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「すごいですね」「なるほど」→会話を“陳腐”にしてしまいがちだが…あとに付け加えるだけで途端に“会話上手”になれる〈ナイスなひと言〉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月13日 11時0分

「すごいですね」「なるほど」→会話を“陳腐”にしてしまいがちだが…あとに付け加えるだけで途端に“会話上手”になれる〈ナイスなひと言〉

職場でのコミュニケーションがうまくいかなかったり、話が相手に伝わらなかったりと、「対話」に関する悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。対話をするうえで、自分ばかりが話すのではなく、相手の話をいかにしっかりと聞くことができるかも重要です。フリーランスでキャスターや社外役員などを行っている木場弘子氏の著書『次につながる対話力~「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと~』(SDP)より、詳しく解説します。

良い「聞き手」になってみよう

コミュニケーションの際に最も大切にするべき「共感」をどのように生み出したらいいか――対話というのはそもそも自分と相手の双方があって成り立つもの。その役割や立場は刻々とチェンジし、話し手である自分は、相手の発言に対しては良き聞き手となることが、さらにお互いの距離を近付けることになるのは当然のことです。そこで大切にしたいのが、聞き手としての“リアクション”です。

実は、私にも「乗って」いける講演会とそうではない講演会があります。お客さんのリアクションに左右されるのですね。出だしから弾んでいけるのは、女性のお客さんの多い場合。「女性セミナー」はまず大丈夫、話す前から乗っていけるのです。

ステージに立った途端、満面の笑みで拍手をいただき、手を振って下さったり、名前を呼んで下さったり。その後は、お隣さんと感想の交換。話し始めると、客席はすぐに笑いと拍手に包まれ、時に涙を流して下さる。これが、男性の比率が高まるにつれ、どんどんリアクションが薄くなってしまうのは不思議です。日本の、特に年配の男性は、どうも「人前で笑うのは恥ずかしい」と思っている節があります。

リアクションと言えば、実は私も新人アナウンサーの頃、随分、苦労しました。初めて担当したラジオ番組は、噺家さんとの生放送でした。その際の私の最大の課題は笑い声。どういうことかと言いますと、テレビは笑顔でリアクションすれば、「あっ、この人、楽しいんだ」と画面から伝わりますが、ラジオでは微笑んでいても、それが全く見えないし、伝わりません。音にしなければ、リアクションゼロと同じになるのです。

そのため、「声を出してはっきり笑うように」とディレクターから注文が出ました。しかし、皆さんもやってみて下さい。楽しそうに大声で笑うのって、結構難しいのです。私は3カ月ぐらい鏡の前で、練習しました。そして、今日の「アッハハハハ……」という豪快な笑いを手に入れたわけですが、おかげで夫からは「うるさい!」と注意を受けることもしばしばです(笑)。

話を元に戻しますと、講演中、何百人というお客さんの中で、どこを見て話しているのか? なるべく右見て、左見て、全員を見渡すようには気を配っていますが、ついつい視線は熱心に話を聞いてくれる人のほうへ――そこは人間、自然と頷きやリアクションの大きい人に集中していってしまうものです。

対話するうえでの「頷き」の重要性

以前、私の事務所に本当にリアクションが素晴らしい女性スタッフがいました。ある時、私が仕事上、納得できないことがあって、その理不尽さについて彼女に説明すると、ウンウンと大きく上下に頭を振って、聞き入ってくれます。すると、心が軽くなり、いつの間にか表情が緩んでしまう自分がいるのです。

このように、頷きとは相手を肯定し、受け入れるという率直な意思表示であり、これに救われた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか? 「私は今、あなたの言うことをわかろうと努力していますよ」というのは、目の前の人への温かい思いやりだと思います。決して同調する必要はなく、まず、しっかり相手の言うことを聞いた上で、反論するならすれば良いのです。

頷きができるようになったら、次は声に出しての「相槌」に移りましょう。実際、コミュニケーションにおける相槌の効果は心理学の研究でも実証されているそうで、それによって話し手の発言は1.5倍も増えると言います。良い相槌で、相手がどんどん話してくれるようになるのなら、試さない手はありません。最初は、「はい」や「ほう」や「へえ」といった簡単なものでいいのです。その次は、「いい天気ですね」に対し、「ほんとにいい天気です」と、オウム返しでも十分効果があります。

たとえば次のようなやり取りで、あなたをA、相手をBとして――

A「いいネクタイをしてらっしゃいますね?」

B「これ、とても気に入っているんです」

A「ほう、どんな点で?」

B「実は40歳の誕生日に家族がプレゼントしてくれまして」

A「素敵ですね。どちらでお買い求めに?」

B「いつも行く○○デパート、あそこは品揃えがいいんです」

こんな風にちょっとした質問の時にリアクションも挟めれば、もう中級クラスです。

その際にしっかり聞いてほしいのは、相手の言葉です。そこにリアクションのヒントがありますから、対話の際はそこに集中してこそ、テンポのいい反応につながります。インタビュアーでも不慣れな人ですと、相手が話しているのに次の質問をあれこれ考えていて、話に集中できていないことがあります。それでは対話はなかなか弾まないでしょう。「言葉尻をとらえる」というと、いい意味ではないですが、まずは相手の言葉の中にリアクションの材料があるという意識を大切にすることです。

「相槌を打つ」とは、もともと刀工の方が師匠の打つ槌に合わせてと弟子が槌を入れる鍛錬からきているそうです。師匠と弟子で、カンカン、カンカン……と槌を振るって刀を鍛える様子を、対話に活かせたら素晴らしいですね。共感に溢れ、テンポのいい対話のため、皆さんもぜひいい槌を振るって下さい。

全て「すごい」で済ませていませんか?

