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世帯年収1,200万円の40代夫婦、埼玉に念願の「庭付き戸建て」を購入→“理想の生活”を満喫していたが…1年後に家族の幸せを奪った、税務署からの〈1通の封書〉【税理士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月18日 11時15分

世帯年収1,200万円の40代夫婦、埼玉に念願の「庭付き戸建て」を購入→“理想の生活”を満喫していたが…1年後に家族の幸せを奪った、税務署からの〈1通の封書〉【税理士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

確定申告と聞くと、個人事業主や副業をしている一部の会社員以外には関係ないと考える人もいるかもしれません。しかし、いわゆる“普通の個人”であっても確定申告が必要なケースがあります。それはいったいどのようなときか、具体的な事例をとおしてみていきましょう。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が具体的な事例を紹介します。

税務署は「個人の資産」も狙っている

一般的な会社員や主婦(夫)などの個人にとって、確定申告はあまり身近なものではないかもしれません。しかし、たとえば下記のような場合は個人であっても確定申告が必要となるため、注意が必要です。

1.生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金の収入がある

「受けとった保険金額」-「これまで支払った保険料」-特別控除額(50万円)がプラスとなった場合、「一時所得」として申告が必要なケースがあります。所得に加算される金額はこの金額の2分の1です。

会社員の場合、他の所得が20万円以下であれば申告不要となるため、給与以外の所得がなく、差益が90万円以下である場合は申告不要です。

(90万円-50万円)×1/2=20万円

2.金地金の売却輸入がある

金地金を売却した場合、総合課税の「譲渡所得」として確定申告が必要です。

「金地金の売却収入」-「金地金を取得した際の費用+売却するためにかかった費用」の金額から特別控除額の50万円を差し引きます。

なお、所有期間が5年超の場合は、上記金額の2分の1が所得となります。

3.ビットコイン、FXにより利益を得た場合

ビットコインやFXによる利益がある場合、原則「雑所得」として申告が必要です。

これらの売却収入などは、一定金額以上となった場合は取扱業者より税務署へ支払調書が提出されているため、必要に応じてきちんと申告しておきましょう。ただし、会社員で給与以外の所得が20万円を超えない場合は申告不要です。

日常生活を送るうえで税金に関する手続きとは無縁の個人にとって、確定申告は面倒な手続きでしょう。実際のところ「まさかバレることはないだろう」と考えて申告を怠る人も少なくありません。

しかし、そのような“めんどくさがりな個人”こそ、税務署の格好の餌食となるのです。

家なんて買わなければよかった…40代夫婦の後悔

年収1,200万円を稼ぐ会社員のAさん(41歳)は、パート勤めで年収約100万円の妻Bさん(40歳)と、7歳になる小学1年生の息子Cくんとの3人暮らしです。

A家の住まいは長らく都内の賃貸でしたが、Cくんが小学校にあがるタイミングで、のびのびと子育てをしたいというBさんのかねてからの希望もあり、埼玉県内に念願の庭付き戸建てを購入しました。

戸建てに引っ越してからというもの、息子と庭で遊んだり、息子の友達家族を招いてBBQを楽しんだりと、AさんとBさんが思い描いていた“理想の生活”を満喫していたそうです。

しかし、マイホーム購入から1年ほど経ったある日、税務署から1通の封書「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」(以下、「お尋ね」という)が届きました。

A家では、妻が口座の管理をして家計をやりくりしてくれていました。Aさんはその妻の労をねぎらうため、購入した家を登記する際、持分の2/5の2,000万円を妻名義で登記したそうです。

その旨をありのまま「お尋ね」に回答した結果、税務署から妻の持ち分2,000万円のうち1,000万円は贈与と認定され、なんと「贈与税231万円」の支払いを命じられたのでした。

Bさん「ちょっと、なによこれ! なんで私がそんな大金を支払わなきゃいけないの!?」

悲痛な叫びも虚しく、Bさんは泣く泣く大切に貯めていたヘソクリから贈与税を支払ったそうです。

不動産を購入した時に送られてくる「お尋ね」とは?

通常、不動産を手に入れた場合、不動産登記を行う必要があります。新たに登記が発生すると、法務局から所轄の税務署に情報が共有されます。そして、税務署から不動産購入者へ「お尋ね」文書が届くこととなるのです。

一般的に不動産を購入する場合、多額の資金が必要となります。そのため、不動産購入者に資金の出所を確認する目的で送付されるのが、「お尋ね」というわけです。

「お尋ね」に記載する内容としては、

・不動産登記や仲介手数料などの関連費用を含む不動産を購入額はいくらであったか?

・その資金はどこから拠出したのか?

などがあります。

たとえば5,000万円の不動産を購入し、自己資金500万円、親からの贈与500万円、住宅ロ-ン4,000万円と記載した場合、給料と勤続年数から自己資金は適切であるか、親からの贈与は申告されているか、どこから借り入れているかなど、適正であると判断されたらそこで終了となります。

税務署が「お尋ね」で知りたいこと

税務署がこの「お尋ね」で知りたいのは、

①過去の所得に比べ、自己資金が多すぎるのではないか

②親子など親族間の借入が本当は贈与ではないか

③夫婦共有名義である場合、資金の拠出具合に比べ登記は適正に行われているのか

④贈与税の申告が必要ではないか

などです。対象者は任意で選ぶため、住宅を購入した全員に届くわけではありませんが確率は高くなります。

届いた場合、必ずしも回答しなくてはいけないという決まりはなく、法的拘束力はありません。しかし、回答せずにいると「なにか後ろめたいことがあるのではないか?」と思われ、税務調査に発展する可能性が高まるため注意が必要です。

贈与税を回避するためにできること

今回のように、夫婦共有名義で不動産を購入した場合、それぞれ拠出した資金と同じ割合の登記にすれば問題ないのですが、今回のように収入が少ない妻名義が多い場合、贈与が疑われてしまうことになります。

もちろん、過去に預金を親の相続で受けていた分であるなど、正当な理由があればよいのですが、専業主婦や収入が少ない場合などは、税務署としては「配偶者からの贈与でないか?」と疑う理由になるのです。

では、今回のように住宅を購入した場合、贈与税と認定されないためには、どのような方法があるのでしょうか?

たとえば、夫婦の婚姻期間が20年以上で一定の要件に該当した場合、夫婦で居住用不動産又はその取得資金の贈与が行なわれた場合、基礎控除110万円のほか最高2,000万円まで贈与税がかからない通称“おしどり贈与”というのもがあります。

また住宅を購入する場合、親から援助を受けるケースもありますが、これが一定の要件に該当する場合、次の金額までは贈与税はかからないこととなります。

①省エネ・耐震性・バリアフリーの住宅……1,000万円

②上記外の住宅……500万円

いずれも申告は必要ですが、住宅の購入を検討する際は控除の要件に該当するかどうか調べてみてはいかがでしょうか?

日本でもっとも高い税率は贈与税…慎重な対策を

住宅のような高額の資産を購入する場合、その資金はどこから出ているのだろうか? 所得の申告漏れか贈与税の申告の必要があるのではないだろうか? という観点で税務署は確認することとなります。

日本の税率で最も高いのが贈与税です。加えて住宅にかかる税金は複雑で、失敗すると余計な税金を支払わなければなりません。不動産を購入する場合は慎重に、場合によっては専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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