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【昨年「余命4ヵ月」宣告】〈膵臓がん〉→〈原発不明がん〉闘病中の森永卓郎氏が、がん発覚後、唯一「変えてよかった」と考える“食習慣”

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月16日 11時0分

【昨年「余命4ヵ月」宣告】〈膵臓がん〉→〈原発不明がん〉闘病中の森永卓郎氏が、がん発覚後、唯一「変えてよかった」と考える“食習慣”

(※写真はイメージです/PIXTA)

昨年末に膵臓がんであることを公表した、経済アナリストの森永卓郎氏。がんが発覚した時にはすでにステージ4であるだけでなく、余命4ヵ月の宣告を受けました。がんを公表後、森永氏のもとには、治療のアドバイスに関するメールが、1日に数十件以上届くといいます。今回、森永氏の著書『がん闘病日記』(三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売)より、現在も精力的に執筆活動を継続する森永氏が、がん罹患後に「唯一変えた」食生活について見ていきましょう。

がんを公表してから…

私のメールアドレスには、ふだんから1日100通以上のメールが来る。がんの公表後、それが倍増した。

もちろんお見舞いや励ましのメールも数多くあったのだが、それをはるかに上回るペースで、治療のアドバイスが寄せられたのだ。その勢いは、その後、5ヵ月以上経っても続いている。

アドバイスの内容は千差万別だったが、類型化すると以下のように整理される。

森永氏が推奨された「がんを治す」ための精神論

まずは精神論だ。治療のためには、前向きの気持ちを捨ててはいけない。だから常に希望を持てるように、毎日「太陽を拝むべき」、「わっはっはと笑うべき」といったものだ。

前向きの気持ちが大切だというのは全面的に賛成なのだが、私にはなぜ太陽を拝むと前向きになれるのかはよくわからない。

宗教の力を借りるべきだというアドバイスもたくさん来た。

「ご先祖さまに祈れば救われる」といった独自宗教や、知名度の低い新興宗教、そこそこの知名度のある新興宗教への入信が勧められた。勝手な想像だが、そのことで私ががんの克服に成功したら、それを教団の宣伝材料にしたいのだろう。

そして、仏教やキリスト教といった確立した宗教からのお誘いもあった。

ちゃんとした宗教だから、アドバイスはしっかりしているのだが、私が違和感を禁じえなかったのは、「あの世での幸福を得るために祈りなさい」としていたところだ。

私は、あの世の存在を信じていない。いまの人生が終わったら、元の木阿弥、何一つ残らないと考えている。それではなぜ、宗教があの世の存在をアピールするのかというと、信者に現世での幸福をもたらそうと考えているからだ。

ほとんどの信者はつらい人生を送っている。それを直接改善することは、どんな宗教でも容易ではない。そこで「いま祈っておけば、来世での幸福が訪れますよ」と言って希望を与える。その希望が信者の現世での生きがいとなって、現世もまた幸福になるのだ。

ところが、私は来世の存在を信じていない。現世の暮らしも、やりたいことをやってきた。だから、現世での暮らしがつらいとか苦しいとか感じていないのだ。そうした人間に宗教は不要だ。

ただ、ちょっとだけ嬉しかったことがある。それは多くの人がお守りを送ってきてくれたことだ。いま私の寝室には、送られてきたお守りがずらりと並んで吊り下げられている。

最初にお守りを送ってきてくれたのは、上島竜兵さんの奥さまの広川ひかるさんだった。ラジオで一度共演させていただいた関係だ。お手紙には書いてなかったが、おそらくご主人を亡くされた経験を踏まえて、私に生き延びてほしいと思われたのだろう。

お笑い芸人のみほとけさんは、わざわざ奈良の大安寺に出かけて、祈祷を受けたお札を持ってきてくださった。みほとけさんは、お笑い芸人であると同時に仏教の専門家で、大安寺はがん封じで有名なお寺だ。ちなみに、御祈祷はサブスク方式になっていて、お寺に電話などで連絡すると、1年のあいだ何度でも祈祷を繰り返してくれる仕組みになっているそうだ。

お守りやお札がありがたいのは、場所を取らないことだ。千羽鶴を送ってきてくれた人もいるのだが、自宅には飾るスペースがないため、事務所に飾っている。

もうひとつ、お守りのありがたいところは、送り主に打算がないことだ。

多くの人が、お守りでがんが治るとは考えていない。だから、仮に私のがんが治癒したとしても、「自分が送ったお守りのおかげでがんが消えた」というアピールはできない。

つまり、お守りに込められているのは「治ってほしい」という純粋な気持ちだけなのだ。

森永氏が推奨された「がんが消える」飲食物

一番多かった具体的なアドバイスは「これを摂取すれば、がんが消える」という飲食物だ。

第一は水だ。

奇跡の水というのが、日本には複数存在する。天然ものと人工ものの双方があるのだが、天然ものの場合、古くから健康によいとされてきた湧き水が多い。

一方、人工ものの代表選手は重曹クエン酸水かもしれない。

一応、水が効果を発揮する理屈は付けられていて、抗菌・抗ウイルスの効果を持っているというケースが多い。ただ、がんは細菌やウイルスが原因ではないので、何か筋が通っていない気がする。

重曹クエン酸水の場合は、細胞外のpHをアルカリ性にすることで、がん細胞の増殖が抑えられるのだという。そんな単純かつ低コストの処方でがんを抑制できるのなら、なぜ医療現場で広がらないのか不思議だ。それに未知の液体を飲む勇気が、私にはなかった。

