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いつまでいるんだろう…夏休み終了間近も“一向に帰らない”39歳長女と8歳孫。年金月24万円・70代仲良し夫婦の“平穏な老後”が終わりを告げた、長女からの「まさかの告白」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月23日 11時15分

いつまでいるんだろう…夏休み終了間近も“一向に帰らない”39歳長女と8歳孫。年金月24万円・70代仲良し夫婦の“平穏な老後”が終わりを告げた、長女からの「まさかの告白」【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

親は、子どもや孫の年齢にかかわらず何かと世話を焼きたいものですが、老後の家計では使えるお金は限りがあるもの。平穏な老後を楽しんでいた老夫婦に告げられた、長女からの衝撃の告白とは……。詳しくみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

娘と孫の帰省を素直に喜んだ老夫婦だったが…

現在75歳のAさんと、71歳の妻Bさんは、近所でも評判の“仲良し夫婦”です。高校を卒業後、定年まで地元の新聞社に勤めていたAさんと、忙しいAさんを専業主婦として支えていたBさん。ふたりの年金はあわせて月に約24万円で、貯蓄は1,000万円ほど。特別贅沢をすることもなく、金銭的にはなんの不自由もない平穏な老後を過ごしていました。

ある年の夏休み、8歳で小学校2年生の孫D君と、39歳の長女C子さんが帰省してきました。

C子さんは、実家から車で約2時間のところにある政令都市に住んでおり、夫と3人暮らしです。夫の実家は裕福な家庭で、夫の父親が所有する賃貸マンションの1室に家賃を払うことなく住んでいます。

Bさん「いらっしゃい。よく来たわね。あれっ、夫君は?」

C子さん「あぁ、なんか最近仕事が立て込んでいるらしくて……」

これまでは毎年C子さんの夫がC子さんとD君を送ってくれていましたが、今年は仕事が忙しいらしく、2人だけで帰ってきたそうです。

A夫婦は長女と孫の帰省を素直に喜んで一緒に夏を満喫していましたが、お盆を過ぎたあたりから疑問を抱くようになります。というのも、もうすぐ夏休みが終わるというのに、一向に帰る気配がないのです。

夫婦は「いつまでいるんだろう……家に帰らなくて大丈夫なのかな?」と、徐々に心配する気持ちが強くなっていました。

Aさんから「なにかありそうだけど、C子も俺のいる前では話しづらいだろう。それとなく事情を聞いてくれ」と頼まれたBさんは、Aさんが町内の寄り合いに出かけて、孫が寝た後のリビングで、思い切って話を切り出しました。

Bさん「お父さんもお母さんも、C子とDさえよければいつまでだって居てくれても良いんだよ。だけど、現実問題としてDの学校も始まるし、そういうわけにはいかないでしょう。いったいいつ向こうに戻るの?」

すると、C子さんは涙ながらに経緯を話し始めました。

長女と孫が実家へ帰ってきた理由

C子さんは、夫とは離婚を前提とした別居状況だと明かしました。原因は、C子さんの夫の母親、姑にあると言います。

詳しく聞くと、きっかけはC子さんがパートで働き始めたことにあるようでした。

D君が小学校に通い始めて手がかからなくなったため、近くの会社で事務員として働き始めたC子さんは、家を留守にすることも多くなったと言います。

すると姑は、C子さんが家にいてもいなくても、合鍵で部屋に入ってくるようになりました。勝手に部屋の掃除をしていたり、水につけたままの食器を洗って片付けたりするようになり、しまいには夫婦で決めたD君の教育方針にも口を出すようになったため、C子さんは耐え切れなくなったようです。

夫に何度話しても、「母さんは、仕事で忙しいC子を助けているつもりなんだよ。むしろ感謝しなくちゃ」と言い、取りあってくれなかったとのことでした。

今回帰省する前、夫に意を決して「このままなら離婚したい」と話しました。すると夫は、「仕方ないな。ただ、Dは俺が育てる」と親権を主張してきたと言います。そのようななか、このままでは夫と姑にDが奪われてしまうと感じたC子さんは、パートを辞めて帰ってきたそうです。

「そういうことだったの……」衝撃の告白に愕然とするBさん。その日はとりあえずC子を慰め、帰ってきたAさんに事情を話しました。

自分たちと娘孫の将来を心配しだしたA夫婦

A夫婦はふたりで話し合い、どんなことがあってもC子さんの味方でいようと固く誓いました。しかし一方で、今後C子さんとD君を養うことになった場合、老後のプランを大幅に修正する必要がありそうです。そこで、旧知の仲である筆者のもとへ相談に訪れたのでした。

A夫婦から話を聞いた筆者は、まず夫婦だけの今後の家計収支の推移を確認しました。

A夫婦の家計(世帯主が平均77.2歳で夫婦無職世帯)

・実収入……24万円4,580円

・支出……28万2,499円(税金や保険料(非消費支出)3万1,538円+消費支出25万0,959円)

消費の内容には違いがあるものの、総務省の家計調査と収支共にほぼ同額。足りない分は計画的に貯蓄を取り崩すことで、生涯難なく生活ができそうでした。

※ 総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年平均結果の概要」より

A夫婦に今後収入が増える見込みはないため、娘と孫を支援することとなった場合、A夫婦の支出を減らしたり、貯蓄の取り崩し額を増やしたりすることが最善の方法となります。

とは言うものの、短期の援助はできても、長期間この状態を続けていてはA夫婦の家計が破産しかねません。

想像以上に厳しい…母子世帯をとりまく実情

厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、令和5年の離婚件数は18万3,808組でした。

また、同省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要(抜粋)」で「母子家庭」について、次のような調査結果が報告されています。

■母子世帯は119.万世帯で、ひとり親世帯になった理由の93.5%が離婚などの「生別」。

■母子世帯の母の平均年齢は41.9歳で、末子の平均年齢は11.2歳。

■親と同居する母子世帯は24.2%。

■母の就業状況は86.3%。雇用形態は、「正規の職員・従業員」48.8%、「パート・アルバイト等」38.8%など。

■母子世帯の母自身の令和2年の平均年間収入※1は272万円。母自身の平均年間就労収入は236万円、母子世帯※2の平均年間収入(平均世帯人員3.18人)は373万円。

※1 生活保護法に基づく給付、児童扶養手当等の社会保障給付金、就労収入、別れた配偶者からの養育費、親からの仕送り、家賃・地代などを加えた全ての収入の額。

※2 同居親族の収入を含めた世帯全員の収入。

■養育費の取り決め状況は、「取り決めをしている」が母子世帯で46.7%。離婚した父親からの養育費の受給状況は、「現在も受けている」が28.1%で、平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は50,485円。

現在小学校2年生のD君の教育費は、高校まで公立で、私立の大学に自宅から通学すると仮定した場合、合計で約570万0,529円必要です。しかしあくまで統計上の数値で、進学塾の月謝など、これ以上に必要となる可能性もあるでしょう。

※ 小学校から高校は、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」。大学は同省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を参考に筆者が算出。

そのようななかで、C子さんは自宅に戻らないと決意して実家に戻ってきたのであれば、自身とD君の分の生活費を実家に入れるために仕事を探すことも大切です。

そしてなにより、ここは「D君の気持ち」を念頭に行動すべきでしょう。可能なら、元の鞘に収まるのがいいのかもしれません。

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

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