1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「人付き合いが苦手だから戸建てじゃなくてマンションを選びました」という考えが、異常な高コスト&住み心地の悪いマンションを生み出してしまうワケ【不動産のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月11日 11時45分

「人付き合いが苦手だから戸建てじゃなくてマンションを選びました」という考えが、異常な高コスト&住み心地の悪いマンションを生み出してしまうワケ【不動産のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

よく「人付き合いが苦手だからマンションを選んだ」と言う人がいますが、この認識は誤りです。マンションの管理力を高めるうえで、コミュニティの形成こそが重要な基盤となっているからです。今回は、不動産コンサルティング会社〈さくら事務所〉の創業者である長嶋修氏と〈さくら事務所〉の共著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)から一部抜粋し、マンションの管理力を測るうえで重要なポイントについてご紹介します。

マンションなら「面倒な人付き合いが必要ない」は誤り

マンションの管理力を測るうえで、重視すべきと考えるのは次の4つのポイントです。

  1. 組合運営力
  2. メンテナンス&資金力
  3. コミュニティ&住み心地力
  4. 防災力

さくら事務所が管理力の高いマンションをセレクトしているマンション取引サイト「BORDER5」でも、これらの指標でマンションの管理力を数値化しています。

「組合運営力」とは管理組合がきちんと組織・運営されているかを測る指標です。管理組合総会の出席率が8割以上などと高く、理事会の議事録が管理組合員に速やかに情報共有されており、管理費の滞納が少ない、などの条件を満たしていれば、組合運営力は高いと言えるでしょう。

「メンテナンス&資金力」とは、長期的な目線で管理組合の会計が健全化されており、必要な修繕とその資金について適切な計画が立てられているかをチェックする指標です。妥当性の高い長期修繕計画が定められており、計画的に積立金が徴収されていることや、必要な法定点検が漏れなく実施されていること、相見積もりを取って修繕工事を発注していることなどができているマンションは、メンテナンス&資金力がハイレベルです。

「コミュニティ&住み心地力」の高さも大切です。賑わいを生むコミュニティの形成は、マンションの管理力を高めるうえでの基盤となります。というと餅つきやクリスマス会などイベントの開催を連想するかもしれませんが、管理力につながるのはイベントの有無ではなく、住民同士がコミュニティ意識を持ち、横のつながりを持っているかどうかです。

競争力が高く、高値で売れていくマンションと、そうでないマンションとを比べると、前者のほうが住民同士の横のつながりが強い傾向にあります。ほかの住民とのつながりができやすいのは管理組合の役員が回って来たときですが、そこで管理の重要性に目覚めて、「みんなでマンションを良くしていこう」と考える住民が増えていくと、そのマンションの競争力はおのずと上がっていきます。

このようなマンションでは、管理組合の役員の任期が終わった人たちも、大規模修繕委員会や防災委員会、イベント委員などにオブザーバーとして加わり、役員任せにせず、大勢で積極的にマンション管理にかかわっていくような体制がとられています。

役員の任期が一巡し、ほとんどすべての住民に役員経験があり、マンション管理に前向きなマンションは、管理力が非常に高まっている状態です。それは、新築にはない中古マンションならではの価値と言えるでしょう。

マンション暮らしでも「人付き合い」が重要である理由

一方で、横のつながりを持って他人とかかわることに抵抗感を持つ人もいるかもしれません。よく「人付き合いが苦手だからマンションを選んだ」と言う人がいますが、そもそもこの認識が誤りです。

マンションは購入した途端、強制的に管理組合のメンバーに加えられ、一定の頻度で管理組合の理事会役員も務めなければならず、戸建住宅で生活するよりも断然人との関わりが多くなります。賃貸なら役員を務める必要もないので、無関心を貫けますが、マンションを買って区分所有者になったなら、人付き合いを避けては通れません。

仕方なく理事会の役員を務め、任期が終わると「後はもう関係ない」とばかりに、管理組合総会や防災訓練などのイベントにも参加しなくなるような住民ばかりだと、そのマンションは横のつながりが希薄になります。一見、気楽で良さそうに見えるかもしれませんが、こうした状況だと、管理費の値上げや長期修繕計画の見直しなど、今多くのマンションで問題になっている重要なテーマに関しても、活発な議論が望めないでしょう。

結果として、管理はすべて管理会社にお任せ状態になりがち。となると、頻繁に管理費が値上げされたり、本来不要な修繕工事が行われたりするかもしれず、異常に高コスト体質の住み心地の悪いマンションになってしまうリスクがあります。

この状態ではもちろん管理力は高いとは言えず、市場における競争力は低下します。中古マンションを買うのであれば、賑わいのあるコミュニティかどうかに注目すべきでしょう。イベントが盛況だったり、管理組合総会の出席率が高かったりすれば、ある程度横のつながりが保たれたマンションだと判断することができそうです。

長嶋 修

さくら事務所 会長

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください