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生活保護は受けたくない…42歳男性〈フリーランスSE〉→〈日雇いバイトで月収10万円〉で困窮も、プライドが邪魔して万事休す

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月10日 17時15分

生活保護は受けたくない…42歳男性〈フリーランスSE〉→〈日雇いバイトで月収10万円〉で困窮も、プライドが邪魔して万事休す

(※写真はイメージです/PIXTA)

憲法に基づく制度であり、最終的なセーフティネットとなる生活保護。しかしネガティブなイメージが強く、生活に困窮していながらも「絶対、生活保護なんて受けたくない!」と拒否するケースも。生活保護への忌避感から、必要なサポートさえ受けない人たちとは。

2024年5月、「生活保護申請件数」令和史上最多

厚生労働省『被保護者調査』によると、2024年5月、生活保護申請件数は2万3,952件で前年同月比5.6%増。令和になって以降、単月では最も申請件数が多くなりました。生活保護を受けている人は総計201万3,709人と前月比0.4%減少、世帯数では165万1,829世帯で前月比0.2%増となっています。また生活保護を受けている人で多いのは「高齢者世帯」で91万0,946世帯。全体の55%を占めています。

生活保護は、日本国憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づく制度。制度運用にあたり、基本原理と基本原則が生活保護法で定められています。

生活保護の基本原理は以下の4つ。ここで知っておくべきは「保護の補足性」。働ける能力があるなら働き、活用できる資産があるなら活用する。それでも生活に困窮している場合は生活保護が受けられます。

(この法律の目的)

第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)

第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)

第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

(保護の補足性)

第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

また基本原則も以下の4つ。生活保護は基本的に生活に困窮する本人や同居する親族の申請により開始されますが、緊急性の高い場合は申請がなくても保護の対象になります。また、生活保護費は不足している金額を世帯単位で支給されます。ただし状況によっては、個人単位で受給も認められます。

(申請保護の原則)

第七条 保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

(基準及び程度の原則)

第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

(必要即応の原則)

第九条 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。

(世帯単位の原則)

第十条 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。

強烈な「忌避感」…45歳日雇いバイト男性、生活苦も「生活保護」は断固拒否

生活保護の不正受給といったニュースが大きく報じられたり、また生活保護を受けながらも一般の人よりも贅沢な暮らしをしているような動画が投稿されたりして、生活保護自体を非常にネガティブに捉える人も。このような風潮もあり、本当は申請が必要な水準でありながら、申請を躊躇う人も少なくはありません。

清掃や交通整理の日雇いバイトで生計を立てている佐々木修さん(仮名・45歳)。脳梗塞の後遺症から仕事は限られ、月収は多少の上下はあるものの、月12万円程度だといいます。ただ最近は仕事が減らされ、月10万円を切るときもあるといいます。

――月10万じゃ、生きていけねぇ

月2回、近所の公園で行われている炊き出しに並びながら窮状を訴えます。支援者から生活保護の申請についてアドバイスを受けることもあるといいますが、病気を発症する前、フリーのSEとして活躍していた佐々木さん、そのときのプライドがあるからでしょうか、「生活保護は絶対に受けたくはない」と頑として首を縦に振りません。

――生活保護なんて受けたら終わりだろ?

――もう、どうすることもできねぇよ

実際、生活保護を受けている人たちの生活とは、どのようなものなのでしょうか。生活保護費の基準となる最低生活費は、住む場所や世帯構成などによって変わります。たとえば東京23区在住、45歳の独身男性の場合、生活扶助は7万7240円、住宅扶助基準額は5万3,700円。合計13万0,940円が最低生活費。賃貸暮らしであれば、生活費に最低8万円弱、家賃に最低5万円強かかるということになります。1ヵ月の収入が10万円であれば、最低生活費との差額、3万円ほどが受けられる可能性があります。

ただ生活保護を受けているからといっても、生活の質には濃淡があるようです。厚生労働省の資料で単身の生活保護受給世帯についてみていくと、食事や買い物等、悲惨な状況に陥っている人も少なからずいることが分かります。

(金銭的余裕がなく)

●食事の回数が1日2回未満…7.7%

●肉・魚・豆腐などのたんぱく質を毎日摂れていない…7.5%

●野菜を毎日食べていない…10.1%

●新しい下着を買ったのは1年以上前…19.3%

●電気掃除機がない…8.0%

●固定電話をもっていない…8.0%

●携帯電話を持っていない…2.7%

●親戚の冠婚葬祭に出席できていない…19.1%

●生命保険に加入していない…35.2%。

生活保護を受ければ、それで解決というわけではありませんが、生活保護をうまく活用し、生活を再構築、再出発を果たすケースも珍しくありません。実際に2024年5月、前述のように令和最多の生活保護の申請があり、そのうち2万0894世帯が生活保護の受給が廃止されましたが、一方で1万8,786世帯が生活保護の受給を終了しました。生活保護の要件から外れたなど、理由はさまざまですが、一定数、生活保護受給により生活を安定させ、再出発へのきっかけをつかんだ人も少なくないでしょう。

生活保護は生活に困窮した際に受けることのできるひとつの権利。上手に活用することを考えたいものです。

[参照]

厚生労働省『被保護者調査』

厚生労働省『生活保護制度』

厚生労働省資料『生活の質の面からみた生活実態・意識の分析について』

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