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45歳で夫を亡くした妻、週3でパート掛け持ちで「月収35万円」なんと息子2人を大学まで通わせたが…65歳からもらえる「遺族年金額」に余裕の老後は絶望的

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月15日 10時15分

45歳で夫を亡くした妻、週3でパート掛け持ちで「月収35万円」なんと息子2人を大学まで通わせたが…65歳からもらえる「遺族年金額」に余裕の老後は絶望的

(※写真はイメージです/PIXTA)

大黒柱を失った遺族にとって、その後の生活を保障する「遺族年金」。それだけで遺族の生活が成り立つわけではありませんが、遺族の生活の支えになることは確か。そんな遺族年金の想定外で、老後の生活がピンチになることもあるとか。よくある遺族年金の思い違いとは?

月15万円の遺族年金…根性で2人の息子を大学まで通わせたシンママ

65歳となり年金生活をスタートさせた斉藤恵子さん(仮名)。さかのぼること20年前、45歳のときに夫を病気で亡くしています。「本当に大変だった……」と、当時を振り返ります。

夫婦共働きだったため、「死亡保障はそんなにいらないんじゃない? それよりも働けなくなったら一大事だから、医療保障を厚めに」と保険に入っていたため、夫の病気が判明し、余命いくばくもないと分かったときは絶望したといいます。

――病気が分かってから亡くなるまで1年ほど。心構えができたのは良かった

恵子さんが働いていたのは、従業員50名ほどの会社で、月収はその企業規模、年齢では平均的な27万円ほどだったといいます。そこに夫の遺族年金が月15万円ほど。

遺族年金は国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」の2種類。子どもが18歳までは遺族基礎年金を受け取れ、遺族厚生年金は受給要件に子どもの有無はありません。

※細かな要件は日本年金機構『遺族年金ガイド』を参照

遺族基礎年金の受給額は「81万6,000円+子の加算額(令和6年度)」。子の加算額は1~2人目は各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円です。遺族厚生年金の受給額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。また報酬比例部分の計算において、厚生年金に加入していたのが300ヵ月(20年)未満の場合は、300ヵ月として計算します。

3歳年上の夫が亡くなったことで受け取ることのできた遺族年金は、遺族基礎年金が月10.6万円、遺族厚生年金が月4.4万円。ほかにも児童扶養手当などもあったり、死亡保険金として500万円ほどが入ったり、そもそも恵子さん自身の給料もあったりと、親子3人が暮らしていくには特段、問題はなかったでしょう。

ただ「夫が亡くなったことで、もちろん収入は減りました。そのことで、子どもが何かを諦める、というのは絶対にイヤだった」と恵子さん。週に3回、就業後にパートを掛け持ちして(もちろん、会社の了承を得て)、毎月プラス8万円ほどの収入を得ていたとか。自身の給料と合わせて「月によって多少のブレはあるけど35万円くらい」。それで2人の息子を大学まで進学させたといいます。

65歳からもらえる年金額…想定よりも「月4万円」も少ないという想定外

2人の息子とも18歳に達したのは、57歳のとき。以降は、遺族基礎年金はもらえませんが、代わりに遺族厚生年金に中高齢寡婦加算がプラス。これは、「夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻」、または「遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達したため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき」に、40歳から65歳になるまでの間、61万2,000円(年額)が遺族厚生年金に加算されるものです。

それから4年後、なんとか、2人の息子とも立派に社会人となり、恵子さんの子育てはひと段落。そして65歳。それまで勤めていた会社は定年退職となり、恵子さんも年金生活へと突入。諸々手続きをしに、年金事務所を訪れたといいます。

恵子さん、老齢年金は基礎年金と合わせて月14.7万円になる計算。「遺族年金と合わせたら、月20万円ほどね」と考えていたといいます。ただ年金事務所で判明した「えっ、そうなんですか?」という想定外が2つありました。

まず「特別支給の老齢厚生年金」がもらえるというもの。これは昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が65歳に引き上げられたことで設けられた制度で、女性の場合は昭和41年4月1日以前生まれであることが要件のひとつ。恵子さんの場合、61歳から厚生年金の法令比例部分が受給できるはずでした。年金請求の期限は5年なので、恵子さんの場合、時効にかかる分はなく、全額が一時金として支給されます。

恵子さんにとって、このことは「ラッキー」であれば、もうひとつは「アンラッキー」でしょうか。それは、老齢年金に上乗せされると思っていた遺族年金は「ゼロ円」という事実です。

――えっ、何かの間違いでは?

これは、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となるルールによるもの。つまり老齢厚生年金に加えて老齢遺族年金も受け取れるのは、「老齢厚生年金」<「遺族厚生年金」の場合であり、またその差額だけを受け取ることができます。女性の場合、遺族厚生年金よりも自身の老齢厚生年金のほうが多く、結果的として「遺族年金はゼロ円」になってしまったのです。

月4万円ほどもらえると思っていた遺族年金がゼロ円になるという想定外。現役を引退後に、この思い違いはかなりのインパクトです。

――老後なんて余裕だわ、と思っていたけど、絶望的かしら

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』によると、1人暮らしの高齢者の1ヵ月の支出は月14万円程度。恵子さんの場合、額面が月14.7万円なので、実際は12万円程度になると考えられます。平均的な暮らしを考えるなら、毎月、足りない分は貯蓄を取り崩す必要が出てきそうです。

――まあ、2人の子どもを大学に行かせるよりは全然ラクね

思い違いはあったものの、恵子さん、自身の老後に対してかなり前向きに考えています。

[参考資料]

日本年金機構『遺族年金ガイド』

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