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盗撮被害に遭った女性の懊悩…ネット流出の「2次被害」防止に有効な手段はあるか【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月11日 11時45分

盗撮被害に遭った女性の懊悩…ネット流出の「2次被害」防止に有効な手段はあるか【弁護士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

盗撮被害に遭った被害者は、たとえ犯人が現行犯で捕まったとしても、その後もさまざまな不安にさいなまれることがあります。たとえば、ネット上で盗撮写真が拡散される可能性などです。そこで、ココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた実際の相談事例をもとに、盗撮被害にあった際の法的対応や示談金相場について、盗撮事件を多数扱ってきた永岡孝裕弁護士が詳しく解説します。

お風呂場の更衣室を盗撮され、精神的に不安定な状態に

相談者は、お風呂場の更衣室で盗撮被害に遭いました。犯人は現行犯で逮捕され、性的姿態撮影処罰法違反で処罰されています。

犯人が捕まったからといって、今後ネット上に盗撮写真が晒される可能性はゼロではありません。相談者はそうした恐怖から、現在に至るまで外出もままならない状況です。夜もまともに眠れず、精神的に非常に不安定な状態がつづいています。具体的な相談内容は、次の3点です。

(1)加害者と示談交渉になる可能性が高いです。交渉の際に気をつけるべきポイントは?

(2)盗撮された写真をネットで拡散されないようにするにはどうしたらいいでしょうか?

(3)上記のような被害の場合、示談金の相場はどのくらいになるでしょうか?

(1)盗撮被害における示談交渉で問題になる点

私は被害者側の代理人として、又は被疑者側の弁護人として、過去に盗撮事件を多数扱ってきました。そうした経験から、被害者の方がもつ懸念点として、次のようなものが挙げられます。

・盗撮に使った携帯電話やカメラ内に画像データが保管されているかもしれない盗撮画像を消してほしい

・盗撮画像について犯人は「消した」と供述しているようだが、信用できない

・本当にネットにアップロードしていないのか?

・クラウドやハードディスク等に盗撮画像のコピーを保管しているのではないか?

・復讐として盗撮画像をネットにアップロードされたりするのが怖い

被害者の方の心配をできる限り払拭するために、示談の際にどのような付帯条項を入れるべきでしょうか。

盗撮加害者と示談交渉を行う際に考えるべき<付帯条件>

■盗撮画像に関する不安

・盗撮に使った携帯電話やカメラ内に画像データが保管されているかもしれない盗撮画像を消してほしい

・盗撮画像について犯人は「消した」と供述しているようだが、信用できない

⇒逮捕時には被疑者の携帯電話やデータを保管しているパソコンは警察によって押収され中身をチェックされ、捜査終了後、被疑者に押収物の還付されます。この際に被疑者の同意を得ずに警察が盗撮画像を勝手に消去して被疑者に還付するケースもあれば、押収したときのまま盗撮画像が削除されずに還付されるケースの両方があることが、被疑者側の弁護経験から確認されています。

そこで、示談を締結する際には、警察が盗撮画像を削除してくれていない方のケースを想定し、被疑者弁護人の協力が得られるのであれば、「還付時に被疑者弁護人同行のもと、携帯電話の還付を受け、被疑者弁護人により直ちに携帯電話端末内の画像・動画を確認し、盗撮されたと思しき画像及び動画類については復元不可能な形で全て被疑者弁護人の手で削除した上、状況を被害者に対して報告することとする。」等の条項を入れることがあります。

■盗撮画像がネットへ流出することの不安

・ネットに本当にアップロードしていないのか? ・クラウドやハードディスク等に盗撮画像のコピーを保管しているのではないか ・復讐として盗撮画像をネットにアップロードされたりするのが怖い

⇒逮捕前に被疑者がネットにご自身の盗撮画像をアップロードしていないということは被疑者側でも証明のしようがないため、確実な確認方法はありません。

同様に、被疑者がハードディスクに盗撮画像をコピーし、それを知人宅に隠しているような場合には警察の捜査も及ばず、事実上こちらも確実な確認方法はありません。

そのため、このようなご懸念を被害者の方が有している場合には、「今後、被疑者が本件において盗撮行為を行った画像がインターネット上に流出していることが確認された場合、被疑者の故意過失を問わず、被疑者は被害者に対して金××円を支払う。」といった条項を入れ、今後の流出させないように被疑者に対して抑止力を与えることが有用です。

被疑者が万が一、復讐などの目的で故意で盗撮動画を流出させた場合には、非常に悪質であるため、警察もすぐに被疑者を逮捕してくれる可能性が高いです。そのため、それについても事前に被疑者に伝えて釘を刺しておくべきでしょう。

(2)一度ネット上で拡散されるとすべて消すことは難しい

盗撮画像が一度インターネット上で拡散されると、全て削除することは事実上不可能であり、永久的にインターネットの世界に漂いつづけることになってしまいます。

削除請求という法的な方法はありますが、費用と時間がかかるうえ、削除しても画像を保存していたまた別の人物が投稿して、それが拡散するということもあります。

その都度削除請求するのはキリがありませんし、精神的にももたないでしょう。特に、海外サーバーを利用しているサイトなどでは、裁判所の命令でも削除請求に応じてくれないことも多くあります。そのような観点からもすべての削除は困難であるのが現実です。

したがって、示談を行うのであれば、既に述べたとおり、示談書締結時にできる限りの策を講じておくべきでです。

(3)盗撮の示談金の相場は20万~100万円程度

示談金の相場というのは基本的にはケースバイケースです。犯行態様や被害感情、被疑者の資力や示談への姿勢などによって全ての事件で事情は異なりますので、一概に言うことはできません。

ただし、やはり具体的に実際のところどのくらいの金額感で示談が行われることが多いのかは気になるところだと思います。あくまでケースバイケースですが、「実際そのくらいの金額で示談となることが多い。」というのは、以下のようなイメージです。

たとえば、駅の階段やエスカレーターで下着を撮影された、夏場に風呂の窓から入浴姿を盗撮されたといった事案では、20万円~高くても50万円くらいの幅に収まることが多いです。

他方、盗撮画像を収益目的で撮影しており、インターネット上の動画売買サイトやX(旧Twitter)などで盗撮画像を販売して金を稼いでいるケース。同じ盗撮趣味仲間で盗撮画像を交換しているようなケース。逮捕前に既に盗撮動画をインターネット上にアップロードしていることが確認されるケースなどもあります。

このような悪質なケースにおいては、示談金も跳ね上がることが多く、拡散の度合いや態様、それにより被害者が実社会生活上受けた不利益(通学先学校内で盗撮動画を流され、退学せざるを得なくなった等)の程度によっては、100万円やそれ以上に及ぶこともあります。

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