「聞き上手」になるための方法として、相槌が大切なことをお話ししました。テンポの良い相槌で、ツボを押さえた言葉を投げ返せるようになると、相手との言葉のキャッチボールにもぐんと弾みがついてきます。

一方、お互いの投げる言葉の選び方がまずく、相槌が上手く嚙み合わないと、話自体がストップしたり、つまずいたりで、なかなか思うようにいきません。

このように話の流れをストップさせる言葉の中で最も多く耳にするのが、お尋ねの「すごい」ではないでしょうか。ビジネスの対話でも、プライベートのおしゃべりでも、何かにつけて「すごーい」をよく耳にします。

たとえば、仕事の場で――

「この商品、発売早々とても評判がいいんですよ」

「すごいですね」

「デザインに苦心したんですが、どうご覧になりますか?」

「すごいですね」

――という具合に、この言葉が出た途端、不思議に対話はそこから先へ進まなくなってしまいます。

理由は簡単、「すごいですね」というのは単なる“条件反射”のようなものに過ぎず、相手にすれば「どこがどう?」と聞きたくなって消化不良になるからです。背景にあるのは、自分の意見をはっきり表明せず、無難にやり過ごそうというリスク回避の意識か。あるいは、単に色々な言葉を使い分けるのが面倒で、とにかく大げさに反応すれば、褒めているのだから相手も悪い気はしない、と踏んでいるのか。似た言葉に、「やばいですね」あるいは「なるほど」がありますが、「なるほど」を連呼すると、何でそんなに上から目線なんだろう、と誤解される恐れがあるので注意が必要です。

最初は“条件反射”を”感想”のレベルまでブラッシュアップしておきたいですね。まずは、きちんとした感想を投げ返すことから始めてみて下さい。それができて初めて、会話が続いていくことになります。

難しいことはありません。「すごいですね」と言う時に、なぜそう思うかを自分なりに付け加えてみるのです。

先ほど挙げた例で言えば――

「この商品、発売早々とても評判がいいんですよ」→「すごいですね、若い人に人気が高いそうで、新しい市場の開拓ですね」

「デザインに苦心したんですが、どうご覧になりますか?」→「すごいですね、この部分の色と形に、これまでに無い特徴がありますよね」

――こうなれば、相手としても「そうなんです、その点につきましては……」という具合に、やり取りが続いていくでしょう。皆さんも周りで「すごいですね」と表現する人がいたら、すかさず「どこが、どんな風にすごいんですか?」と問いかけてあげると、当人にとっての気づきにつながると思います。

その上で、さらに一歩進めて「自分だけの表現」を、少しずつ工夫してみるのもお勧めです。

古い話で恐縮ですが、例を挙げてみます。それは、私がTBSで「ニュース23」を担当していた頃の話です。またしても夫のたとえ話となり恐縮ですが、身内で気軽に例として使いやすいためと、ご理解、ご容赦下さい(笑)。

その年、投手として日本最速記録を達成した与田を取材に行った日に、筑紫哲也さんから「与田投手の球って、どれくらい速いの?」と尋ねられました。普通なら「すごいんですよ、何と157km!」と答えるところで、私は他の表現を使ってみました。「球場でお客さんにインタビューしたのですが、与田投手が投げると『首が疲れる』と言うんですよ」

すると、筑紫さんは「何のこと?」という顔。おそらく、カメラの先にいる視聴者の皆さんも首を傾げたと思います。

そこで私は種明かしを。

「そのお客さんは、スピードガンの表示が見にくいお席だったようです。だから、彼が一球投げる度に、1回1回、首をひねって確認する必要があったので、『首が疲れる』となったようです」

この場合、単に「すごい」を連発するよりも、受け手には強く印象に残ったかもしれません。最初はなかなか難しいかもしれませんが、一つのヒントとして「視点を変える」という意識を持つというのはお勧めです。

球速の例で言うと、「15km、すごい!」という数字を使った直球の表現から、「首が疲れる」という変化球の表現へ、見方をちょっとズラすだけでユニークな表現は生まれるものです。

ほかにも、美味しい物を食べた時などに、「すごく美味しい!」ではなく――

「今日はみんな食べるのに夢中で、口数が少ないね!」

と、より実感を込めてみると、誰もが「そうそう」と頷いてくれるでしょう。

これからは「すごい」だけで済ませるワンパターンから卒業して、自分なりの表現法を工夫してみませんか? トライすると結構大変なものですが、こういう努力から自分なりの表現や個性が生まれると信じています。私からの宿題です(笑)。

木場弘子

フリーキャスター

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