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50歳で独身、うっすら見えてくる孤独死の影…増加する「ミドルシニア未婚者」が若いうちに結婚しなかった「本当の理由」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月16日 10時45分

50歳で独身、うっすら見えてくる孤独死の影…増加する「ミドルシニア未婚者」が若いうちに結婚しなかった「本当の理由」

(※写真はイメージです/PIXTA)

一般的に「50歳で未婚の人」は、将来的にも結婚する予定がないと推定し、生涯独身でいる人の割合を示す、統計指標として使われることが多いです。本稿では、そんな50歳で独身という「ミドルシニアの未婚者」の実態について、調査データをもとに、日本総合研究所創発戦略センタースペシャリストの小島明子氏が紐解いていきます。

ミドルシニア未婚者の結婚に対する意識

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、2020(令和2)年の「50歳時の未婚率」は男性が28.3%、女性が17.8%で、年々増加傾向が見られます。今後も結婚を希望する人が増えなければ、ミドルシニアの未婚者はさらに増え、単身世帯が増えることが予想されます。

株式会社日本総合研究所では、国内の45歳から64歳、正規雇用(定年を迎えた人においては、契約社員・嘱託社員含む)として就業している未婚者(いままでに婚姻したことのない人)を対象に、キャリア(結婚や働き方等)に関する意識について、ウェブアンケート調査(以下、「日本総合研究所の調査」)を実施しました。

ここからはその調査結果を踏まえて、ミドルシニア未婚者の結婚に対する意識をテーマに取り上げます。

ミドルシニア未婚者が結婚しなかった理由

ミドルシニア未婚者に対して、若いころ、結婚や子どもを持つことへの希望をもっていたか尋ねたところ、全体としては「結婚もしたくなく子どもも欲しくなかった」(33.2%)が最も多く、「どちらともいえない」(29.1%)、「結婚をして子どもを持ちたかった」(28.2%)と続いています。結婚や子どもを持つことを希望していた人としていなかった人、どちらともいえない人がおおよそ3分の1ずつ存在している状況が窺えます。

いままで結婚をしなかった理由を尋ねたところ、全体としては、「結婚したいと思える相手に出会えなかった」(42.8%)が最も多く、「一人の生活が好きだった」(25.3%)、「自分のための自由な時間が欲しかった(17.5%)と続いており、男女別でみてもこの傾向は変わりません。

ただし、住まい別に比べてみると、「一人の生活が好きだった」という回答は、(東京圏以外の)他地域在住が約2割程度であるのに対して、東京圏在住は約3割とやや多くなっています。

結婚していない理由としてはいい出会いがなかったという回答が多いものの、東京圏を中心に、一人の生活や自由な時間への優先度が高いがゆえに、結婚をしなかった人も少なくないことがわかります。

自由意見のなかでも、結婚に対して、「少子化の問題があり、結婚しないといけない風潮が昔からあるが、個人の自由や希望がそれぞれ違うため、独身であることを社会的に認めてほしい」、「個人の自由意志に任せるのが一番だと思う」など、価値観の多様性を認めてほしい、押し付けないでほしいといった意見が多く寄せられています。昔に比べて個人の価値観が多様化している現在、社会としての寛容さを求めている人が多いことを感じます。

マッチングしない同世代のミドルシニア未婚の男女

日本総合研究所の調査によれば、将来の恋愛・結婚の願望がある人は、全体の3割弱であることが明らかになっています。ただし、結婚相手との年齢差の許容範囲をみると、男性においては、「7~9歳年下」(37.2%)が最も多く、「4~6歳年下」(34.0%)、「10歳~15歳年下」(30.9%)と続いています。

一方で、女性においては、「4~6歳年上」(37.0%)、「1~3歳年上」(37.0%)、「自分と同じ年齢」(37.0%)が最も多くなっています。女性は年齢が近い男性を求めているものの、男性は年齢が若く、年齢差が大きい女性を求めているため、ミドルシニア同士のマッチングはデータ上では容易ではないことが想像できます。

また、結婚を望む理由としては、「精神的に安定した生活が送りたい」(47.3%)が最も多く、「パートナーと楽しく生活が過ごしたい」(44.6%)、「未婚でいるのは寂しい」(39.2%)と続いています。

男女別に比べると、男性では、「未婚でいるのは寂しい」(44.7%)が、女性では「精神的に安定した生活が送りたい」(61.1%)が最も多く、男性は寂しさを埋めること、女性は精神的な安定を求めていることがわかります。

ミドルシニア未婚者の約半数が自治体による結婚支援を希望

さらに、結婚やパートナー探しを支援する施策をミドルシニアに対して、自治体が取り組むべきか尋ねたところ、2人に1人が取り組むべきであると回答していることが明らかになっています。その理由のなかでは、「孤独死の防止につながる」(45.0%)が約半数近くとなっており、孤独・孤立の防止という視点から結婚・パートナー探す支援を求める声は少なくありません。

現在、少子化対策という前提で、結婚支援事業を若者に対して実施する自治体は増えてきています。しかし、平均寿命が延びている状況を踏まえれば、将来の孤独・孤立防止対策という視点からも、結婚支援事業の対象をミドルシニアまで広げていくことは必要ではないでしょうか。

参考

日本総研「ミドルシニア未婚者のキャリアに関するアンケート調査結果」

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=108505

小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト

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