「資料作るぞ」→いきなりパワポを開くはNG!「会議やるぞ」→いきなり指名もNG!“シゴデキ”の人がやっている資料作りから会議までのステップ8つ【働き方コンサルタントの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月18日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
プレゼンの資料作りで、ビジネスパーソンにはお馴染みのアプリケーションPowerPoint(パワポ)。実は、いきなりパワポを開くのは資料作りにおいて、大変危険です。効率的に資料作りをするために、最初にやるべき準備とはいったい何なのでしょうか? 働き方改革プロジェクトアドバイザー・坂本崇博氏の著書『仕事のアップデート100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
「パワポを開く前」にやるべき2つのこと
「説明の流れ」を別のアプリに書き起こす
会議のための資料やプレゼンのための資料作りというと、多くのビジネスパーソンは「PowerPoint(パワポ)で作るもの」と思うでしょう。確かに、パワポは資料作りのアプリケーションとして多くの人に親しまれています。しかし、資料作りのためにいきなりパワポを開くのは非効率になる場合があります。それは、何も素材がないときです。
A4サイズが標準のWordとは違い、パワポはスライドを無限に増やすことができますが、ゴールを決めずにスタートするとダラダラと長い資料になってしまう危険があります。資料作りの書籍などには「プレゼン用なら10枚程度」などの目安がありますが、大事なのは「何を伝えるための資料なのか」です。まず必要なのは、どうやって伝えるかのストーリーを考えることです。
パワポ資料のストーリーとは、表紙という導入シーンから最後の結論まで、どんな流れで説明をしていくかという道筋です。壇上でスピーチをするときの原稿だと考えるとわかりやすいでしょう。「このシーンではこのエピソードを話す」など、段階を追って話をするのと同じ考え方です。段階を追って話すのは、相手が理解しやすいようにするためです。例えば、クライアントからの難しい注文への対応のために上司に承諾を得るときは、いつ、だれが、何を、どうした(どんな希望を出した)など、わかりやすい説明の順番を考えてから話すでしょう。同じように、パワポの資料作りでは、パワポを開く前に、別のアプリや手書きなどで説明の流れをまとめることが必要なのです。
きれいなパワポ資料の作り方、見やすいパワポのスライドデザインなどは、様々な本などで紹介されていますが、それらを参考にする前にストーリーを作ることを忘れてはいけません。
過去の資料を活用を活用する
「いきなりパワポを開かない」という言葉には、説明ストーリーを先に作る以外の意味もあります。それは「ゼロから作るのではなく、過去の資料をうまく使って時間を節約する」ということです。
このときの過去の資料には2つの意味があり、1つ目が過去に制作したパワポ資料の意味です。ストーリーが似ているものであれば過去の資料を下敷きにして文章や図、写真を入れ替えていけば作成も早く済みます。複数の過去資料を組み合わせる場合でも、ゼロから作るよりは早く完成するでしょう。2つ目は、過去の資料を見ることで、資料を使った説明の場面での失敗や改善点などを思い出して資料をアップグレードできるためです。プレゼンが上手な人の資料や説明ストーリーなどを参考にするのもオススメです。
【ポイント】
●いきなりパワポを開かないには2つの意味がある
●1つ目は説明ストーリーを先に作って時間を無駄にしないため
●2つ目は過去の資料を利用して作成時間を短くするため
●過去の資料は失敗の回避や資料のアップグレードにも役立つ
シナリオシートで「会議の流れ」を想定しておく
会議の参加者に配る資料ができても、それだけで会議がうまく進むことはありません。同じ資料であっても、参加者が同じように理解できるとは限らないからです。
資料を作成し、当日会議を進行するのはファシリテーター(進行役)です。場合によっては、資料を作成した人が進行役を務めることもあります。このとき資料以外に必要になるのが、シナリオシートです。
シナリオシートとは、事前に参加者に配られる1枚のメモで収まるアジェンダや打合せ内容の要約とは違い、会議の流れなどを記載した予定表のようなもの。アジェンダと異なるのは、時間や議題だけでなく、それぞれの議題で費やす時間配分なども事前に想定しておく点です。ファシリテーターは、資料の作成者が別のときには事前に資料や議題の内容について事前の打ち合わせをして、シナリオシートを作成します。もちろん、会議はシナリオ通りに進むとは限りません。そのため想定外のときのことも考えておく必要があります。
通常の会議なら各議題に何分かかるか程度を記入するだけで構いませんが、議論が白熱しそうな場合には、その議題の時間をさらに細かく設定したものを用意しましょう。
例えば、賛成派と反対派が拮抗している議題を話し合う会議なら、発表する時間、反対派の意見を述べる時間、それに対する反対意見を述べる時間、最後に多数決を採る時間、といった具合に細かい攻守交替の予定を事前に想定しておきましょう。
このときは、シナリオシートに意見を求める相手を事前に記載し、シナリオに従ってファシリテーターが発言者を指名します。指名する相手は、その議題について発言が予想される反対派の参加者とそれに対して発言する賛成派というように、事前に対立関係が予想される場合にはお膳立てしましょう。
その際は「それぞれの発言は1回ずつです」など、議論が泥沼化しないように釘を刺しておくとよいでしょう。
基本的にシナリオシートを参加者に見せる必要はありませんが、議論が白熱する可能性が事前にわかっている場合は、両陣営の発言予定者に事前に説明をして、発言を準備してもらうといった根回しもしておきます。「突然指名されても思ったように話せなかった」「議論を続けたかったのに打ち切られた」と不満が残らないようにするためです。
【ポイント】
●予想される会議の流れを記載したのが「シナリオシート」
●議論の白熱が予想される場合は細かな想定をしておく
●発言者を事前に決めておくことで混乱を避ける
●事前に指名を決めた発言者には根回しをしておく
【監修】坂本 崇博 コクヨ株式会社 働き方コンサルタント、働き方改革プロジェクト アドバイザー
1978年兵庫県生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、2001年にコクヨ株式会社入社。“効率化”という観点から会議体の工夫、情報管理方法のアドバイスなどを自ら考案、新規事業として立ち上げる。2016年に総務業務を中心としたアウトソーシングサービスを提供するコクヨアンドパートナーズ株式会社を設立。現在は、コクヨ株式会社にて働き方改革プロジェクトのアドバイザーを務める。著書に『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』(PLANETS/第二次惑星開発委員会)がある。
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