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航空会社ではなく「航空機そのもの」への投資が注目されているこれだけの理由【アライアンス・バーンスタインの見解】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月17日 7時15分

航空会社ではなく「航空機そのもの」への投資が注目されているこれだけの理由【アライアンス・バーンスタインの見解】

(※写真はイメージです/PIXTA)

現在、世界で「中間層」といわれる人々が増えており、これにともなって民間航空輸送量も急拡大しています。そのようななか、感度の高い投資家たちから高い注目を集めているのが「航空機リース」です。航空会社ではなく「航空機そのもの」への投資が注目されている理由について、詳しくみていきましょう。米国の大手資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が解説します。

需要は回復傾向…航空業界への投資がねらい目

21世紀に入ってから、2001年の米国同時多発テロや世界金融危機、新型コロナウイルスのパンデミックなど、航空業界を揺るがす出来事がいくつも起きました。

にもかかわらず、民間航空輸送量は過去50年間で世界のGDP(国内総生産)の2倍近いペースで拡大しました。世界の中間層は着実かつ急速に拡大しており、今後も2040年まで毎年3.4%の成長率で輸送量が増加すると予測されています。

その需要を満たすためには多くの航空機が必要ですが、供給が追いついていない状況が続いています。

コロナ禍以降、航空需要は順調に回復している一方、航空機メーカーはパンデミック時に生産削減を進めたため、サプライチェーンの再構築に苦戦しています。このため3,000機近い航空機の生産が幻と消え、その分をこれから取り戻さなくてはなりません[図表1]。  

「航空機リース」という新たな投資戦略

航空業界において収益を上げるのは容易ではありません。パンデミックや地政学的リスクに見舞われ、いくつかの航空会社は破綻しました。さらに、燃料価格の変動や固定費の高騰などで厳しいコスト管理も求められています。

そのようななか、航空機のリースは新興国の航空会社で広く活用されています。特にアジアや中東地域などで所得水準が上昇し、航空旅行需要が高まっています。こうした需要のダイナミズムはあと80年ほど続くとの見通しもある程です。

飛行機という実物資産を投資家が保有し、必要とする航空会社にリースすることは、航空業界への分散投資という観点でも効果的な方法でしょう。

航空機は標準化が進んでいるため、たとえ、ある航空会社が苦境に陥っても、別の航空会社にリースすることができます。航空会社への投資ではなく、航空機そのものへの投資であることが、この話のポイントです。

しかも航空機リースへの投下資本の単純な平均リターンは航空会社のリターンを上回り、安定した動きを示す報告書もあります。航空機リースは、他の実物資産投資であるインフラ投資や不動産投資信託(REIT)、また上場民間航空会社の株式などと値動きの相関性が極めて低い点も特徴です[図表2]。  

航空機リースという投資戦略を分散型のポートフォリオに組み入れれば、市場のダウンサイドリスクを軽減しながら新たなリターン源泉になる可能性があるとアライアンス・バーンスタインは考えます。

リターンを実現するために注目するべき投資対象とは

市場サイクルを問わず、航空機リースビジネスには構造的な投資機会が存在します。商用ジェット機の多くは30年程度の耐用年数があるものの、燃費効率の高い新型機に頻繁にアップグレードされています。

そのため、リース平均期間は機体の耐用年数よりも短くなっています。

また、市場環境が改善すれば、大手の航空機リース会社は保有機体を新型の航空機に入れ替え、機齢が中期や後期にある航空機を売却し、自社の格付けを維持しようとします。

こうした航空機が中距離路線向けの中型主力機種であり、需給バランスの歪みから投資家により魅力的な価値をもたらします。製造から5~10年程度の耐用年数が長い航空機などはフォーカスすべき投資対象です。

すでに技術的な性能が実証されており、コスト対比で十分なキャッシュフローを生み出すことが多く、売却時期が来れば他のリース会社への売却や貨物機への転換など、複数の出口戦略も考えられます。

もちろん、航空機リースへの投資を成功させるにはしっかりした案件創出力や管理能力が必要で、リターンの実現には能力や経験が重要になります。旅客需要を冷やす大きな出来事は今後も起こり得るものです。

それでも大局的な観点で、新たな実物資産投資、新たなインカムリターンの源泉として、航空機リースは魅力的な資産クラスになると考えます。このキャッシュフローやインカム収入は、資産ポートフォリオの成長に大きく寄与する可能性があるのです。  

清森 英晃

アライアンス・バーンスタイン株式会社

プライベート・オルタナティブ部 ディレクター

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