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〈年金月16万円・70歳夫〉を亡くした〈契約社員・68歳妻〉、年金事務所で判明した「遺族年金額」に憤り「働くだけ無駄では?」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月8日 10時15分

〈年金月16万円・70歳夫〉を亡くした〈契約社員・68歳妻〉、年金事務所で判明した「遺族年金額」に憤り「働くだけ無駄では?」

(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者を亡くした際、要件を満たしたら受け取ることのできる遺族年金。生活が不安定になりがちな遺族にとっては、ありがたいものです。ただその仕組みは複雑怪奇。受給申請のときに、思わぬルールで「えっ⁉」と涙することも珍しくないようです。

高齢者の4人に1人は働く時代…「働く70代」も5人に1人

以前は、定年を迎えたらほぼ強制的に現役を完全引退というのが当たり前でした。ところが高齢化が進み、定年年齢が引き上げられたり、廃止になったりしているなか、何歳まで働くかは、自分で決めないといけないケースが多くなっています。

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』によると、「あなたは、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいと考えますか」の問いに対して、「50歳以下」が7.8%、「51~60歳」が14.8%、「61~65歳」が28.5%、「66~70歳」が21.5%、「71~75歳」が11.4%、「76~80歳」が3.6%、「81歳以上」が2.0%。

さらに「60代以降も働きたい」と回答した人にその理由を尋ねたところ、最多は「生活の糧を得るため」で75.2%、「いきがい、社会参加のため」36.9%、「健康に良いから」28.7%、「時間に余裕があるから」14.6%、「定年退職の年齢だから」10.6%、「職場に頼まれたから」8.8%。そこに仕方がないという感情があるかどうかはさておき、「生きていくために働く」という人が圧倒的。さらに、いきがいや健康が働く動機になっていることが分かります。

では実際に、どれほどの人が高齢者になっても働いているのでしょうか。

総務省『労働力調査』によると、2023年、65歳以上の就業率は25.2%。男性34.0%、女性18.5%でした。年齢別にみていくと、「60~64歳」の就業率は74.0%。男性84.4%、女性63.8%。「65~69歳」の就業率は52.0%。男性61.6%、女性43.1%。「70~74歳」の就業率は18.4%。男性25.9%、女性13.0%でした。

働く女性よりも働く男性が多いのは高齢者になってからも変わりはありませんが、どちらにせよいまや高齢者の4人に1人は働く時代。原則、公的年金をもらう年齢である65歳以降もその半数が働き、70代を超えると、5人に1人が働き続けています。

60歳定年で仕事を辞めた夫、60歳定年以降も契約社員で働く妻…夫70歳で死亡したら

68歳女性の場合、夫は60歳の定年をもって退職。2つ年下の女性は、60歳で定年を迎えたのち、再雇用制度を利用し、同じ会社で契約社員として働き続けることを選択。現在に至るそうです。勤務先の再雇用制度では契約社員として働けるのは70歳まで。女性も70歳まではこのまま働くつもりだといいます。

夫が定年で現役を引退したのは、持病の悪化によるもの。働けないというレベルではありませんでしたが、勤続40年。やり遂げた感もあったため、ここで仕事を辞めることにしたといいます。一方で女性は「どれほど老後が続くか分からない」という不安から、働き続けることを決めました。

夫の年金は月16.5万円ほど。預貯金は3,000万円ほどあります。総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2023年平均』によると、65歳以上の高齢者夫婦の貯蓄は平均2,656万円、負債は31万円。純貯蓄額は2,625万円です。女性は平均よりも多くの貯蓄がありますが、それでも老後への不安感は大きいといいます。

それでも「わたしも仕事を辞めたら、どこか旅行にでもいきたいわね」と、妻の現役引退後のささやかな夢を語ることも。そんなとき、夫の持病が悪化し亡くなってしまいます。

妻は給与があるため、年金はまだ受け取っていませんでした。いわゆる「年金の繰下げ受給」。年金を受け取るタイミングを遅らせる分、年金は増額となります。しかし遺族年金の受給権が発生すると、その時点で年金の繰下げによる増額率は固定に。そのため、夫を亡くした後、年金を請求することに決めた女性。年金事務所を訪れました。

女性の老齢年金は、年金の繰下げにより30.1%の増額。さらに65歳以降も厚生年金に加入していることからその分も反映され、受給額は月21万円に。

一方、夫の死亡による遺族厚生年金は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。また65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある人が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。結果、遺族年金は11万円ほどの計算になります。

しかし、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある方は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止に。つまり、自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金の差額分しかもらえず、そもそも「自身の老齢厚生年金」>「遺族厚生年金」の場合は、1円ももらえないことになります。女性はこのケースにあたり、遺族厚生年金は1円も支給されないことになります。

――えっ、なんですか、そのルール。働くだけ無駄じゃないですか?

自身の年金だけでも十分ですし、預貯金もある。恐らく、何不自由ない生活が送れるだけのお金はあります。それでも「ルールなので」の説明には、少々納得がいかない様子。

どちらにせよルールはルール。年金制度をきちんと仕組みを理解せずに皮算用していると、思い描いていた金額と、実際の支給額が大きく乖離することも珍しくないのです。

[参照]

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』

総務省『労働力調査』

総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2023年平均』

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