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最新のアパート価格推移…「購入/売却」するのに最適なタイミングは?【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月15日 18時15分

最新のアパート価格推移…「購入/売却」するのに最適なタイミングは?【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

マンション価格が高騰していますが、同じ不動産投資の対象である、「一棟アパート」の価格はどのように推移しているのでしょうか? 本記事では、一棟アパートの価格推移から、購入/売却をするのにそれぞれの適切なタイミングについて不動産市況に精通する長岡FP事務所代表の長岡理知氏が考察します。

高騰する不動産市場

国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)(令和5年11月分・季節調整値)」によると、新築マンション価格(区分所有)は2010年を100とすると2023年11月には193.4と、約1.9倍に高騰しました。これは東京都だけの話ではなく、北海道では299.3、九州・沖縄では243.9と地方はより著しい上昇を続けています。

この背景には、円安と日本の低金利によって不動産市場に海外投資家が参入しているという事情があります。また、建設資材の高騰と人手不足がこの数年続いていること、低金利政策が継続中であることも影響しています。

価格が高騰しているのは新築マンションだけではありません。「一棟アパート」も同様です。

一棟アパートの価格は急上昇を続けている

複数の不動産情報サイトによると、一棟アパート価格の平均価格は2024年1月で7,900万円程度となっています。2012年は5,000万円台半ばだったので、この10年で価格が高騰したのは区分マンション価格と同じ状況です。一棟アパート価格は「過去最高額」をいまも更新し続けているのです。

当然のことながら価格が上昇するにしたがい、表面利回りは低下します。2012年には10%程度だった利回りは、現在では8%前後と落ち込んでいます。一棟アパートの価格の今後はどのように考えていくべきでしょうか。

それには3つのポイントを押さえておく必要があります。

一棟アパートの価格を考える「3つのポイント」

1.2024年問題による人件費の高騰

2019年に「働き方関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が施行され、時間外労働の上限規制が始まりました。

これまで建設業は対象外とされていましたが2024年4月からは、建設業に従事する労働者にも時間外労働の上限規制が適用になります。これによって人手不足に陥る業者が増えるとされています。

そのため人件費は高騰し、工期も長くなる可能性があります。これらが物件価格の上昇に直結するのは想像に難くありません。

2.マイナス金利政策の解除

2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策の解除を発表しました。これにより長年続いてきた日本の低金利が終わり、上昇に転じるのではないかと思いがちですが、「緩和的な環境が継続される」と日本銀行は強調しています。

大手銀行が短期プライムレートを見直さない方針を打ち出すなど、ローン金利がいますぐに上昇することはなさそうです。低金利を背景にレバレッジを利かせる不動産投資家には有利な環境が続くことになります。

3.円安による海外投資家の参入

日本国内の不動産に投資する外国人がこの10年で急増しています。有名なところでは北海道のニセコがあります。

特にこの数年は著しい円安であるため、物件購入がしやすい環境にあります。日本以外に在住する外国人は日本国内の金融機関でローンを組むことが難しいため、多くは現金購入です。本来は大型の物件への投資にも興味があるところですが、現金購入となると小中規模の物件への投資がメインになります。

そこで選ばれるのが区分マンション、そして一棟アパートなのです。

円安での購入は高い利回りに繋がるため、キャピタルゲイン(売買差益)を目的にするよりも、キャッシュフローを得るほうがメインの目的になります。

依然として円安と低金利が継続しているため、今後も当面は一棟アパート価格の高騰は続くと想像できます。

「購入」に最適なタイミングは?

一棟アパートの購入にとって、最適なタイミングはあるのでしょうか。想像しやすいのは、物件価格が下落したタイミングです。

もし一棟アパート価格が下落するとしたら、「金利上昇」「円高」「建材価格の下落」などの条件が揃ったときになるでしょう。あるいはバブル崩壊、リーマンショック級の大暴落が起きたときでしょうか。

しかし購入検討時におかしがちな誤りは、購入タイミングを経済環境・市場環境とリンクさせてしまうことです。たしかにバブル崩壊後のような不動産価格の大暴落が起きたら価格は安くなるかもしれません。しかし「暴落待ち」をしていても、それはいつ来るかわからない幻のようなもの。コロナ禍という未曽有の事態であっても、不動産価格は下がらなかったのです。

そしてもし理想の好機が到来しても、そのときに自己資金がない、あるいは金融機関からの融資が受けられないのであればなんの意味もありません。個人レベルの不動産投資はキャピタルゲインを狙うものではなく、堅実にインカムゲインを狙う投資です。そのため価格変動よりも、投資家としての「自分が置かれている環境」を優先的に考えるべきかと思います。

買いどきは完全に自分の財政状況の都合で決めることが賢明です。

「売却」に最適なタイミングは?

では逆に売却に最適なタイミングはあるのでしょうか。いわゆる「出口戦略」と呼ばれるものです。出口(売却)までにどういう道筋をつけておくのかは不動産投資において重要です。売却タイミングにはいくつかの目安があります。

1.売却価格が、購入価格と維持費の合計を上回ったとき

これはいわゆるキャピタルゲインで、分かりやすい状態です。売却価格が上回るためには、土地の価格の上昇などが必要です。

2.満室状態のとき

一棟アパートの売却は基本的に入居者がいることが前提になります。今後の利回りの計算がしやすいため満室であれば価値が高まります。満室であるということは、借主にとって立地、建物、設備、駐車場、家賃などの魅力があるということです。オーナーがその魅力を正確に分析することによって、周辺の物件よりもあえて割高な価格設定で売りに出すことも可能になります。

3.元金返済額が減価償却費を上回ったとき

これはいわゆる「デッドクロス」と呼ばれている状態です。デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回っている状態のことです。

建物の耐用年数は木造であれば22年です。この期間は減価償却費を必要経費として計上できます。減価償却費は実際の支出がないため、帳簿上は利益を圧縮(節税)できるのです。

ところが元利均等返済方式で融資を受けている場合、いずれ元金返済額が減価償却費を上回るタイミングが来ます。そうなると帳簿上は黒字であるもののキャッシュフローはマイナスとなり、現金を失いながらアパート経営をしていくことになります。ゆきつく先は黒字倒産となるわけです。

融資を受けレバレッジをかけて不動産投資をするタイプの人は、デッドクロス状態に陥る前の売却を検討する必要があります。

長岡 理知氏

長岡FP事務所

代表

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