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過剰な検査やムダな薬の処方で医療費を“余計”に取られていませんか?お金儲けに走る医者を見分ける「たった1つの方法」【現役医師が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月26日 8時15分

過剰な検査やムダな薬の処方で医療費を“余計”に取られていませんか?お金儲けに走る医者を見分ける「たった1つの方法」【現役医師が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

医師の松永正訓氏によると、医師の中にも二通りの人がいて、診療報酬にあまりこだわらない人と、強く執着する人がいるようです。あなたは気づかないうちに「おいしい患者」として搾取されていませんか? 本稿では、医師の松永正訓氏による著書『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)から一部抜粋し、診療報酬にこだわる医者を見極めるポイントについて解説します。

診療報酬にこだわる医者を見極めるために

病院の勤務医と開業医の最大の違いは、医者が経営のことを考えているかどうかです。私は19年間、大学病院に籍を置きましたが、医療をやりながら、収入が多いとか少ないとか考えたことは一度もありませんでした。

そもそも先輩の医師の中にそういう話をする人がいなかったので、収入の話をしたことがありません。研修医の頃は、何にもできない自分がお金をもらっていいのかと真剣に悩んだほどです。

ですから、勤務医の先生で、診療報酬を考えながら医療を行なっている人は皆無と言っていいでしょう。医者が行なう診察や検査、投薬などがどれくらいの収益になるか知っている人などまったくいないと思います。

しかし開業医になると、そうはいかなくなります。公立病院は年間に何億円、何十億円の赤字を出しても潰れることは普通ありませんが、個人のクリニックは潰れます。2020年のコロナ禍で、私のクリニックの近所の小児科医院はクリニックをたたんでしまいました。最悪の状態に陥る前に廃業したようです。

開業医には二通りの人間がいる

開業医の中にも二通りの人がいて、診療報酬にあまりこだわらない人と、強く執着する人がいるように見えます。

医療法では、営利を目的にクリニックを開設することを禁じています。つまり、お金儲けを目的にクリニックを作ってはいけないのですね。

私が開業医になった理由はここでは詳しく書きませんが、要は、「開業医になるしか能がなかった」から開業医になったのです。私にできることは医者しかありません。ですので、私は二通りのうちの前者です。診療報酬にこだわりませんし、自分の行なっている検査や処置がいくらになるのか全然知りません。

ただ結果として多くの患者家族が来院してクリニックはちゃんと走っていますので、地域医療に役立ち、またスタッフに生活上必要な給料をきちんと支払うことができている状態です。

一方で、診療報酬に執着する開業医は、確かにいるように私の目には映ります。少し前に、「医は仁術ではなく、算術だ」という言葉が流行りました。診療報酬がどんどん上がっていき、医者(特に開業医)の経済状況が極めてよくなり、患者さんを診ることよりも、お金儲けを考えていると医者が世間から見られていたからでしょう。

日本経済が失速してから、医師の診療報酬もそれほど伸びなくなったようです。その影響か、「医は算術」という言い方は今ではあまりされなくなりました。それでも、今の医療において、ムダな検査やムダな投薬はまだまだ残っているように見えます。

淘汰されない「医は算術」クリニック

開業医の医療というのは基本、出来高制になっています。多くの患者を診て、多くの検査をしたほうが収入は多くなります。

一方で、勤務医は働こうが働くまいが、給料は同じという矛盾があります。勤務医に対しては、これだけ働けば給与加算がこれだけつく、というインセンティブが必要だし、開業医に対しては、検査数の上限などのキャップ制が必要だと私は考えています。

私の知人のさらに知人の内科クリニックでは、生活習慣病で通ってくる患者さんに対して毎回のように採血をするそうです。毎回の採血が必要だとその医師に反論されれば私は一言も返せませんが、そのクリニックでは自動的に採血室へ案内されるそうです。そこにいる看護師は採血係となって朝から採血を延々と繰り返しているそうです。

小児クリニックでは、採血は医師がやりますし、また子どもの採血は極めて難しいので長々と時間がかかることも珍しくありません。子ども一人に採血を行なうだけで診療がストップします。

でも、例の内科クリニックでは医師は何もしなくても採血が自動的に進んでいきますから、患者さんも多く診られて、検査数も増えて、収益はかなり多いのではないでしょうか。

それが本当に患者さんのためになっているのか軽々に論じられませんが、せめて採血をするときはその理由を丁寧に説明してから同意を得るべきではないでしょうか。

事前に検査の説明をされましたか?

患者である私自身の経験を、検査過剰の例としてあげてみます。数年前に腰の痛みで開業医の整形外科を受診したとき、医者の診察の前に腰のX線撮影をされたことがありました。受付で予診票に「腰が痛い」と書くと、半ば自動的にX線室に回されることになっているのですね。

また、目が充血して何日も続いたため(紹介状を持って)国立病院を受診したら、医師の診察前に視力検査をされました。結局、充血の理由は異物が角膜に刺さっていたことだったので、検査は何の意味もなかったと思いますし、また医師から検査結果の説明はありませんでした。

この病院は、病院の方針として売上を上げることを考えていたのかもしれません。しかし患者の側からすれば、いくら何でもそれはないんじゃないかと思います。私の周囲の患者さんも全員が流れ作業のように視力検査を受けていましたので、私の推測は多分当たっているでしょう。

検査の必要性を事前に丁寧に説明するかどうかで、その医師が診療報酬にこだわっているかどうかが分かるのではないでしょうか。

医師が収益のことを考えてしまう医療機関というのは、ちょっと残念ですよね。患者さんは医者のそういう姿勢を実はちゃんと見抜いています。持続可能で、いい医療を実現するためには、結局、医者は医療報酬のことなど考えないほうがいいと思いますし、患者さんもそういう医療機関を信頼できるでしょう。

患者さんも、「これってクリニック(病院)のカモにされてる?」と思ったときは、別のところに行ったほうがいいかもしれません。しっかりと探せば、いい医療機関はちゃんとありますよ。

  • 開業医は出来高制なので、過剰検査をするクリニックは確かに存在する
  • 事前に検査の説明があるか否かで見極め、疑問を感じたら別の医療機関へ

松永正訓 医師

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