世帯年収1,330万円の30代夫婦、ドヤ顔で憧れの「湾岸タワマン」をフルローン購入。スカイツリーを窓から眺めニヤけるも…「住人の半数の正体」に唖然【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月1日 10時45分
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(※画像はイメージです/PIXTA)
人生の三大支出のひとつともいわれるマイホーム購入。いま人気の都内のタワマンをマイホームに選んだ場合、一層大きな支出となるでしょう。ところが購入後、理想と違った……と後悔する人も少なくないようです。本記事ではSさん夫婦の事例とともに、首都圏のタワマンで起きている異変について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
2024年上半期は3年ぶりに下落も、首都圏マンション価格は依然高額なまま
不動産経済研究所2024年4月2日に発表した資料によると、東京23区における2023年度新築分譲マンションの戸当たり価格の平均は、1億1,483万円。中央値でも8,200万円と高額です。2013年は平均価格が5,853万円だったため、10年で約2倍になりました。m2あたりの単価は161.1万円です。つまり坪単価は531.6万円ということになります。
1億円超の住宅ともなると、もはや平均的な年収の会社員世帯には手が届きません。世帯年収1,500万円~2,000万円程度のいわゆるパワーカップルが、ペアローンを借りてやっと手に入れられるかどうかという水準です。そのパワーカップルでも子供の教育費や老後への備え、今後の金利上昇などを考慮すると決して安全な買い物とはいえないのが実情です。
なぜマンション価格は高額なのでしょうか。
・建材価格の上昇 ・供給戸数の減少 ・地価の上昇 ・外国人投資家の参入原因として主にこの4つが挙げられます。特に外国人投資家の存在は大きく、円安を背景にしたマンションの「爆買い」よって、相場を引き上げたものと分析されています。その外国人投資家の多くを占めるのが中国人富裕層です。
中国人富裕層が日本のタワマンに投資する理由
中国人富裕層はなぜ日本のタワマンに投資するのでしょうか。理由のひとつに、中国国内の景気が急速に悪化していることが挙げられます。
・ゼロコロナ政策で傷ついた経済からの復活が遅れていること
・不動産バブルを抑制するための政策によって大手不動産会社がデフォルトに陥り実質的に破綻の状態にあること
・莫大な数の企業が倒産し若年層の失業率が非常に高い状態にあること
上記の原因などにより、中国国内に投資をするのは極めてリスクが高いと考えられています。そのため、外国の不動産への投資に魅力を感じているようです。特に日本は円安であり外国人にとって不動産価格がバーゲン状態になっています。社会情勢が安定し自由が保障されている国です。なにより日本の不動産は外国人であっても所有権を永続できるのです。多少利回りが低いとしても安全な投資先であるといえます。
中国では国外送金に制限が掛けられ、年間5万ドル(760万円程度)までとされています。しかも海外での不動産投資のためという理由では許可されないといいます。しかし親族の名義を活用するなどによって送金を行い、日本の不動産を現金で買い進めているのが実情です。投資用の場合は利回りだけをチェックして内見せずに買う場合も多いようです。まさに富裕層の爆買いそのものです。金額も買い方も、とても日本の不動産投資家は敵わない迫力があります。
「移住目的」の購入が増えている
投資目的のマンション購入だけではなく、実は移住目的の不動産購入が増えていることはあまり知られていません。中国ではネットスラングとして「潤(ルン)」という言葉が流行っています。これは英語の「run」をもじったもので、意味は「逃げる」です。つまり中国を脱出し他国に移住するということです。
中国政府による厳しいコロナウィルス対策、市場経済を導入しながらも自由が規制される生活、「共同富裕」とスローガンを掲げられた格差是正政策によって不当な扱いを受ける起業家など、国民の不満が高まっているのでしょう。富裕層だけでなく、迫害を受けやすい文化人や知識人、活動家、ひいては一般的な国民までもが中国脱出の方法を探っています。
移住先として人気の国は、日本です。移住した日本での住まいとして、タワマンをはじめとした不動産を購入する人が激増しているのです。
日本では在留資格や永住権がない外国人は住宅ローンを借りられないため、購入はすべて現金です。1億円をこえるタワマンを現金で購入できるのですから、必然的に富裕層だけということになります。
