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国際競争力1位「デンマーク」の一般的な企業あるある…午後3時のオフィス、日本人にとっては「異様な光景」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月2日 9時45分

国際競争力1位「デンマーク」の一般的な企業あるある…午後3時のオフィス、日本人にとっては「異様な光景」

(※画像はイメージです/PIXTA)

幸福度調査でトップ3常連国である「北欧の幸せな国」デンマークは、2022年・2023年と2年連続で「国際競争力1位」に選ばれました。国際競争力ランキングは「経済状況」「政府の効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」という4つのカテゴリの総合評価で決まるものです。千葉県よりも人口の少ない北欧の国が、なぜ世界と肩を並べるビジネス国に成長できたのでしょう。本記事では、デンマーク文化研究家である針貝有佳氏の書籍『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集し、我々日本人からみると異様にも思える「彼らの働き方」について解説します。

国際競争力トップクラスの管理職は、午後4時に帰宅する

午前8時から9時頃、淹れたてのコーヒー1杯とともに軽やかに仕事を開始したかと思うと、午後4時頃、すでにオフィスから姿を消している。これは、この国では「あるある」の光景だ。

厳密に言えば、午後4時どころではない。午後3時を過ぎれば、管理職も経営幹部も帰宅モードに切り替わり、パソコンを閉じ、デスクまわりを片付け始める。午後4時過ぎには、静かになったオフィスを清掃員が掃除している。午後5時、オフィスは空っぽだ。

これが2022年・2023年と2年連続で国際競争力ナンバーワンに輝いた国、北欧デンマークの現実である。

午後4時半過ぎの保育施設にも衝撃

私がデンマークに移住したのは、2009年末。大学院でデンマークの労働市場政策について研究した後、デンマーク人夫と結婚し、デンマークで暮らすことになった。その後は、現地でリアルにデンマーク社会を観察しながら、日本のメディア向けに現地情報を発信し続けてきた。

子どもを保育施設に預けていた頃、フリーランスとして忙しく働きながら、なんとか午後4時に仕事を切り上げ、午後4時半過ぎに子どもを迎えに行くと、保育施設はほぼ空っぽになっていた。そして、空っぽの保育施設を眺めては、不思議に思った。

(親はちゃんと働いているのか?)

もちろん、ちゃんと働いている。しかも、夫婦共働きのフルタイムだ。

デンマークの一般家庭は、午後4時頃には子どもの迎えをして、午後5時から6時頃には家族みんなで夕食を囲む。夜遅くまであくせく働いて、満員の終電に乗り込む東京の光景は、デンマーク人がどんなに想像をめぐらしても、イメージできないのではないか。

東京からデンマークに移り住んだ私にとっても、デンマーク人のライフスタイルは想像を超えたものだった。

午後4時には仕事を切り上げ、家族や友人との団らんを楽しむ。その傍らでは、家具の調達や家のメンテナンスをし、DIYを楽しんでいる。金曜日となれば、午後2〜3時頃に仕事を切り上げる。週末には、スポーツ大会や誕生日会、親戚や親しい友人を招いてのホームパーティーなどのイベントも目白押しで、とてもではないけれど、仕事に精を出して一生懸命に頑張っている様子には見えない。

だが、この国が、2022年・2023年と2年連続で国際競争力ナンバーワンに選ばれたことは、紛れもない事実だ。それどころか、世界デジタル競争力、電子政府ランキング、環境パフォーマンスでいずれも1位、SDGs達成度もトップ3常連国と、国際評価の高さを数えれば枚挙にいとまがない。

謎だらけのデンマーク人

では、デンマーク人はいったいどんな働き方をしているのか。なぜ午後4時に帰宅しても、仕事で成果を出せるのか。

デンマーク文化研究家として、13年以上にわたって日本のメディア向けに現地情報を発信し続けてきた筆者にとっても、本書の執筆は格別なものになった。執筆にあたり、20人を超えるデンマーク人のビジネスパーソンに時間をかけて丁寧に話を聞いた。

その内容は刺激的かつパワフルなものばかり。語られる言葉の端々には、日本人のみならず全世界のビジネスパーソンにとって参考になる働き方と生き方のヒントがちりばめられていた。2年連続で国際競争力ナンバーワンに輝いたデンマーク人は、どんな働き方をしているのか。その働き方は、どんなキャリア観や人生観に支えられているのか。それを明らかにしていくのが、本連載の目的である。

針貝 有佳

デンマーク文化研究家

デンマーク在住。1982年生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科にてデンマークの労働市場政策「フレキシキュリティ・モデル」を研究して修士号取得。2009年末にデンマーク移住後、13年以上にわたってテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ウェブ等からデンマークの現地情報を発信。社会学的アプローチで社会を観察し、デンマーク語で現地の第一次情報にアクセスし、情報・世論・市民の声を届ける。執筆記事は400本以上、企業向けのレポート制作は300事例を超える。

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