正直言うと、重曹クエン酸水だけは、危険性はないと判断し、一口だけ飲んでみた。ただ、それだけでやめた。まずかったからだ。

第二は、ビタミンだ。

ビタミンCとビタミンDを推奨する人が多かったが、そのほかにもビタミンはこんなにたくさん種類があるんだと驚くほど、さまざまなビタミンが推奨されてきた。

ビタミンの派生で、ビタミンを多く含むフルーツを食べろとか、ジュースを飲めという提案も多かった。

ビタミンCはがん細胞の主食であるブドウ糖と構造が似ているので、大量のビタミンCを摂取すると、がん細胞がブドウ糖を取りにくくなるということが、効能の根拠になっている。そうしたことから、ビタミンのサプリメントも推奨された。

ただ、ビタミンCやビタミンDのサプリはドラッグストアに行くと数百円で手に入る。そんな安いコストでがんが克服できるのだろうか。

「医療界ががん治療で大儲けしているから、低価格の特効薬は目の敵にされている」という意見も寄せられたが、本当に劇的な効果があるのなら、がん患者のクチコミで急速に広がるのではないかと私は考えている。

まだまだある「摂取すれば、がんが消える(?)」食べ物

第三は、キノコ、あるいはキノコからの抽出物だ。

たとえば、台湾に古くから自生するベニクスノキタケというキノコから抽出したアントロキノノールという成分は、コレステロール低下の効果があるとされているが、がんにも効果があるという説がある。

キノコは漢方薬でも使われているので、効果があるのかもしれないが、私は、聞いたこともない高額なキノコを食すことには、やはり抵抗がある。

第四は、種子系だ。

植物の種子のなかには、がん細胞だけを攻撃する成分が含まれているものがあり、種子の抽出物をサプリメントにしたものを服用すれば、がんは克服できるというのだ。ただ、ビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、サクランボなどのバラ科植物の種子には、アミグダリンやプルナシンという青酸を含む天然の有害物質が多く含まれていて、種子を加工した食品を大量に摂取すると、健康を害する危険性が高いと農林水産省は警告している。

小林製薬の紅麹サプリによる健康被害のニュースとタイミングが重なったこともあり、やはりこうしたサプリは怖くて手を出せなかった。

第五は、穀物や野菜だ。

たとえば、がん細胞の好物になる糖分を多く含む白米ではなく、玄米を食べるべきだという。米ぬかのなかに健康成分が含まれているからがんに効くのだそうだ。

野菜のなかでは、ニンジンやブロッコリーがよいという。ただ、ニンジンもブロッコリーも指定野菜で、多くの国民がすでにふつうに食べている。また、ブロッコリーは筋トレをする人の「主食」といってもよい存在だから、もし本当に効果があるのなら、筋トレをしている人はがんにかかりにくくなっていないとおかしい。

第六は、海藻だ。

これも、さまざまな海藻が登場するのだが、とくに「もずく」がよいという。もずくは私も好きなのだが、もし本当に効果があるのなら、沖縄県のがん死亡率が低くないといけないのだが、県別の死亡率ランキングをみると、沖縄の死亡率は真ん中くらいなのだ。

第七は、乳酸菌などの菌系だ。

乳酸菌そのものも、たとえばヨーグルトを食べるとよいとか、乳酸菌のサプリやドリンクもある。腸内細菌のひとつであるAD101株をサプリにしたものなどの推奨もあった。

第八は、キチン・キトサンだ。

キチン・キトサンというのは、カニやエビの甲羅などに含まれている物質で、通常は消化ができないのだが、脱アセチル化してキトサンにすると吸収できるようになる。免疫力強化の効果があると言われている。

森永氏が、がん罹患後に唯一変えた「食生活」

これらのほかにも、たくさんの飲食物の推奨があったのだが、ほぼ共通しているのは、明らかに健康によくないとみられる飲食物は含まれていないことだ。

たとえば、「たばこをたくさん吸うとがんが治る」とか、「脂肪分の多い食品がよい」といったアドバイスは一切なかった。

つまり、野菜を中心としたヘルシーな食事を続けるのがよいということなのだが、それはがんの治療に限らず、ふだんの生活に関して医師が共通して勧めるライフスタイルだ。

また、複数の医師から「食べられている患者で死んだ人はいない」という話も聞いた。モノを食べて、それを消化し、栄養分を体中に行きわたらせるというのが、生きることの基本になっているからだ。

医食同源で、飲食物が重要であることはたしかだが、だからと言って、特定の飲食物ががんの特効薬となるとは、私には思えないのだ。

ただ、最近になって、ひとつだけ私が食生活を変えたことがある。それはヨーグルトを食べるようにしたことだ。医師が開発したヨーグルトというのがあって、がんへの効能を謳っているわけではないのだが、ヨーグルト自体が北欧ではずっと食べられてきた食品なので、摂取のリスクはまずない。ふつうに売られているヨーグルトとくらべるとかなり割高だが、医療費と比較したらケタ違いに安い。

そして、私が毎日食べることにしたのは、通販で取り寄せて食べてみたら、非常に美味しかったからだ。「治療のためだ」といってまずいものを食べたり飲んだりするのは嫌だが、美味しいものは続けられる。がん治療のためでなく、食生活を彩るために食べているので、治療とは無関係の妻まで毎日一緒にヨーグルトを食べるようになったのだ。

森永卓郎

経済アナリスト

獨協大学経済学部 教授

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