しかしマンションを購入できたとしても永住権がなければ移住できません。「日本で永住権を獲得するのは時間がかかり難しいだろう」とつい日本人は考えがちですが、実は抜け道として使われている制度があります。
それが「高度人材ポイント制度」です。
これは高度専門職の在留資格を有していて、学歴や年収、地位などの条件(ポイント)をクリアしていれば1年間の在留で永住権を申請できる制度です。たとえば、「博士号もしくは修士号を取得」「年収3,000万円以上」「代表取締役、代表執行役」この条件で最低限のポイントをクリアできます。
中国人富裕層のなかには海外の大学でMBAを取得している人も多く、さほどハードルが高い制度ではありません。通常は「10年以上日本に在留し、かつ、就労資格・居住資格をもって5年以上在留していること」が永住権申請の条件であるため、高度人材ポイント制度はかなりの近道といえます。
本来は高度な知識技術を持つ人材を日本に呼び込むための制度ですが、悪用される懸念も指摘されています。
マンション価格の高騰は日本人にとってマイナスでしかない
投資目的……移住目的と目的は違っても、チャイナマネーが都心のタワーマンションの相場を押し上げているのはご存じのとおりです。
タワマンの価格高騰は、日本人にとってマイナスでしかありません。日本の首都にあるマンションに、お金持ちの外国人しか住めなくなりつつあるのではないかという危機感を覚える人は多いでしょう。
「中国の資本が日本に流入し、それによって税収が得られるので日本にとってもいいことだ」と考える中国人もいるようですが、住宅という生活の基盤の価格が外国人によって高騰していくのはマイナスの要素のほうが大きいはずです。安全保障上の問題も指摘されています。
これは外国ではすでに問題となっているようです。シンガポール政府は2023年4月に不動産を購入する際の印紙税を引き上げ、外国人に適用される税率を従来の2倍の60%としました。これによって不動産運用の利回りが低下するため、中国人による「爆買い」が沈静化したという実績があります。外国人の不動産購入に規制を設けていない国は日本を含めごく少数派です。法改正が必要な時期に来ているのかもしれません。
住民トラブルも
ではタワマンでの生活の現場の様子はどうでしょうか。
残念ながら一部のマンションでは外国人住民との関係性が良好ではなく、ピリピリした雰囲気になっているケースもあります。不動産投資用として購入されたマンションが管理組合の規約に反して外国人向けの民泊にされている場合も散見されます。最近、話題のマンションの近くで大量のキーボックスが発見されたという報道を見たことがある人もいるでしょう。マンションが民泊に使われているのではと噂されていますが、住民にとっては気味が悪くなるはずです。
また、あるマンションでは外国人が住む部屋が、ベランダの手摺壁まで吹っ飛ぶような大爆発を起こした事件もありました。マンションが爆発するなど日本人にとっては映画のなかの世界です。生活習慣や価値観が大きく異なる住民がいることによって、不信感と緊張感が広がってしまうことはありえます。
タワマンの共有スペースで外国人住民がいつもたむろしていて、怖くて近づけないというケースもあるようです。生活マナーの違いでトラブルになることもあります。高額の住宅ローンを借りてやっと購入した夢のタワーマンションで、外国人とのトラブルが起きてしまったらどうなるでしょうか。事例を紹介していきます。
念願の湾岸タワマンをフルローン購入
<事例>
夫Kさん 35歳 メーカー勤務 年収750万円
妻Yさん 36歳 公務員 年収580万円
子供 7歳
数年前にタワマンを9,500万円で購入
Kさんは大手メーカーに勤務する会社員です。2年前、高校の教員をしている妻のYさんとペアローンを組み、湾岸エリアのタワマンを購入しました。
世帯年収は1,330万円。2人の勤務先や年収などの「属性」が金融機関から評価されたのか、9,500万円の審査が無事通過し、一生分の運を使い果たしたと思ったほど喜びました。手に入れたのはスカイツリーが遠くに見える眺望のいい部屋です。
夫Kさんは長野県生まれ、妻Yさんは岩手県生まれと、どちらも地方出身の夫婦にとって、湾岸エリアのタワマンは成功者の証のようなものでした。8年前に結婚したときから、意味もなく勝どきまで行きマンションも見上げては憧れを強めていたものです。地方出身の2人にとって、タワマンは自分の都会コンプレックスを埋めてくれるなにかに思えたと言います。
