なことが嫌いな性格だったのですが、今回は融通の効かなさ、極端な結論を出してしまうといった良くない方向にそれが出てしまいました。期間満了せず明日から出勤しませんという辞め方は、派遣業界では御法度。今後、A子さんがP社から仕事の紹介を受けるのは難しくなりそうです。

ではA子さんを切った派遣会社P社と派遣先Z社はすっきりしたかというとそうでもありません。Z社から嫌味を言われ平謝りし、代わりの派遣社員をすぐに寄越すように言われた派遣会社P社の担当者は、なんとか次の候補者を見つけたものの、率直なところA子さんの器量に及ぶ人物では到底なく、Z社から不評を買ってしまいました。またZ社も「せっかく即戦力になりそうな優秀な人が来てくれたのにもう少し丁寧に説明できなかったのか」という意見と、「うちは飲食店などと同じ接客業の企業なんだから身だしなみは当たり前なのに非常識だ、そもそも面接過程で直させておかない人事担当者が悪い」という意見が真っ向からぶつかり、しばらくは店舗全体がギグシャクしていたといいます。

事例2.「派遣先×派遣社員」vs.「派遣会社」の対立構造に

2つ目の事例です。

B子…派遣社員

Q社…B子が登録する派遣会社

X社…B子が派遣される派遣先企業(医療関連企業)

派遣会社Qは小規模な派遣会社で、大手派より登録者数も少なく、また取引先(派遣先)の企業もこれまで派遣社員を使用したことがない中小企業などが中心です。そのため、「大手と違い年齢や経験だけで門前払いしない」「派遣社員に対し親身になってサポートする」というのが売り文句です。

派遣先となるX社は海外から医薬品や化学薬品の原材料を輸入している会社で、社員数は50人以下ですが、売上高は上々。管理職も大手製薬会社出身者や国立大学で研究に携わっていた人など、錚々たる面々です。初めて派遣社員を迎えることになったのは、Q社の営業を受けてのことでした。学究肌な経営陣は、実際に業務の一部をやってもらって判断したいと要求しました。

B子さんは非常に真面目で作業効率も良いのですが、社会人としてのブランクが長かったこと、年齢が高いことから仕事探しに苦労していました。大手派遣会社ではなかなか希望とマッチした仕事に繋がらずQ社に登録しました。

Q社の担当者は良く言えば明るい、悪く言えば適当な人物だったようで、顔合わせでいくつも話に齟齬が見つかりました。就業時間が早朝であること、作業をする場所が倉庫の一角で非常に寒いこと、余っているパソコンがないため派遣社員が自らのパソコンを持ち込む必要があること。しかしながらB子さんはいずれも快諾し、X社の面接担当者も好感を持ちました。また実際、業務の一部を行なったところ、X社としては十分満足のいく結果でした。

ここからはB子さんからの情報ですが、採用が決まり、顔合わせの帰り道、Q社の担当者は「万が一、パソコンが故障したりしたら、うちでちゃんと補償するので言ってくださいね!」とB子さんに断言したそうなのです。

B子さんの仕事ぶりは上々で、契約は更新されました。ところが4ヵ月半を過ぎた頃、B子さんのパソコンが突然故障してしまいます。古い型式でも問題なく作業できていたのですが、ここ二日程調子が良くなく、朝出社すると完全に故障して立ち上がらなくなってしまったのです。これは誰のせいでもなく、データ自体は別途保存していたため問題なかったのですが、ここで思いがけないトラブルが発生します。約束どおり、修理をお願いしようとB子さんがQ社に連絡したところ、担当者の返事は「とりあえず自分で修理に持って行くか、買い替えるかしてください」というものでした。「修理して欲しい、修理できないなら同等のものでいいので用意して欲しい」と希望するB子さんと、「そんな古いパソコンを持ち込んで、壊れたから弁償してくれなど不当要求だ」というQ社の言い分と真っ向対立してしまいます。

そしてQ社では社長自らが「パソコンを持ち込みたいと勝手なことを言ったのはB子さんだと聞いている」と言い始める始末。実はB子さんはシングルマザーでなかなか仕事が決まらなかったこともあり金銭的に逼迫。また借金もあったことから、できるだけ安い中古パソコンを購入していました。そのためパソコンは相当古い年式のものではあったようです。また、何かあった際にはQ社が補償してくれると安心していたため、今すぐパソコンを買い直す金銭的余裕もなかったのです。

