郷里の実家にひとり住まいの兄、死去…都内に家族で暮らす弟が思わず叫んだ、兄の遺言書の「まさかの内容」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月31日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
多死社会の日本では、日々多くの相続が発生している。亡き人への感謝や感動がある一方で、割り切れない思いをするケースも…。ある60代の兄弟の事例をもとに、実情を見ていく。
実家を出た二男は家庭を築き、実家にとどまった長男は独身
高齢化が進展する日本では、日々多数の相続が発生している。しかし、相続はスムーズに資産承継できるケースばかりでなく、しばしばトラブルを引き起こすことがある。
60代の山田さんは、亡くなった兄の相続で、いまも納得できない思いを抱いている。
「3歳年上の兄が亡くなりました」
山田さんは兄と2人きょうだい。二男の山田さんは結婚して家庭を築いているが、長男の兄は独身だった。また、山田さんの両親は10年前、9年前に相次いで亡くなっている。
「兄とは険悪な関係ではありませんでしたが、若いときからほとんど交流がありませんでした」
関西の実家を離れた二男、生活拠点を東京に
山田さんは関西の出身だが、進学・就職のために上京した。その後は生活の拠点を東京に移し、東京郊外にマンションも購入した。
一方の兄は、長男ということで大切にされ、長年にわたって関西の実家住まい。就職先で身につけた技術をもって独立したものの、仕事はあったりなかったりのようだった。しかし、実家が裕福で収益不動産を所有しているため、食べていく分には困っていないようだった。
「私は兄と2人きょうだいですが、兄は跡取りということで大切にされ、私はかなり〈ぞんざい〉に扱われてきました…」
しかし、社交的で明るい山田さんは、都内の有名私立大学に進学すると、そこでたくさんの友人を得た。20代前半で大学の同級生と結婚したが、妻の親族が温かく接してくれ、そこに自分の居場所を見出したという。
「兄は別に性格が悪いわけでもなく、普通の人です。べつに仲が悪かったわけではないのですが、親の扱いに差があり過ぎました。そのせいで、親しくなれないまま大人になってしまい、その後は交流が途絶えがちになりました」
「お兄ちゃんには面倒をかけられないから」と母が…
山田さんの兄は内向的なタイプで、新しい人間関係に飛び込むのが苦手だった。そのため、会社員が性に合わず、結婚することもなく、ずっと母親に身の回りの世話をしてもらって生活していた。
「母は〈お兄ちゃんは芸術家タイプだから〉といっていたましたが、それはちょっとわからないですね。結局、母親は生涯にわたって兄の世話をしました。両親の介護ですか? 兄はまったくしていませんよ」
山田さんの父親は10年前に脳梗塞で倒れて入院。1ヵ月後に回復の兆しのないまま亡くなった。母親は父親が亡くなる数年前からがんを患っていたが、一時は手術で回復し、これまで通りの生活を送っていた。しかしその後、次第に病状が悪化。自宅療養はせずに総合病院へ入院し、その後はホスピスへ。父親が亡くなった1年後、あと追うように亡くなった。
「〈お兄ちゃんには面倒をかけられないから〉というのが母の口癖でした。それに、母親はちゃんと、相続税が払えるぐらい現金を残していましたよ」
山田さんの両親は遺言を残していなかったが「全財産をお兄ちゃんに」と常々聞かされていた。山田さんも、自分が財産を相続するより、兄が自宅と収益物件を持っていれば生活が安定するので、それで納得した。
「正直な話、兄は独身ですから、その後は自分か、そうでなければ私の子どもに財産が戻ってくると思ったのですよね…」
兄が遺した、まさかの遺言書の内容
ところが今回、兄が亡くなったことで、驚くような事実が判明した。
「兄はとんでもない遺言書を残していたのです」
兄が遺した公正証書遺言の内容は〈全財産を交際相手の女性に遺贈する〉というものでした。
「思わず〈なにかの間違いでは?〉って叫んでしまいました」
「遺言書には〈長年にわたって心の支えになってくれた明子さん(交際相手の名前)に感謝します〉とありました。まさか、こんなことになるなんて…」
山田さんの実家も収益不動産も、関西の人気エリアにある価値の高いもの。
「兄に交際相手がいたことも知りませんでしたが、実家の不動産が全部売却されていたことも知りませんでした。事情を聞きつけた近所の幼馴染から連絡をもらって、本当に驚きましたよ…」
だが、いまとなっては事実は藪の中である。きょうだいには「遺留分」がないため、遺言書が準備されていた以上、どうしようもないのだ。
「兄のことを何も知らなかったということです。理不尽だと思いますが、法律ですから…。あきらめるしかありませんよね…」
相続の結末が、なんとも納得できないケースは少なくない。相続において、山田さんのような思いをしている方もいるのではないだろうか。
[参考資料]
法テラス「遺留分とは何ですか。」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
両親の介護に尽くした二女、遺言で4,000万円の実家を託されたが…母の死後「即座に売却を決意」した、悲しすぎる理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月29日 11時15分
-
あまりに不公平…「全財産は長男に」亡き父の遺言書を見た長女、激怒。父の遺志を無視した遺産分割を行っても大丈夫?【相続専門税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月24日 11時15分
-
「この内容通り、遺言書を書いて!」60代姉夫婦、90代の母に迫ったが…跡継ぎの弟の「素早い行動」が救った、母の窮地
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月21日 13時0分
-
私は病弱でずっと母には迷惑をかけてきました。母は今も心配して頻繁に連絡をくれます。自分が死んだら母にすべての遺産を渡すことはできますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月13日 23時10分
-
【資産総額1億円超】80代「まるで女王様」な母が準備した「超ありがた迷惑な遺言」に50代長女が疲労困憊のツラ過ぎる事情
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月8日 11時45分
ランキング
-
1パリ五輪〝初老ジャパン〟活躍でわく疑問「40歳って初老なの?」 皆がイメージする年齢は...
Jタウンネット / 2024年7月30日 21時0分
-
2スーパーの大胆な節電方法が話題 猛暑の中、飲料の冷蔵ショーケースを丸ごとオフに… ネットでは賛否の声
よろず~ニュース / 2024年7月31日 7時20分
-
3水道水はそのまま飲めない…令和の子育て世代、煮沸して飲む人増加 その背景には「水道管の劣化に対する不安も」
まいどなニュース / 2024年7月31日 7時20分
-
4藤原マキさん「私の絵日記」に米アイズナー賞…つげ義春さんの妻
読売新聞 / 2024年7月30日 18時55分
-
5夏は「ぽっこりお腹」に要注意!? その原因とケア方法を専門家が解説
ハルメク365 / 2024年7月30日 22時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください