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株安・円高の金融市場…どうすればいい!? →今年は「商業用不動産のローンの貸し手」が狙い目なワケ【アライアンス・バーンスタインの見解】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月15日 7時15分

株安・円高の金融市場…どうすればいい!? →今年は「商業用不動産のローンの貸し手」が狙い目なワケ【アライアンス・バーンスタインの見解】

(※写真はイメージです/PIXTA)

8月2日に日経平均株価が「史上2番目の下落幅」を記録し、米ドル円は7月10日からわずか1ヵ月で10円超円高に振れるなど、株安・円高の様相を呈する金融市場。そのようななか、一部の投資家たちは「プライベート・クレジット市場」に熱視線を向けています。なかでも、「商業用不動産ローン」は今年非常に魅力的な投資対象となる可能性があるそう。米国の大手資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が詳しく解説します。

投資対象として注目の「商業用不動産」

2024年は、商業用不動産への投資を検討する投資家にとって魅力的な1年になりそうです。注目すべきはプライベート・クレジットによるローンへの投資。銀行は規制強化で自己資本比率を引き上げざるを得ない状況で不動産融資に慎重になっています。

※プライベート・クレジット……非公開で組成、交渉される投資商品のなかでも、貸付債権といった信用リスクに根差した商品のこと。

一方、満期を迎えるローンは、欧州では向こう2年で6,000億ユーロ、米国でも2024年だけで1兆米ドル相当にのぼります。このため、銀行以外の貸し手によるファイナンスの需要が高まっています。

ただ、これだけ金利が上昇し、社債や国債の利回りが高止まりしている状況で、「利回り差が縮小している商業用不動産ローンに投資をする必要があるのか」と疑問を抱く投資家もいるでしょう。

高金利の長期化と景気後退の可能性があるなかで、リスクに見合ったリターンが提供されるのかも気になります。仮に主要中央銀行が利下げに踏み切った際、エクイティを選んだほうが高いリターンが期待できると考えるかもしれません。

しかしABでは、ポートフォリオの分散を考えれば、エクイティとデットの両方に分散投資させるべきですが、足元ではローン投資といったデットのほうが、下落リスクを軽減しながら魅力的な投資機会を見つけることができると考えています。

主な理由として挙げられるのは、商業用不動産のサイクルがまだ底を打ってはいないことです。こういった局面ではローンの貸し手になる利点が高まります。足元のような状況で借り手になれるのは、クオリティの高い物件に投資をする信用力を有している証左です。プライベートな貸し手にとっては、より低いリスクで高いリターンを生むローン組成が可能です。

不動産価値が下方修正された状態でローンが組成されるため、LTV(評価額に占める借入金割合)の上昇リスクも限定的です。コベナンツも貸し手優位で交渉できます。保守的なローン契約によって、投資家は不動産が生む安定したインカム収益を得やすくなります。

商業用不動産ローンにおいてエクイティ(資本)は、価格下落を抑制するクッションとして機能します。評価が改善した際、その恩恵を直接受けるのは株式などの資本を持つ投資家です。ただ、それは同時に損失を受けるリスクが大きいことを意味していて、投資案件が失敗に終わった際、第一に損失を被るのはこうした投資家です。

不動産ローンのメリットとは

さきほどのクッション機能がどの程度のものなのか、仮説を立ててみました。

不動産投資でよく用いられるLTV比率が65%、キャップレート(不動産収入による還元利回り)5%の商業用不動産を例にします。キャップレートが5.5%に上昇すると、物件の価値は9%下落し、エクイティでは、26%の含み損が発生します。物件の営業利益が年率3%であったとしても含み損が解消されるまで3年近くを要します。

一方でローンの場合は、キャップレートが8%近くまで上昇しない限り、含み損が生じることはありません【図表】。

エクイティ投資家とローン投資家の2タイプがいたとしましょう。

引き続きインフレ懸念が燻り続けるなか、高金利環境が長期化し、キャップレートの上昇がもう少し続くリスクを考慮すると、エクイティ投資家は、慎重に投資タイミングを選ぶべき局面に置かれているといえそうです。

市場が底を打つ前に投資すると、さらなる物件評価の下落に見舞われ、損失を被る可能性があるのです。資金調達コストの上昇が配当利回りを低下させるかもしれません。

対して、ローン投資家にとっての外部環境は魅力を増しています。変動金利はインフレヘッジとして機能し、安定したキャッシュフローとともに信頼度の高いインカム収入をもたらしています。サイクルの観点からも「ローンの貸し手」になるメリットは大きいと考えられます。

清森 英晃

アライアンス・バーンスタイン株式会社

プライベート・オルタナティブ部 ディレクター

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