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知れば不思議な気持ちになる「天の川」の正体

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月8日 18時0分

知れば不思議な気持ちになる「天の川」の正体

(※写真はイメージです/PIXTA)

ふと夜空を見上げたとき、宇宙にはたくさんの星があり、私たちが暮らすこの地球もまたその星々の一つにすぎないという事実に、心が揺り動かされた経験はありませんか。YouTuber・宇宙 すずちゃんねる氏の著書『眠れない夜に読みたくなる宇宙の話80』(監修・渡部潤一氏、KADOKAWA)より一部を抜粋し、今回は「天の川」にまつわるエピソードを紹介します。

地球や太陽は「天の川銀河」の中にある

未来の世界で、あなたは宇宙旅行に出かけました。

もしもそこで宇宙人と出会ったならば、地球という場所をどう説明しますか?

「どの星から来ましたか?」と宇宙人に聞かれて、「地球から来ました」と答えたとしても、ほぼ100%宇宙人には伝わらないでしょう。なぜなら地球は太陽の周りを回る「惑星(わくせい)」にすぎず、太陽のように自ら輝く「恒星(こうせい)」ではないからです。

この広い宇宙の中で地球の位置を直接確認することは、ほぼ不可能なのです。

そのため、宇宙人に地球の場所を説明するには、まず太陽の位置を説明する必要があります。では一体、太陽は宇宙のどこにあるのでしょうか?

地球や火星などの惑星がある太陽系は、「天の川銀河(あまのがわぎんが。銀河系)」と呼ばれる銀河の中にあります。天の川銀河は、太陽と同じような約2000億個の恒星と、星間(せいかん)ガスからできていて、その真ん中の膨らんだ部分を「バルジ」と言います。

バルジの直径は約1万5千光年(1光年=約9兆4600億km)です。そして天の川銀河を真上から見ると、大きく渦を巻いているように見えます。

太陽の位置は、天の川銀河の中心から約2万8千光年の距離にあります。天の川銀河の中心部のバルジを都市部だとすれば、地球は都市のはずれにあると言えます【図表】。

夜空を見上げると、光の帯のように輝く天の川を見ることができます。実はこの天の川こそが、天の川銀河を内側から見た姿。地球も天の川銀河の一部なのだと実感する景色です。

私たちは、地球が宇宙の中心のようについ考えてしまいますが、宇宙には無数の銀河があり、地球や太陽がある天の川銀河は、その無数にある銀河の一つにすぎないのです。

私たちが見上げる天の川は、「天の川銀河の断面」

地球は自転しながら、太陽の周りを秒速29kmの速さでまわっています。太陽を中心とした太陽系は「天の川銀河」の中心から約2万8000光年の距離にありますが、実は太陽系自体もまた、銀河の中心を秒速約240kmでまわっているのです。

普段の生活の中で、地球が太陽の周りを、太陽系が天の川銀河の中心を、猛烈なスピードでまわっていることを感じることはできません。

しかし、夜空に浮かぶ「天の川」を見れば、確かに地球が太陽の周りをまわっており、そして天の川銀河の中にいるという事実を知ることができます。

天の川が夜空に明るく輝くのは、夏から初秋にかけてです。

銀河系の中心方向は、光り輝く多くの恒星が密集しています。日本がある地球の北半球が「夏」のとき、地球の夜側は天の川銀河の中心方向を向きます。すると、多くの星の集まりを見ることができるので、夏の「天の川」は明るく輝いて見えます。

反対に、「冬」は星が少ない天の川銀河の外側方向を見ることになるので、天の川を見つけることは難しくなります。

つまり、夜空に見られる天の川は、地球にいる私たちから見た天の川銀河の断面の姿なのです。

【著者】宇宙 すずちゃんねる  数億年後の地球の姿や太陽系惑星の秘密、生命誕生の奇跡など、ロマンあふれる宇宙について解説する宇宙科学YouTubeチャンネル。チャンネル開設からわずか2年足らずでYouTube登録者数は27万人を超える。

【監修】渡部 潤一  1960年福島県生まれ。1983年東京大学理学部天文学科卒業、1987年同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台上席教授および総合研究大学院大学教授。国際天文学連合副会長。 著書に『賢治と「星」を見る』(NHK出版)、『第二の地球が見つかる日』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など多数。

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