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強制徴収に力を入れる日本年金機構…「赤い色の最終通告」を無視した58歳男性に課される、重たすぎるペナルティ【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月12日 10時45分

強制徴収に力を入れる日本年金機構…「赤い色の最終通告」を無視した58歳男性に課される、重たすぎるペナルティ【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満であれば強制加入となる国民年金。保険料の未納があった場合には日本年金機構から通知が送られてきます。ではそうした通知を無視し続けると……? 国民年金を未納し続けたAさんの事例をもとに、年金の保険料未納の場合のペナルティについて社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

国民年金を未納にすると…

公的年金は、2階建て年金といわれています。日本に住所を有する20歳から60歳の人は、国民年金の第1号から第3号のいずれかに属しています。国民年金の第2号被保険者である会社員や公務員などの人は、上乗せである厚生年金保険に加入し、2階建て部分も受け取ることができます。

国民年金保険料を納付する人は、自営業者やフリーランスの国民年金第1号被保険者。自身で保険料を納付するため、うっかり忘れて未納だったり、「どうせ年金なんか受け取れない」と故意的に未納にする人もいます。

保険料を払わなかった場合、以下のようなことが起きる可能性があります。

・将来受け取る年金額が減る、もしくはまったく受け取れない可能性もありうる

・保険料未納の人には督促状等が届き、最終的には財産差し押さえとなる

国民年金を未納し続けたAさんに届いた赤い色の封筒とは一体なんでしょうか。

妻との離婚を機に

現在58歳のAさんは、大学卒業後IT企業に入社したものの、スキルを身につけ40歳で独立開業します。厚生年金保険に加入した人が退職した場合、国民年金に加入することになりますが、厚生年金保険のように給与から天引きされるわけではないので、自身で保険料を納付しなければならないのです。

Aさんには、以前勤めていたIT企業で知り合い、職場結婚した配偶者(妻)がいました。独立開業した際、妻も退職し、2人で国民年金に移行。妻が経理や家計を担っていたため、保険料を滞納することなく過ごしていました。

50歳になったころ、妻の両親に介護が必要となり別居することに。その後、経理がおろそかになったことなどが原因となり、夫婦喧嘩が増えました。険悪な関係になったのちに2人が選んだ道は離婚でした。

いままでお金のことは妻に任せきりだったAさん。仕事はなんとかこなしていきますが、家計のことはほったらかしになります。仕事の書類関係はほとんどがメール等で確認できるため、郵便で届くものは放置状態が続いていました。

郵便物の中にあった日本年金機構からのお知らせも放置していたのはいうまでもありません。

差し押さえまでには注意喚起の色封筒でお知らせが届く

妻と離婚してから、国民年金保険料を未納にし続けたAさん。滞納が続くと、日本年金機構から電話や戸別訪問での納付督励が行われます。さらに催告状や特別催告状が複数回にわたって注意喚起の色、黄色や赤(ピンク)色を使って届きます。

それでもなお納付しない人には最終催告状が送付されます。最終催告状とは、強制徴収の対象者に対し納付書とともに送付される催告文書で、指定期限までに納付されない場合には滞納処分(財産差し押さえ)を開始することが明記されています。

最終催告状の指定期限までに納付が確認できなかった場合、督促状が送付されます。督促にはペナルティ(延滞金)が発生し、指定期限までに国民年金保険料を納付しない場合、国税徴収法により、滞納者だけでなく連帯納付義務者(滞納者の世帯主や配偶者)の財産差し押さえが実施されます。

年間所得が300万円以上、未納期間が7ヵ月以上の人は強制徴収の対象です。財産差し押さえが必要であると判断されると、「差押予告通知書」が送付されます。その後は裁判所も関与し、実際に財産が差し押さえられてしまいます。

Aさんは相変わらず郵便物に関心が持てないでいました。山積みとなった郵便物に少し目をやると『年金』という文字がちらりと映ります。しかし、「いま蓄えができているから、老後のお金のことはそうそう心配ない」と封も開けずに、しばらくすると忘れてしまいます。

友人のひと言で間一髪

そんなある日、Aさんの友人が訪れます。

「離婚してから、随分部屋が散らかっているけど、この派手な封筒はなに?」と黄色や赤い色の封筒をAさんにみせてきます。「ああ、なんか届いているんだよね。どうせねんきん定期便とか、ちょっとしたお知らせの類だろう」とあまり気に留めません。しかし友人は「いや、こんな色の年金の通知はみたことないよ。開けるだけ開けてみたら」と少し不安を煽るので、Aさんは面倒ながらもはじめて開封してみました。

中身は、日本年金機構からの納付勧奨、最終催告状、督促状でした。友人は「納付されないと財産差し押さえを行うと記載されているよ」それを聞いたAさんはビックリ。赤い封筒をみて、ことの重大さに気づきます。今回は友人の指摘で督促状の納付期限ギリギリで差し押さえを免れることができました。

納付した場合と、未納のままでいた場合の年金額の差

年金を納付した(Aさん)場合と、未納(A”さん)のままでいた場合の年金額の違いは次のとおりです。65歳からの年金に20万円以上の差があります。

老齢基礎年金は2024年度額 老齢厚生年金は17年(204月)、標準報酬月額を36万円で計算、差額加算等含まず

Aさんは、「いままで郵便物の確認もしないでいた自分が情けない。あのままでは、財産差し押さえになっていたかと思うと恐ろしいです。将来受け取る年金のためにも、これからは期限内に納付します」といいます。

年金機構からの通知は中身をしっかりと確認しましょう。もし年金が支払えないなどの事情がある方は、年金事務所などへ相談に行くことをおすすめします。

<参考>

日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収) https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/kyoseichoshu.html

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシア

FP

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