「ここ6階やで!?」…気配を感じて振り向くと、自宅ソファでくつろぐ野良猫が!25歳のご長寿猫“みけちゃん”が家猫になった日
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月17日 10時0分
出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋
人間なら116歳! SNSで注目されているご長寿猫「みけちゃん」。飼い主である「かあちゃん」との出会いは、驚きのものでした。みけちゃんと家族の「普通で愛おしい」日常を、みけちゃんの飼い主であり、児童文学作家である村上しいこ氏の著書『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より一部抜粋・再編集してお届けします。
みけちゃんが語る、「かあちゃん」こと村上さんとの出会い
あたしとかあちゃんの出会いはものすごく感動的……だったらきっとみんな興味を持つわよね。
でもじつはとってもシンプル。
あたしがかあちゃんを選んだの。
あの頃かあちゃんはアパートに住んでいてね、あたしは駐車場とか自転車置き場の隅にいたのよ。
この場所に来る前はパパとママ、それから小学生の女の子と一緒に暮らしてたんだけど、新しい家を建てて遠くへ引っ越すからって、あたし置いていかれちゃったの。
そりゃあ最初はさみしかったわ。でもいなくなっちゃったんだもん、どうしようもないでしょう。
でも初めての気ままな外暮らしもあちこち探検なんかしちゃって楽しかったわ。
ところがある日、いつものように気ままに歩いてたら友達になれそうな大きな犬が庭先にいたから声をかけたの。
そしたらいきなり腰あたりを噛まれちゃったもんだから探検どころではなくなってね、痛いしおなかも空くしだんだんさみしさが増してきちゃって、誰か助けてと思いたどり着いたのが、かあちゃんが住んでたアパートだったの。
アパートにはたくさんの人が出入りするでしょう。
あたし、どの家の子になろうかいつも観察していて、一番よく目が合ったのがかあちゃんだったわけ。
でもね、「かわいいなあ」って言うだけで家にまで連れていってくれなかったのよ。
だからあたし、自分で行ったの。6階までね。
もちろんエレベーターなんて使わないわ。階段を上ったのよ。
だってエレベーターのボタンは猫仕様じゃなかったんだもん。
手も足も、それから尻尾も届かなかったわ。
毎日かあちゃんを見ていたからどの部屋か知ってたし、少し開いていた玄関から入ってソファで寛いでいたら、気づいたかあちゃんびっくりしてた。
ソファは寛ぐものよ。
何か問題でも?
え、それで傷がどうなったかって? その話はまた次ね。
みけちゃんがうちの子になった日の話
みけちゃんはあの日、「ただいま」と当たり前のように10センチほど開けていた玄関から入ってきた。
当時私はアパートの6階に住んでいて、少し前からアパートの駐車場に猫がいることに気がついていた。
もちろんかわいいとは思ったけど、うちの子にしたいなんてこれっぽっちも思わなくて(どちらかというと犬派だった)。
だけどずっと駐車場にいたから通るたび目が合っていたし気になっていた。
今思えば、みけちゃんはアパートに出入りしている人たちを見ながら、
あそこはダメ、犬がいる
あの人の家はすでに猫が……
あの人は留守が多い
とか観察していたんだと思う。
でなきゃ、わざわざ6階まで上ってこないはずだから。
そんな交流(?)が続いたある日の午後、台所にいた私は“気配”を感じ振り向くと、猫がいた!
間違いなくいつも駐車場にいた猫。
え!? なんで? ここ6階やで?
どやって来たん?
なんで入ってきたん?
なんでおるん?
何しに来たん?
慌てる私をチラッと見て、ソファで寝始めた。
な、なんなんや、この猫は!?
翌日、仕事から帰った村上さんが見た「驚きの光景」
そしてその日の夜、仕事から帰って部屋に入った夫の第一声は、「え、ねこ?」
まあそうなるわな。
いつも自分が座っているソファの真ん中で、すやすや気持ちよさそうに猫が寝てるんやもん。
驚いてたけど追い出そうとはせず、そのまま受け入れ、猫をどかしソファの真ん中……ではなく端に座ってた。
とりあえず猫のごはんを買いトイレは段ボールに猫砂を入れ、なんとかそれっぽく形にした。
ごはんを食べ、段ボールトイレを上手に使い、なんの問題もなく朝になり、夫は仕事に行き、私もパートに出なくてはならず、さて猫ちゃんどうしよう。
当の猫は「行ってらっしゃい。留守番は任せて」とばかりに相変わらずソファで寛いでいた。
もとから、ずーっと前からそうしていたように。
おなかが空かないようにごはんとお水だけは用意して、ベランダに出られるよう窓を10センチほど開けておいた。
(今思えばいろいろ危険だったな)
部屋は散らかすやろなと不安も感じながら、じゃあ行ってくるわと仕事に出た私。
そして夕方、鍵を開け、そぅ〜っと部屋の中に入ると……。
うあああーーーーーーーーっ‼ とはならず、へ?
猫さん、朝と変わらずソファで寝てた。
観葉植物も、オルゴールやら何やら飾ってあったもの何ひとつ変わらずそこにあった。
ほっとしたし良かったんやけど、あのぅ、猫さん動きましたか?
でもよく見ると、ごはんはちゃんと食べてあったし、トイレも使った形跡があったから動いたと確認。
それから数日経ち、みけちゃんがケガをしていることに気がついた。
なんか膿みたいなものが出てるし、とりあえず人間用の消毒液をつけて様子を見ていたけど
なかなか治らずこれはあかんと思い、友達に連絡をして動物病院を教えてもらい連れていった。
そこで初めて、傷は犬に噛まれたものであること、猫は人間より痛みに強いこと、膿が溜まったら外側は治ったように見えても内側は治っていないことを教わった。
初めて迎えた猫、初めて行った動物病院。私、どうやって薬飲ませてたんやろ。
なんか初めてづくしでアタフタしてたかも。
でも気がつくと傷はすっかり治ってた。
犬派の「かあちゃん」を猫のトリコにしてやったわ byみけちゃん
―そこからよ、あたしがかあちゃんに猫との暮らし方と
身をもって魅力を教えてあげたの。
しなやかでモフモフでふわふわで、軽やかで優雅なキャットウォーク。
時に豪快な爪とぎ、甘えたり、ツンデレだったり、こころ揺さぶる誘惑
ほ~ら、ほ~ら、あっという間にかあちゃんは猫のと・り・こ♥
犬派だったかあちゃんを猫派にするなんて
それほど時間もかからなかったわ。
このとき以来、大ケガも大病もないけど、
かあちゃんを猫派にしたって
ちょっと感動的じゃないかしら ―みけ
村上 しいこ
児童文学作家
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