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「内定を受けた後も魅力的なオファーが続々」「今の会社から猛烈な引き留め」で転職を決めきれない…それでも“入社時期の先延ばし”は絶対するべきではない納得の理由【人材のプロが助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月21日 7時15分

「内定を受けた後も魅力的なオファーが続々」「今の会社から猛烈な引き留め」で転職を決めきれない…それでも“入社時期の先延ばし”は絶対するべきではない納得の理由【人材のプロが助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

売り手市場が過熱している昨今の人材市場。転職先がほぼ確定している優秀な人材に対して、別の企業から好待遇のオファーが届くといったこともめずらしくありません。オファーが届いた求職者は悩み、最終的に転職が先延ばしになることも。こうした状況は求職者・企業の双方にとって損失に繋がってしまうと、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏はいいます。そこで今回は、入社時期の引き延ばしをしてはいけない理由について福留氏が解説します。

魅力的なオファーが続々来て、転職を決めきれない…

昨今の人材市場は過熱した“売り手市場”になっています。求職者が優秀であればあるほど有利になる状況下で、いろいろな場面で興味深い現象が起きています。本記事では、その様子をエピソードを交えてご紹介したいと思います。

最近の売り手市場のなかでは、優秀な方であれば当然のように複数の会社からオファーを受け、選考が進みます。本人は「すぐに行きたい」、会社側も「ぜひ来てほしい」となり、よい条件でよい職場が見つかって無事に転職活動は終了というのが、よくある流れです。

しかし、この会社でよい、十分だと納得して、新しい会社でチャレンジできそうだと思っているさなかに、その会社よりさらに魅力的に見える会社が次々アプローチして来る。こんな場面が増えてきています。

一体いつ最終的な判断をすればよいのか、悩ましいほど魅力的なお誘いが優秀な方に殺到するわけです。通常はオファーレター(雇用条件提示書)へのサインをもって入社の意思表示ということになるので、この時点で就職活動は終了したことになります。そして内定を出した企業も、来てくれるという前提で準備を始めます。

ところが、候補者から書面にサインしてもらっても、法的拘束力はまったくありません。法律では、求職者はいつでも自由に内定を降りることができます。もちろん処罰もありません。約束を覆したといって、個人を企業が訴えたり損害賠償請求をしたりすることはできません。引き留めるのは事実上不可能といっても過言ではないのです。

こうしたなかで、これからご紹介する2つの理由で「入社予定日の延期(引き延ばし)」をするケースが散見されます。これについて少々注意喚起をしてみたいと思います。

水面下で「転職活動を継続している」ケース

1つ目。先ほど触れたように、内定受諾の書面にサインした後に本人を迷わせる魅力的な案件が次々現れていることで、水面下で転職活動を継続しているケースが見られます。

“本命はあくまでもサインをした会社”であると本人も自分に言い聞かせ、そう自覚しているつもりなのですが、次々現れる魅力的な企業にどうしても踏ん切りをつけることができず、面接に出かけるなどしてしまいます。

そして、いざ面接を受けてみると、ことのほか話が弾みます。魅力的なオファーにつながる可能性も感じられ、転職活動をぐるぐると継続してしまうのです。ポジションが高位であればあるほど選考も慎重に進められますから、時間も長くかかりがちです。

さらに選考の段階が進めば、その企業からは「他社からのオファーの状況はいかがですか」「他にお受けになっている会社はありますか」という質問が投げかけられます。そうなると、全部とは言わなくても、ある程度、今受けているオファーの金額を伝えることになります。

そのオファーに負けない金額を用意しようとする企業がさらに時間を掛けて準備しようとしますから、どんどん転職の時期が延びていくことになります。ご本人はどちらの企業にも露見しないと思っていますし、もちろん個人情報は保護されるので、最終的にはどの会社を受けたか明るみに出ることはないかもしれません。

しかし、候補者がネームバリューのある人物で、どこかの会社に入ったあとに大活躍すれば、辞退された側の会社が気づくことはあるかもしれません。この場合、露見する・しないということよりも、どこかで信用を失うことになると思われます。ですから、職業選択の自由があるといっても、どこかで筋を通すことを心がけたいものです。

どんなに人材市場が過熱して候補者に有利な状況になっても、道義的、倫理的な規範をまったく無視して生涯のキャリアを進んで行けるというほど世のなかは甘いものではありません。法律的な縛りはありませんが、因果応報とならないように、放逸はほどほどにすることをおすすめします。

現職からの「猛烈な引き留め」にあうケース

2つ目。これは転職活動を継続していないので似て非なるものですが、現職から猛烈な引き留めがあって立ち往生するケースがあります。

もう内定の書面にサインをしてどこかの会社に移ろうと決めていましたが、「辞めさせてほしい」という意志を現職に伝えたところ、上長から転職の引き留めに遭います。そして、実際には延命措置なのですが、辞める理由になった点について、処遇の改善、配置転換、遠隔地赴任などをすぐに実現するかのようにほのめかされます。

転職の目的自体を喪失させるような現職からの強い慰留を受けた場合、候補者は悩みます。これまでの不満や懸念点が改善されるのであれば、リスクを冒してまで環境を変えることはないと考えるようになるのです。特にご家族からそのような意見が出ることが多く、本人が一層悶々としてくるということがあります。それでどっちつかずになり、八方ふさがりになります。みなさまも心当たりがありませんでしょうか。

状況をすぐに伝えたほうがいいのに、もう少し先でいいのではないかと思い、ネガティブな連絡をポジティブな連絡のうしろに回す方がいます。そして転職先の担当者への連絡がずるずると遅れることになります。

人間は、保守と変革ではどうしても保守に傾きがちです。現職の重み、人間関係の濃密さ、ご家族の意見などは影響が大きいもので、結局強い慰留に負けて転職を断念してしまうのです。納得して辞退するのは仕方ないのですが、もともと転職をしたいという理由があったのですから、その目的を貫くことが正しいことになると感じています。

というのも、現職が引き留め工作のためにエサをぶら下げても結局は実行されないことも多いですし、企業は一度反旗を翻した人物を経営中枢に置くことはありません。その場しのぎ、時間稼ぎのために利用されたことを見抜けず、残ったことで結局キャリアダウンにつながることが多いのです。

入社時期の引き延ばしには慎重な対応を

ここで述べた2つの要素を踏まえ、入社時期の延長は絶対にしないことをおすすめします。引き延ばしやキャンセルの申し出を平然とする候補者も多いですが、ほとんどよい結果につながることはありません。

転職活動の堂々巡りは誰も得をすることがありませんので、引き延ばしに対しては極めて慎重な対応を取ってほしいと思います。

福留 拓人

東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長

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