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年金月16万円・実家の母を頼りに〈世界を放浪する51歳の長男〉…1年ぶりの帰国も「もう実家はないわ」と告げられ窮地「俺はどこに住めばいい?」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月10日 10時15分

年金月16万円・実家の母を頼りに〈世界を放浪する51歳の長男〉…1年ぶりの帰国も「もう実家はないわ」と告げられ窮地「俺はどこに住めばいい?」

(※写真はイメージです/PIXTA)

いつまでも親は元気だと思っていても、どこかのタイミングで「老い」を感じるようになるもの。そこで多かれ少なかれ「親の面倒をみなければ」という意識が生まれるものですが、そのような感情をまったくもたない人もいるようです。

50代になっても海外放浪旅を続ける長男、1年ぶりに帰国

1年ぶりに兄の哲也さん(仮名・51歳)が帰国したという、鈴木陽子さん(仮名・49歳)。今回は、東南アジアを中心に回っていたらしい……そう聞くと、哲也さんは世界をまたにかけ活躍する、商社勤務のサラリーマンかなにか、とイメージするかもしれませんが、哲也さんはフリーター。

哲也さんが初めて海外に行ったのは1990年、大学生1年生のとき。当時はバブル景気のまっただ中、日本人の海外出国者は1,099万7,431人と初めて1,000万人の大台にのったときでした。このときの経験がよほど刺激的だったのでしょうか、大学時代、何度も何度も海外旅行に行くようになったといいます。

ちなみに日本人の出国者はその後も年によって上下はあるものの、年々増加傾向。コロナ禍前の2019年には2,008万0,669人と、初めて2,000万人を突破。2020年には317万4,219人、2021年には51万2,244人と大きく落ち込みますが、コロナ禍明けの2023年には962万4,158人まで回復。昨今の円安がどれほど影響を与えるか分かりませんが、再び海外に出かけるのが当たり前の日常に戻りつつあります(関連記事:『【早見表】日本への入国者数/日本からの出国者数の推移…1950年~2023年』)。

大学時代、何度も海外へ渡った哲さん。この経験が「海外をまたにかける仕事をしたい」という風になればよかったのですが、哲也さんは違いました。大学を卒業する1994年、ちょうど就職氷河期の初め。大学を卒業するのに就職が決まっていない人が増えてきた頃です。哲也さんも就職せず、フリーターの道を歩むことになります。ただ哲也さんの場合は、あえてのフリーター。「就職したら、自由に海外に行けなくなる」と、初めから就職する気がなかったのです。ただ時代のせいか、周囲からは「就職氷河期の犠牲者」とみなされていたようです。

大学卒業後は実家暮らしを続けながら、3カ月ほどアルバイトをし、お金がたまったら海外へ。帰国したら、実家で暮らしながらアルバイトをして、またお金がたまったら海外へ……そんなサイクルを繰り返していたといいます。バックパッカーで、ときに地元の普通の家庭に泊まらせてもらうことも。そのため、海外にさえいってしまえば、ほとんどお金を使わず。一度海外に行くと、半年~1年は帰ってこなかったといいます。

1年ぶりに日本に帰国も「どこに住めばいい?」と大ピンチ

――若いうちだけだから、そんなことができるのは

哲也さんの両親は一定の理解を示していたといいますが、そんな生活が30代になっても続くと、さすがの両親も「いい加減にちゃんと就職しろ」と怒りをあらわに。しかし、すっかり自由人になってしまった哲也さんには響きません。

10年前に父親が亡くなり、年金月16万円(手取り)の母親が実家にひとりになったら、さすがにちゃんとするかなと陽子さんは思っていました。しかし「月に16万円もあれば、俺が日本に帰ってきても大丈夫だな」「日本に帰ってきても、ちゃんと住む家があるから、安心して海外に行ける」と、逆に余裕を持たせてしまったといいます。

海外に魅了されて30年強。1年ぶりの帰国には、陽子さんも駆けつけました。きちんと伝えておかないといけないことがあったのです。

――日本でどこに泊まるか知らないけど、もう兄さんが帰る実家はないわよ

――えっ!?

言っている意味が分からない様子の哲也さん。海外に行っている間に実家は売却。すでに他人のものになっているのです。

――なんでそんな大事なこと、言わないんだよ!

――携帯の電波の届かないところにいる、兄さんが悪いんでしょ!

実は、哲也さん・陽子さんの母(80歳)は自宅で転倒→骨折。入院することに。その際、退院したら自宅(実家)に戻るかどうか、という話に。陽子さんは夫の母と暮らし、そこに実母が引っ越してくるのは現実的ではありません。かといって、自宅(実家)でのひとり暮らしには大きな不安が残ります。そこで退院後は老人ホームに入所しようと決めたのです。

問題は費用。前述の通り、母の年金は月16万円。貯蓄は2,000万円はあります。それに対して、候補に挙がったホームは、初期費用800万円、月額費用は25万円。貯蓄から取り崩していっても10年は費用を払い続けられます。ただ昨今の値上げ。ずっと月額費用がこのままとは限りません。そこで、入所からしばらくしたら実家を売却。不安を解消しようということになったのです。

「(日本で)どこで暮らせばいいんだよ!」という哲也さんを陽子さんは冷たくあしらいます。

――さあ、うちは無理よ

――泊めてもらえる家を見つけるのが得意でしょ

世界を放浪する哲也さんの住む場所はどうするのか、という問題はさておき、核家族化が進んでいる昨今、「実家に扱い」は子世代の大きな問題です。株式会社すむたすが行ったアンケート調査によると、「実家の処分について、関係者間で話始めたのはいつか?」の問いに対して、「親の死後」が56.0%、「親の生前」が27.5%。親が健在のうちに話始めた人に、「話始めたきっかけ」を聞いたところ、最多は「親が病気になったため」で63.3%。「親が介護施設・老人ホーム等の施設に入居することになったため」が43.3%と続きます。

さらに「実家の処分にあたり、後悔はあるか」の問いに対して、「はい」が過半数越えの55%。「適正価格を知らずに安く売却してしまったような気がする。遺品の整理費用も圧縮できた気がする」(男性 60代後半)と、売却価格に対する後悔もあるよう。老人ホーム費用に充てるのであれば、なおのこと。売却益が最大限になるように、焦りは禁物です。

[参照]

出入国在留管理庁『出入国管理統計統計表』

株式会社すむたす『半数以上が「後悔」。実家じまい経験者調査、事前にしておくべきだったことトップ3は①処分費の確認②親と一緒に片付け③売却価格の確認』

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