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いきなり飛び込んで撃沈…日本企業の「海外展開」、効率よく現地に精通する方法【経営コンサルが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月13日 18時15分

いきなり飛び込んで撃沈…日本企業の「海外展開」、効率よく現地に精通する方法【経営コンサルが解説】

国内での事業展開と、海外での事業展開は大きく異なります。市場や文化が異なる海外へ事業進出するためには、どうすればよいのでしょうか?  中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集し、新規事業としての海外展開を学びましょう。

海外展開という新規事業

当然ながら、国内の顧客に対して販売していた商品を、これまで販売したことのない海外顧客に販売することは立派な新規事業です。

しかし海外の場合は、国内での事業と異なり、どこに顧客がいるのか、顧客にはどのようなニーズがあるのかについて、十分な情報があるわけではありません。国によって、文化や言語が異なり、市場ニーズ・競合状況・市場規模などの市場状況や、規制・商習慣が異なることが予想されます。これが主に国内を想定している理由です。

ここでは、新規事業としての海外展開をどのように考えるかについて、私の考えを示したいと思います。

海外での事業展開には主に次の3つのタイプがあります。

タイプ1:現地生産 タイプ2:ECや現地代理店を通じた海外販売 タイプ3:海外直接投資

タイプ1:アジアへ工場を移し、生産コスト削減

タイプ1は、生産コストの低減などの理由から、従来国内の工場で生産していたものを、中国や東南アジアなどの海外で生産するものです。取引先の工場が海外に移転するのに伴い、そこに部材を供給している下請企業が現地生産をおこなうケースもあります。

この場合、生産拠点はたしかに日本国内から海外に移転しましたが、従来と同じ技術を使い、同じ顧客に対して納入するのであれば、CFTチャートに変化はありません。

※顧客・機能・技術の3点を頂点とした三角形型のチャートのこと。新規事業開発の担当者が議論を重ね、自社ならではの他社とは一味違う新規事業を考えるためのキャンバスとなる。

そのことからすると、生産拠点の海外移転は大きな変化ですが、必ずしも新規事業とまではいえないと思われます。ただし将来、従来の取引先以外に、新たに現地で顧客を開拓し、そこに納入する製品の製造をはじめる場合は顧客が変わりますので、新規事業といえるでしょう。

海外への生産拠点の移転は、当初は新規事業のためのものでなくても、将来に新規事業につながる可能性があるといえます。

タイプ2:国内向けの商品を、海外に販売

タイプ2は、従来国内市場向けに販売していた商品を、海外向けに販売するものです。CFTチャートのC(顧客)として、従来の国内顧客から海外顧客に展開するものです

たとえば、イチゴ・モモ・ブドウなど高品質の日本産の農産物を、国内市場だけでなくアジアの消費者向けに販売することや、日本酒や伝統工芸品などをECサイトを通じて販売すること、機械類を現地代理店を通じて販売すること、などが該当します。

国内に加えて海外に販路を拡大するものであり、比較的やりやすい海外展開といえるでしょう。ただしこの場合には、プッシュ型ではなく、プル型の販売になります。

海外の市場に広く自社の商品を伝え、顧客からの接触を待つことになりますので、特長ある商品であることが必要です。顧客や売上の拡大にはつながるものの、新しい事業の柱にはなりにくいケースが多いかもしれません。

タイプ3:海外に拠点を設け、現地へ商品を販売

タイプ3は、海外に生産拠点または販売拠点を設けて、現地などの顧客に自社の製品を販売するものです。海外市場のなかで、現地のニーズを把握し、それに対応して商品と販路を確保したうえで事業をおこなうものであり、本格的な海外への新規事業展開といえます。

たとえば廃棄物処理装置メーカーのように、海外のある国に「廃棄物を処理したい」といった強いニーズがあり、自社がそのニーズに対応できることが明確な場合は、このような海外展開が可能かもしれません。

しかし多くの場合、現地の市場状況などについて詳しい知見がない状況で、いきなり海外展開するのは現実的に困難です。タイプ1やタイプ2を通じて、現地の状況を把握し、現地でのネットワークを構築したあとに、十分な準備をおこなったうえで実施するのが適切であり、リスクも抑えられると思います。

チャンスを逃さないため、常に海外展開に取り組む姿勢を

それ以外にもさまざまな海外展開のパターンがあります。私自身がお手伝いした企業の例ですが、海外からの留学生などを雇用し、自社の仕事を覚えてもらったあとに、留学生の母国でのネットワークを生かして現地に進出するケースがありました。

また、展示会への出品やビジネスマッチングなどの機会に海外の事業家と知り合い、交流や打ち合わせを重ね、事業化の可能性を確認したうえで現地に進出するケースもありました。

これらのケースは、あらかじめ計画されたものではなく、偶然が重なった結果、海外展開につながったものです。とはいえ、このような可能性もありますので、機会があったときにそれを生かせるよう、積極的に海外展開に取り組む姿勢を常にもつことが必要と思われます。

中野 正也

株式会社グローバル事業開発研究所

代表取締役

※本記事は『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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