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「このまま続けて大丈夫なのか?」国の“お墨付き”に安心して新NISAを始めた31歳会社員が疑心暗鬼に…「円高・株価暴落」に対処するために知っておくべき“投資の鉄則”【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月20日 7時15分

「このまま続けて大丈夫なのか?」国の“お墨付き”に安心して新NISAを始めた31歳会社員が疑心暗鬼に…「円高・株価暴落」に対処するために知っておくべき“投資の鉄則”【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「新NISA」が始まってから初めての暴落が起こりました。その後、暴落前の水準まで回復していますが、新NISAで投資を始めた初心者のなかには「やっぱり投資は怖い」「やらなければよかった」と感じている人もいるかもしれません。そこで本記事ではファイナンシャル・プランナーの松本耕太郎氏が、会社員のFさん(仮名・31歳)の事例から、暴落時に誤った判断をしないために押さえるべきポイントを解説します。 ※為替や金利、株価の変動はさまざまな要素が絡んで起きるため、本記事でお伝えする話はあくまでひとつの可能性であることをご理解ください。

ニュースやSNSを見てなんとなく始めた「新NISA」だったが…

会社員のFさん(31歳・独身)は、今年の新NISAスタートを機に、ご自身の年収の15%にあたる毎月10万円の積立投資を始めました。それまでは投資についてネガティブなイメージを持ち、怖いと感じていましたが、ニュースやSNSを見て「国がここまで勧めているならば、危ないものではないだろう」と思ったそうです。

そんななか、今回の円高と株価暴落が発生しました。「こんなことになるとは、なんだか話が違う」と、このまま本当に投資を継続してよいのか、今抱えている損失に対してどうすればいいのか悩み、FPの私に相談してきたのです。

急な円高、株価暴落の理由

最初にFさんにお伝えしたのは、今回の円高や株価暴落の理由です。 投資を行ううえでは、起きている出来事に対して自分なりに「理由」を考えることが重要です。

まずは円高について。為替を考えるうえで覚えておいてほしいのは、「為替は美人コンテストである」ということです。どのような要因であれ、人気のある通貨の価値が高くなります。今回の円高、つまり円の人気が上がった要因のひとつに、金利が挙げられます。

アメリカはコロナショックからの回復による需要の増加の影響でインフレが発生し、消費者物価指数が9%まで上昇しました。このインフレを抑えるためアメリカは金利を引き上げる政策を取っていましたが、2024年に入りインフレが落ち着いてきたため、9月、11月、12月と段階的に利下げが行われる見通しです。

一方、日本は長期間にわたり超低金利政策を取っていましたが、日銀が物価目標2%を達成できる見込みが立ったことや、加速する円安を抑えるために、金利を引き上げる方向性を示しました。

つまり、アメリカでは利下げにより今後金利が付きにくくなり、日本では利上げによって金利が付くようになります。これにより、これまでアメリカドルに投資していた人々が日本円に投資するようになり、円高が進んだのです。

続いて、株価についても触れました。FさんはYouTubeでおすすめされていたことを理由に「S&P500」に投資をしていました。今回はS&P500も大幅に下落したので、その理由を説明しました。

「S&P500」が下落した原因

まず前提として、これまでのS&P500は上がりすぎていました。今年からS&P500に投資を始めた人は、上半期だけで14.5%も上昇していました。その要因として、Apple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Amazon.com、Meta、Tesla、いわゆる「Magnificent 7」と呼ばれるITテクノロジー業界を代表する7社(とくに半導体メーカーのNVIDIAは話題になったので知っている人も多いでしょう)の業績が好調で、それに伴い株価が上昇したことが考えられます。

しかし、7月のMagnificent 7の決算報告で成長率が減速していたことから、機関投資家によるAI投資への期待感が弱まりました。さらに、7月の米雇用統計発表で失業率が上昇し、アメリカが金利の引き下げを見送ることを発表したため、景気の低迷が懸念されました。

そのため、これまでITテクノロジー分野に投資をしていた機関投資家が、金利の利下げにより債券価格がこれから上がることを期待して国債を購入する流れとなったのです。

実はS&P500を構成する銘柄はMagnificent7が3割を占めているため、S&P500全体が暴落したのです。また、先ほど解説した円高ドル安により、ドルの価値が下がったこともS&P500の下落に拍車をかけました。

歴史から学ぶ暴落時の対処法

今回のS&P500の下落に加え、日本版ブラックマンデーともいわれた日経平均株価の暴落など、投資家にとって嫌なことが続いています。とくにFさんのように新NISAから投資を始めた人は、パニックに陥っても当然かもしれません。

では、このようなときにはどのように考えればよいのでしょうか。

まず、暴落はこれまで幾度となく起きているということを知る必要があります。S&P500を例に取ると、リーマンショック時には53%下落しましたが、5年で回復しました。また、まだ記憶に新しいコロナショック時には34%下落しましたが、わずか半年足らずで回復しました。

このように、これまでの歴史のなかで何度も暴落が起こり、そのたびにS&P500は回復し、さらに成長を続けてきたのです。今回の暴落もそのひとつと捉え、あまり悲観的にならないことが大切です。またS&P500であれば、過去の実績ではありますが、15年以上保有することで元本割れしない、という分析結果も出ています。

もちろんこれらは過去のデータであり、将来の投資成果を保証・予測するものではありませんが、15年以上投資を続けることで、お金を増やせる可能性が高いということがいえます。

今こそ「投資は長期目線が大事」の意味を再確認

今回のような暴落が起きると、一部の投資家(特に新しく投資を始めた人)は怖くなって株を手放したり、積み立てをやめたりしてしまいます。しかし本来暴落したときこそ、安く買えるチャンスでもあります。

とくに今回のように9月にアメリカの金利が下がるということがほぼ確定しているとしたら、金利が下がれば株価は上がる可能性があるため、”今こそアメリカ株の仕込み時”といえるかもしれません。また積立投資はドルコスト平均法を活かすことができる投資法としてもよく知られています。

ドルコスト平均法とは、一定の購入金額を積み立てることで、今回のように暴落して株価が安いときはたくさん買うことができ、株価が高騰しているときは少なく買うことで購入平均単価を平準化させることができ結果的に長期的な資産形成に効果がある方法です。

新NISAを始めたほとんどの人は、短期的な利益ではなく、長期的な目線で投資を考えていると思います。だからこそ、今回のような一時的な暴落に踊らされることなく、淡々と積み立てをしていくことが大切なのです。

ご相談者であるFさんも、現在市場で起きていることを正しく理解されました。また、特に焦る必要もなく引き続き積み立て投資を継続すればいいと思っていただけました。

なぜ投資をしているのか、投資のロードマップを作るために「ライフプラン」の活用を

今回のような暴落によって、誤った判断をしないためのひとつの方法として、ライフプランの作成をお勧めします。

投資の目的を意識することで、長期的な目線で投資を捉えることができるようになります。多少暴落が起きたとしても、目的さえ見失わなければ、投資のゴールに向けてただひたすら積み立てをすればいいという気持ちになります。投資をしたその先の未来に希望すら持てるかもしれません。

最後に、投資にまつわる有名な逸話をひとつ紹介します。ある会社の株で最も多く利益を得た人は、”株を買ったことを忘れていた人”と”株を持っている間に亡くなってしまった人”だったらしいのです。日々動く株価に一喜一憂するのではなく、いつか上がるだろう、くらいの気持ちで投資に取り組んだほうがいいのかもしれません。

松本 耕太郎

ファイナンシャル・プランナー

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