「年金も半分はいただくわ」と妻は…退職金3,000万円を手に意気揚々の定年サラリーマン、結婚35年目の離婚危機に〈穏やかな老後〉が崩壊
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月1日 17時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
独身時代は自由に趣味を楽しんでいたけれど、結婚し、子どもが生まれるとそういうわけにはいきません。ぐっと我慢し、定年を迎えたら思う存分……そう夢みているサラリーマンも多いのでは? しかし、夢みた老後が誰もが実現できるとは限らないようです。
在勤40年、65歳で定年退職…楽しみにしていた老後の生活が一転
学卒以来、勤めていた会社で定年を迎えた男性。当初の定年は60歳でしたが、途中で65歳に引き上げられたといいます。入社から40年以上。「よく働いたな」と感慨に浸っていたといいます。
退職金は3,000万円ほどを全額一時金でもらい、これまでの預貯金と合わせると6,000万円を超える。自身の年金は月額20万円ほどで、妻の年金と合わせると30万円くらいにはなるはず。贅沢三昧とはいかないまでも、穏やかな老後を送れるはず。鉄道模型、観劇、旅行……元々多趣味でしたが、子育てのなかでぐっと我慢を続けてきましたが、定年を迎えたらそんな必要はなくなると楽しみにしていたといいます。
ただし、誰もが思い描いた通りの老後を迎えられるわけではありません。定年生活を迎えてまもなく、妻から切り出されたのは別れ話。
――えっ、離婚って、おまえ……
寝耳に水の男性。これ以上、なかなか言葉が出てこなかったといいます。株式会社はぐくみプラスが既婚者に対して行った『夫婦関係の悩みについてのアンケート調査』によると、「夫婦関係がうまくいかない」と思ったことがある人は男女ともに68%。具体的に夫婦関係の悩みとして挙げられたのは、男女ともに「金銭感覚の違い」。女性は「家事育児に非協力的」「相手から愛情を感じられない」「教育方針の違い」と続き、男性は「相手から愛情を感じられない」「レス」「教育方針の違い」と続きます。
そして壊れた/壊れかけている「夫婦関係を修復したいと思うか」の問いに対しては、男性「はい」が42.0%に対して、女性は36.0%。6ポイントほどの男女差があり、女性のほうが「もういい」と諦めの域に達しやすいことが分かります。
ちなみに「良い夫婦関係の秘訣」も尋ねたところ、女性のトップは「相手を思いやる」。「会話の時間を持つ」「感謝を表現する」「干渉しすぎない」と続きました。男性のトップは「会話の時間を持つ」で、わずかに「相手を思いやる」を超えました。「感謝を表現する」「干渉しすぎない」「相手を尊敬する」と続きます。
定年した夫に「離婚」を突き付けた妻…積年の想い
何が不満だったのか、離婚という結論に至ったのはなぜか。色々と考えてみましたが、答えが見つからなかったといいます。そこで「何が不満なんだ?」と尋ねたところ、
――わたし、お義母さんと同じお墓には入りたくないの
と、まさかの理由。男性の母は、3年前にすでに他界。確かに嫁姑の関係はよくありませんでしたが、もう懸念はないはず。「もう母さんもいないんだし、なんで?」と尋ねると、
――お義母さんからヒドくいびられている時もあなたは知らんぷり。そんなあなたに、ずっと前に愛想を尽いていたの
――定年するまでは、定年するまでは……ずっと我慢してきたの
まさか、そんなに不満を募らせていたとは……男性にとってはまさに晴天の霹靂。「結婚して35年、一緒に頑張ってきたじゃないか」などと、なんとか妻をなだめようとしますが、意志はかなり固いよう。
――年金もちゃんと半分はいただくわ
あとは男性が書くだけという離婚届とそんな捨て台詞を吐いて、家を出ていったといいます。
財産分与は、婚姻中に双方の協力によって取得した財産は名義にかかわらず精算の対象。子どもの名義の預金や保険であっても、夫婦の財産から出したものであれば、財産分与の対象となります。退職金も同様。さらに退職金も在職中の労働に対する賃金の後払いとしての性質を有するので、たとえば、これから退職金を受け取る予定であっても財産分与の対象となります。
一方、婚姻中でも親から相続した財産は、基本的に財産分与の対象にはなりません。ただ相続財産の維持に、一方の寄与や貢献があった場合は、財産分与の対象となる場合があります。
年金に関しては、要件をクリアすれば厚生年金の年金分割請求が行えます。年金分割には、共働きの夫婦が婚姻期間中の厚生年金記録に基づいて、夫婦の話し合いにより分割割合を決定する「合意分割」と、国民年金の第3号被保険者(年収130万円未満の主婦など厚生年金加入者に扶養されている配偶者のこと)だった配偶者と、厚生年金記録を2分の1ずつ分割する「3号分割」があります。夫婦共働きだった場合、夫婦間で収入が少ない/ないほうが、多いほうに年金分割を請求できます。
厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、2022年度、年金分割件数は3万2,927件。分割した人は平均して3.1万円ほど年金が減少しています。平均値通りだとすると、男性の年金は月20万→月17万円ほどになるということになります。
後日談。
35年の月日を重ねてきても、離婚という結論に達しそうな男性。弁護士を介しての交渉を行っているといいます。
[参照]
株式会社はぐくみプラス『夫婦関係の悩みについてのアンケート調査』
法テラス『財産分与の際には、どのような財産が対象となるのですか。』
法テラス『将来受け取る予定の退職金(退職手当)は、財産分与の対象になりますか。』
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