自分が古いパソコンを無理やり持ち込み、壊れたから多額の金銭を不当にせしめようとしているというふうにQ社の社長から言われB子さんは非常に傷つきました。涙ながらに就業先のX社の同僚や上司たちに事情を説明したところ、Q社の担当者はX社の怒りを買ってしまい、「派遣先企業+派遣社員」VS「派遣会社」の戦いとなってしまったのです。

X社は、B子さんとの契約終了後に直接契約を結ぶことに決め、Q社とは取引停止に。一方、Q社の社長は「それは契約違反だ!」として激怒。さらにB子さんを嘘つき呼ばわりしたうえに訴訟をちらつかせたとか。しかしトラブルはX社のトップの耳に入ることになり、「裁判になったところで、困るのはあなたたちですよ」と門前払いをしたといいます。ちなみに法律では、派遣先と派遣社員が派遣期間終了後に雇用契約を締結することを、派遣元が禁止してはならないと定めています。

(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)

第33条 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者(派遣先であつた者を含む。次項において同じ。)又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

またB子さんはよほど悔しかったのでしょう。事の顛末を洗いざらいネットの口コミに書いてしまいました。すると「私もQ社でヒドイ目にあいました」という口コミが他にも投稿されたのみならず、ネット特定班によりQ社の営業担当のSNSが特定され、そこでくだんの件を含め、仕事上の愚痴や担当している登録者に対する批判がいくつも書き込まれていることが発覚し炎上。これらはQ社の経営陣の知ることとなり、社内でかなり問題となったそうです。

派遣会社、派遣先企業が事前にできるトラブル防止策

一般的なトラブルに際しては、派遣元の担当者が就業先と派遣社員本人から事情を聞いたうえで、契約解除、他の派遣社員との交代など適切な対応をします。また場合によっては、契約解除のうえ、派遣先の企業から「今後は他の派遣会社を利用するので」と今後の取引を断られてしまうこともあります。さらに重大な過失や不適切行為の場合、当該派遣社員によって引き起こされたトラブル、損害について、賠償請求になることもあります。

一方、派遣会社の担当者の言動がむしろ不適切ということもありえます。人材紹介業は他業種に比べても離職率の高い業界であり、すべての人材派遣会社、すべての従業員に問題がないとは言えません。

また派遣制度を利用することにまだ不慣れであったり、コンプライアンスや派遣制度への理解が足りなかったりする企業も見られます。しかしながら顕著な少子高齢化により、新卒や若手の求職は完全に売り手市場となっており、派遣社員を上手に使いこなせるかどうかは、今後多くの企業が生き残っていけるか、ひとつのバロメーターとなるでしょう。

世間から非難を浴びる事件が起こらないよう未然に防ぐにはどうしたらいいか、また自社と価値観の合わない派遣社員を迎え入れない、あるいは折り合いをつけていくためにはどうしたらいいか、対策を講じることは重要です。さらに派遣会社においては、問題のある人物を派遣しないことはもちろん、自社の営業担当など、社員のクオリティを確保することも非常に重要です。

対策は色々考えられますが、ひとつの有効な方法として、バックグラウンドやSNSのチェックが挙げられます。派遣という形態はともすれば、就業先と派遣会社で責任のなすりつけ合いになる傾向があります。

問題が起き、社会的制裁や損失を被って仕舞えば、責任の所在がどこにあろうが、派遣先企業や派遣会社にとってマイナスになることは避けられません。派遣社員に対してもある程度のチェック機能を設けることは、回り回ってコストパフォーマンス、タイムパフォーマンスの良いマネジメントであると言えるでしょう。

特にSNSに関しては、派遣社員や派遣会社担当者の性格やこだわり、仕事に関する情報漏洩、不満などを知る重要なツールであることからも、いずれの事例についても事前にチェックして行っておけばよかったかもしれません。

ただマイナス要素のある書き込みをいわゆる本アカですることは考えられず、別のアカウントで行っていることが十二分にあります。このようなところまで一企業が発見し、チェックするということはあまりにも現実的ではありません。

そこで有効なのが、SNSチェックやバックグランド調査を行うプロ集団。具体的な方法はそれぞれ異なるうえ、企業秘密ではありますが、たとえば本人の学歴や職歴などから、友人のアカウントを特定し、そのなかに本人がいるかを確認したり、怪しいとフラグを立てたアカウントを監視したりと、非常に地道な作業も含めて、調査を行います。SNSが中心の社会では、このような調査を事前に行うことが、人材採用・活用の観点で不可欠といえるでしょう。

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