49歳ひとり娘「15年疎遠だった78歳父の遺品整理」を業者に丸投げ…書斎から出てきた「ボロボロのノート」その中身に号泣
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月9日 10時30分
(※写真はイメージです/PIXTA)
近い関係だからこそ、難しい親子関係。なかなか折り合いがつかず、必要最低限の話しかしない、さらにはほとんど絶縁状態というケースも。そんな親子関係が「親の死去」で終わりを迎えたとき、どうなるのでしょうか。
折り合いが悪く、15年もの間、ほとんど顔を合わせなかった父娘
田中久美子さん(49歳・仮名))のもとに、父・和夫さん(78歳・仮名)の訃報が入ったのは3ヵ月前。もともと、折り合いの悪かった父娘。15年前に母が亡くなってからは、ほとんど顔を合わせることがなく、本当に必要なときだけ、メールや電話をする程度だったといいます。
PGF生命が行った、『「おとなの親子」の生活調査2023』によると、「親とのコミュニケーションについて、親とどのくらいの頻度で行っているか」の問いに対して、「月1回以上電話をしている」は51.7%、「月1回以上、メールまたはラインをしている」は31.4%でした。一方で「(電話を)しない」は26.8%、「(メールまたはラインを)しない」は58.5%。また親と別居している子どもを対象に、「別居している親に会いに行く頻度」を聞いたところ、「月に1回以上」が全体の43.3%。最多は「1回未満」で46.9%。一方で「しない」は9.9%でした。
親子関係は100人いれば100通り。なかには久美子さんのように、ほぼ絶縁状態というケースもあるでしょう。
一通り葬儀が終わったあとにしなければならないこと。それは遺品整理。久美子さんはひとり娘で、相続人は久美子さんのみ。煩わしくなりがちな遺産分割に関しては、特にネガティブなことはありませんでした。
ただ母が亡くなってから、男ひとりで過ごしてきた実家は散らかり放題。初めは少しずつ自分でやろうと思っていたものの、この調子では何年かかるか分からない……そう思い、業者にすべておまかせすることにしたといいます。
総務省『遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書』によると、調査対象68社に対して、遺品の区分と故人宅からの搬入を行っているのは44社、遺品のみの区分を行っているのは21社。また古物商の許可取得済みで買取りまで行っているのは、前者44社中32社、後者21社中19社です。
料金形態はさまざまですが、遺品整理サービスの契約金額の平均は約42万円。また原則立会いを不要とする業者は、69社中14社。依頼者が遠方であったり、単純な家財の処分だったりする場合は、立会い不要とすることもあるようです。
父の書斎から見つかったノート…ひとり娘の名前のあとに記されていた内容
久美子さんは口コミで評価の高い業者に連絡。料金は40万円ほどと、「高いなぁ」と思いつつ、丁寧な作業が評判だったのでトラブルになるよりまし、と考え、最終的に依頼したそうです。
作業は2日。立会いは作業の最初と最後だけ。その間、何か必要があれば連絡をくれるというものでした。滞ることなく作業は終了。料金は後ほど、銀行振込でOKとのことだったので、サインだけして終わりかと思ったら、最後にひとりの作業員から「これは捨ててはいけないと思って」と、1冊のノートを渡されたといいます。和夫さんの書斎で見つけたというもので、どこにでも売っているような普通のノート。表紙は破れてボロボロです。
表紙をめくると、文字がびっしり。日記、というわけではなく、そのときに思ったことを書き綴ったようなものでした。その最後に書かれていたのは遺言書のような内容。そして最後は「久美子、」と読点で終わっていました。
――このあと、何を書くつもりだったのだろう
どんなに考えても答えは出てきません。しかし考えを巡らせているうちに、ずっと折り合いが悪く、ほとんど顔を合わせなかったことに対して、急に後悔の念が押し寄せてきたといいます。「なんで、もっと話をしてこなかったんだろう……」と涙が止まらなくなったといいます。
遺言書は、遺言をする人(遺言者)が自分の手で書いて作成する「自筆証書遺言」、遺言の内容を記載した文書(自筆でなくてもよい)に遺言者が署名押印してこれを封筒に入れ、文書に用いた印で封印し、これを公証人1人及び証人2人以上の前に提出して作成する「秘密証書遺言」、遺言者が2人以上の証人の立会いのもとで遺言の趣旨を公証人に述べ、公証人がこれを筆記し、その内容を読み聞かせ、筆記の正確性を承認した全員が署名押印して作成する「公正証書遺言」の3つがあります。
今回、ノートに記されたものは、たとえ遺産分割などのことが触れられていたとしても、効力を発揮するものではありません。ただ折り合いの悪かった久美子さんに思いを伝えるには、十分なものだったのかもしれません。
[参照]
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