しかし、2人でまとまった年収がありながら、貯金はほとんどありませんでした。タワマンの契約をするときでさえ、口座の残高は合わせて150万円。貯金というより前の月に支給されたボーナスが残っているだけでした。2人は日常生活でも見栄を張る悪癖があり、まったくお金が貯まらないのです。
7年ローンで買ったベンツ、銀座を毎週走り回ってやっと手に入れたロレックス、買っただけで満足し積みあがっているバッグ……それらはすべてローンで手に入れたもの。それぞれ金利がいくらなのか考えたこともありません。浪費癖が治らないまま夫婦はフルローンでタワマンを買ったということです。
さすがの2人もこのままではいけないと思ったのか、ファイナンシャルプランナーに相談し、今後の資産形成を立案してもらいました。住宅ローンの返済もあるし今後はきちんと節約もして、資産運用もし、現金も貯めていこう……そう決意します。挫けそうなことがあっても、この窓からのスカイツリーを見れば笑顔になれる。夫婦力を合わせて頑張ろうと、新しい生活を始めましたのですが、入居早々にあることに気づいてしまいました。
そこは中国人住民との関係が上手くいっていないマンションだった
どうやらマンションの住人の約半分が中国人のようなのです。マンションの中で他の人と遭遇することがないため分かりませんでしたが、偶然知り合った同じマンションの男性がそう教えてくれました。
「ここ、中国人が多いですよ」
「中国人? ああ、中国のお金持ちならこんなマンションくらい現金で買うんだろうなあ」と、夫Kさんはその程度にしか思っていませんでした。
きっと日本で商売をしているお金持ちなのだろう、たいしたもんだなと感心するほどでした。確かに立派な身なりをして出かけていく男性を毎朝見るのですが、携帯電話で話しているのはおそらく中国語でした。上層階に住まうリッチなビジネスマンという風情で、Kさんにとって決して悪い印象ではありませんでした。
しかし、数か月も過ぎるとこのマンションの違う側面に気づき始めたのです。
共有部のラウンジに行くと、いつも群れて大声で話す中国人男性に出会うことが増えました。太って突き出したお腹、短パンとサンダル、角刈りのヘアスタイル、絶えず携帯電話を耳に当て大声で怒っている人も……。どの人もなんの仕事をしているのか想像がつきません。若い住人もいて、このマンションをどうやって買ったのか疑問に思うことも。
「あの人達って、本当にここに住んでいる人なの?」と妻Yさんがうんざりしたように言います。怖くてラウンジやテラスに行きたくないとのこと。妻Yさんは、エントランスの外には煙草の吸殻が捨てられているのを見かけることが多く、あるときは中年のおじさんが盛大に地面に痰を吐く姿を目撃したことがあると呆れます。「スーツケースをガラガラ引っ張っている人も多いんだよね」同じマンションの男性にそれらのことを伝えてみると、衝撃の事実を教えられました。
「どうも、中国人住民が仲間を連れて来て共有部で騒いでいるらしいです。何度も注意しますが、睨まれたりあしらわれたりで改善しませんね。日本人の方とは交流しないしぎすぎすしていますよ」
「あと、なかには所有者の方が実際には住んでいなく、親族や友人などに貸し出して東京旅行の拠点になっているのか、ヤミ民泊なのかわからない部屋もあるようですね」
これが1億円近くもしたタワーマンションの実態なのかと驚いてしまいます。しかしなにか直接的な被害を被ることはありません。生活習慣の違いだけの問題だろう、偏見は差別につながりとてもよくないことだ……そう夫Kさんは考えていたのですが、さらに実務的な問題も発生していることが発覚。
修繕積立金と管理費の滞納をしている住民が少なくないというのです。マンションの維持管理の面でなくてはならない費用のはずですが、毎月支払うというルールを理解していないことも考えられます。また説明を受けたとしても意図的に拒否するケースもあります。
ただでさえ修繕積立金は高騰していくことが考えられ、滞納があるとさらに将来危機的な状況になるはずです。大規模修繕ができないとマンションの価値が下がり、リタイア後に売却することも困難になるかもしれません。
「これはもしかして買い物を失敗したのでは……」夫Kさんと妻Yさんはどちらも心の中でそう思っていますが、35年ローンは今始まったばかりです。
とりあえず、民度が低いマンションではあるけれどまだ爆発したり殺人事件が起きたりはしてないから……そう自分に言い聞かせながら、タワーマンションにあこがれを抱いていたほんの数年前の自分に戻りたい気分です。
長岡 理知
長岡FP事務所
代表
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