だれもが持つ「老後資金不足への不安」だが…「怖がるだけの人」が陥りかねない、さらに過酷な未来とは【経済評論家が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月3日 9時15分
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(※写真はイメージです/PIXTA)
多くの人が抱えている、老後資金の不安。しかし、実際に将来のお金を計算してみると、杞憂だったり、大きな問題ではなかったり、いまから対策すれば間に合うものだったりします。しかし、不安がるだけで対策に動かない人の場合、マスコミの情報に踊らされたり、悪い人に付け込まれたりして、さらなるリスクを招きかねません。経済評論家の塚崎公義氏がアドバイスします。
「自分の老後資金、足りないのでは…?」と思ったときの対処法
「自分の老後資金、足りないのでは…?」
そんな漠然とした不安を抱えている人は多いようです。そういう人は、まず、自分が将来受け取れる公的年金や退職金などの金額を調べてみましょう。それを、老後に必要となる生活費と比べてみましょう。
その結果、「それほど心配ない」ということなら、不安が解消できるでしょう。「ある程度努力すればなんとかなりそうだ」ということなら、不安に怯えている代わりに、どのような努力をすればいいかを具体的に考えればいいでしょう。「相当厳しい状況にある」という場合には、早めにファイナンシャルプランナーに相談するとか、行政の支援について調べてみる、といった対策が必要かもしれませんね。
普通の人の老後資金は、なんとかなる
サラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)は、公的年金が充実しています。40年間標準的なサラリーマンとして働いた人は、専業主婦(夫)との合計で老後は毎月23万円ほどの年金が受け取れます。それなら、贅沢をしなければなんとかなりそうです。
年金だけでは老後資金が2,000万円不足する、といった報道が数年前に話題となりましたが、それは誤解です。「平均的な高齢者は、老後の蓄えを取り崩してささやかな贅沢を楽しんでいるので、老後資金は公的年金より2,000万円多い」というだけのことなので、老後の蓄えがない人は、ささやかな贅沢を諦めれば生活に困ることはない、というわけです。
自営業者の公的年金は、サラリーマンと比べると見劣りしますが、一方で、定年がないため、元気な間は現役として稼ぎ続けることができます。サラリーマンが定年後再雇用などで収入が激減しかねないのと比べると、大きな安心材料といえるでしょう。
もっとも、体が弱くて十分に稼げない人や、就職氷河期に正社員になれずにアルバイトで生計を立てている人などは、老後資金が大いに不安かもしれませんから、早めに行政の支援等について調べておいたほうがよいかもしれませんね。
世の中には「不安を煽る人」が多いので…
老後資金問題に限らず、世の中には不安を煽るような情報が溢れています。評論家は「大丈夫でしょう」というより、「多くの問題があり、心配なことも多数あります」といったほうが人々の関心を惹くことができるでしょうから、悲観的なことをいいたがる人が多いようです。
マスコミも、悲観的なニュースのほうが視聴率や販売部数を稼ぎやすいので、悲観的なニュースを流しがちです。筆者はときどきマスコミの取材を受けるのですが、「大丈夫でしょう」と答えると「それでは記事にしにくいので、ひとつでも心配なことを思いついていただければ…」などといわれることがあります。マスコミとは、そういうものなのです。
野党は政府を批判するのが仕事ですから、うまく行っていることには触れず、うまく行っていないことを強調します。そこで、聞き手が不安になるわけです。
筆者は、評論家やマスコミや野党を批判しているのではありません。読者や視聴者を増やし、視聴率や販売部数を増やし、得票数を増やすために合理的に行動しているだけですから。問題があるとすれば、悲観的な記事を読みたがる客の方でしょう。
老後資金が足りている人は黙っていて、足りていない人だけが「なんとかしてくれ!」と声をあげている、ということもあるかもしれません。そうした人をマスコミが取材すると、そんな声ばかりが我々の所に届く、というわけですね。
そうしたことを理解すれば、「自分のところには悲観的な情報が多くはいっているが、実際の世の中は、それほど悪いことばかりではなさそうだ」と考えることができるかもしれませんね。
壺にハイリスク商品…不安を煽って悪質な商売をする輩に注意!
世の中には、人々の不安を煽って商品を売りつけようとする輩も大勢いるので、要注意です。悪霊への恐怖を煽って怪しげな壺を売りつけようという輩がいるそうですが、そうでなくても、老後資金の不安を煽って投資商品を売りつけようとする金融機関等々も多いでしょう。
「老後資金が足りないなら、わが社の投資商品を買って儲けましょう」などと言われたら、「老後資金が足りないのに、投資で損をしたら悲惨な老後になってしまうので、そんなリスクはとりたくない」とでも言い返してやりましょう(笑)。
もっとも、筆者は投資を否定しているわけではありません。むしろ、「投資信託の積み立て投資をすることでインフレリスクに備えるほうがよい」と考えています。問題は、リスクの高い商品を売りつけようとする業者等であったり、大量の投資信託を一気に買わせようとする金融機関であったりするので、そういう勧誘には注意しよう、ということなのです。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
塚崎 公義 経済評論家
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