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島の封鎖、火山、高潮…フィリピン不動産投資で注意すべき「政治的リスク」と「自然災害リスク」【海外不動産投資のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月4日 9時15分

島の封鎖、火山、高潮…フィリピン不動産投資で注意すべき「政治的リスク」と「自然災害リスク」【海外不動産投資のプロが解説】

国全体が成長しているフィリピンの不動産購入には大きなチャンスがあると話すのは、海外不動産投資に詳しい町田健登氏です。なかでも、住民のトラブル対応などの管理が不要、オーナーが客付けする必要がない、管理と集客をしてくれる運営会社を選んでおけば丸投げで利益が上がるといった点から、ホテル投資をおすすめしています。しかし海外の不動産の場合、知っておきたいのが「政治的リスク」や「自然災害リスク」です。そこで本記事では、町田氏の著書『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)より一部抜粋し、それぞれのリスクについてご紹介していきます。

「政治的リスク」は「観光地」で勃発する

私がおすすめする「フィリピンホテル投資」で失敗しないためには、政治的リスクを考えておくことが大切です。実際に、ボラカイ島で起こった事例で説明しましょう。

ボラカイ島は世界トップ10のビーチに選ばれたエメラルドの砂浜がある人気リゾート地です。フィリピン現地だとセブ島よりも人気があります。

そのボラカイ島にホテルコンド(投資可能なホテル型のコンドミニアム)が数多く立っています。以前から、ホテルコンドは利回りが得られるのと、オーナーは無料で宿泊できる特典があり、別荘として人気がありました。

ボラカイ島のホテルが自分のものになったという優越感もあるし、別荘として所有する人が多かったのです。ところが、2018年4月26日、当時のドゥテルテ大統領が急にボラカイ島を半年間封鎖するという事件が起こりました。

理由は、環境美化です。ボラカイ島は以前はゴミもない綺麗な島だったのですが、ホテルや外食産業がこぞって進出した結果、ゴミだらけになってしまったのです。このような惨状にドゥテルテ前大統領が怒り、「国際的にも人気のボラカイ島がこのような環境ではダメだ」と環境美化が進むまではホテルも飲食店も半年間営業停止を決めました。

もちろん、島民は全員が反対の声を上げましたが、状況は変わりませんでした。ボラカイ島でダイビングショップを経営する私の友人の話では、本当に急に決まったので補助金なども出なくて全損だったそうです。

島では3万6,000人が職を失い、経済損失は約400億円に上ったと推定されました。これは、完全に政治リスクとしか言いようがない事件です。

現在のフィリピンでは環境美化や脱炭素に本気で取り組んでいるため、日本では信じられないような意思決定があることも事実です。そういう意味では、同じようなことが起こる可能性はゼロではありません。

そう考えると、観光需要だけのエリアのホテルは避けた方がいいでしょう。できたらやはり、マニラ近郊、セブ、などの観光とビジネスが両方狙えるエリアが良いです。

もちろん、今回のような事件が起こったのはボラカイ島だけです。そう何度も起きないとは思いますが、政治的リスクを考えると、離島の物件はやめておいた方がいいかもしれません。万が一、観光需要がなくなったとしても、ビジネスの出張での需要がある立地のホテルなら、つぶしが利きます。

「自然災害リスク」はこうして避けよう

フィリピンホテルの立地を考える場合、自然災害リスクも考慮したい条件です。フィリピンでは主に台風に伴う洪水、高潮、火山の3つの自然災害リスクがあると考えています。

例えば、火山に関しては、タガイタイのタール火山があります。タガイタイは、首都圏のマニラから車に乗って1時間で行けるので、日本の軽井沢のような人気の避暑地です。

タール火山は、2020年に噴火して漁業などに影響が出て、地域住民以外は立ち入り禁止になりました。現在も、タール火山は定期的に噴火しているので、周辺エリアの物件は避けておいた方が無難かもしれません。

ちなみに、フィリピンでも地震はあります。2022年10月25日、北部のイロコスでマグニチュード6.7の地震がありましたが、日本と比べると地震は少ないです。私はマニラに住んで6年になりますが、震度3以下の揺れが年に1回あるくらいです。地震に関してはむしろ日本の物件の方がリスクが高いので、それほど気にする必要はないと思います。

それよりも、一番気をつける必要があるのは洪水リスクです。フィリピンには雨期があるので、雨はたくさん降ります。台風が来ると、郊外のエリアだとまだ治水の面で整備が進んでいないので、大雨でプールのような水たまりができることがあります。

首都圏のマニラやビジネス地区のマカティやBGCなら排水が整備されているので、大雨でも全く問題ありません。

チェックポイントとしては、調べられたら物件の周辺エリアの川に堤防があるとか、業者の方に聞いてハザードマップを入手すると良いでしょう。もし現地に友人がいるなら、購入するエリアが大雨のときは、排水が大丈夫かを聞いてください。

ただ、この辺りの情報を入手するのは難しいかもしれません。ただ、最低でも過去に洪水が起こったエリアなのかは調べることができると思います。

あと、高潮についても触れておきます。セブにSMシーサイドシティというエリアがあります。セブ島に新しくできた橋「セブ-コルドバリンク高速道路」の先の開発が進んでいて、カジノや大きいショッピングモールが建設され、ハワイのように綺麗な景観で人気のエリアです。

ただ、今このエリアの物件価格が下がりつつあるのですが、その理由が高潮でした。2022年に大きな台風が来たときに、想像以上に高波が来てしまい、低層階の住宅が水浸しになったのです。最近は新しい物件は盛り土して高くしてあるので、高潮でも大丈夫なエリアが多いです。

フィリピンは南国なので、オーシャンビューの立地がやはり人気です。ただ、高潮の観点からすると、海沿いの物件はすこし気をつけた方がいいかもしれません。おしゃれなエリアの場合、見落としがちになるポイントだと思います。

あと、首都圏のマニラ湾に近すぎる物件なら、海の匂いも確認しておきましょう。風向きによっては、不快な匂いが来ることがあるからです。

以上、フィリピン不動産のリスクを見てきました。強烈な台風が来ることもありますが、外国人購入可能なホテルは基本鉄骨であり簡単には吹き飛びません。すると特に気にすべき災害は洪水くらいです。過去に何度も洪水が起こっているエリアは、できれば避けた方がいいと思います。

町田建登 ライフシフト合同会社 代表

※本記事は『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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