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投資ブームで重要度が増す「金融リテラシー」…親から子に“生活の中”で伝えたい「お金の基本」と「投資マインド」【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月19日 8時45分

投資ブームで重要度が増す「金融リテラシー」…親から子に“生活の中”で伝えたい「お金の基本」と「投資マインド」【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

世間の流れに乗って新NISAで積み立てを始めたものの、歴史的な株価下落に直面し、溢れる情報の信憑性に不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。投資が一般的になっていくなかで、「子どもたちには早期から金融リテラシーを身につけて、情報に惑わされることなく未来を歩んでほしい」と考えている親御さんも少なくないでしょう。そこで、小学生~中学生のお子さんを持つ方に向けて、身の回りの生活の中で自然に「お金の基本」や「柔軟な投資マインド」を伝えていく方法を現役ママFPがお伝えします。

子世代の未来に必要なお金の知識をつけてあげたい…

『金融教育』や『投資スキル』と聞くと、そのような教育を受けてきていない私たち親世代は、未知の世界につい構えてしまいませんか? 何か特別な知識が必要なのでは、と。

もちろん、効率的な資産形成には最低限のスキルが必要ですし、大人には勉強してからスタートしてくださいとお伝えはしていますが、相手は子ども。まず伝えていくべきことは、構えることなく家庭の中で楽しく自然に身につく投資マインドです。

自分の判断で機会を見極め、自分の『お金』『時間』『能力』をかけて新たな価値を生み出す投資マインドが身についた子どもは、豊かな人生をおくることができるでしょう。

おこづかいが社会を動かす?社会とつながっている実感を

その入口が「おこづかい」だと私は考えています。普段使っているおこづかいが自分の欲求を叶える道具でありながら、自分と社会が繋がる入口だと考えたらワクワクしませんか?

大好きなお菓子を買ったら、その代金がたとえ100円だったとしても、製品に関わる人たちに少しずつ分配され社会を巡ります。自分が欲しいと感じて、購入したことで幸せを感じる、いわば自分の選択が世の中に溢れるモノへの投票であり、さらにその企業の応援になるという大きな社会の仕組みをおこづかいで学ぶことができるのです。

昨年くらいから我が家でも、世間の波に乗りグミの大流行が巻き起こっています。たくさんのグミの中でこの商品のどういうところが新しいのか、子どもたちに人気のヒミツはどこなのかとよく話しながら、「応援しよう! もっといい製品を生み出してもらおう!」と購入することにしています。そして、そのお菓子メーカーの株価チャートを見せると、ここ数年で右肩上がりなことに気づき、消費者としての実感と実際の市場の動きが同じだねと確認しています。

欲しいものにお金を払うと、『自分が何を考えているか、何に幸せを感じるか』が見えてきます。なんとなく買うのではなく、「自分は本当にほしい?みんな(世の中)はどうかな?」と親子で話しながら買い物をすると、自分のお金の幸福基準に気づいたり、リアルな今の世の中の動きに敏感な視点が育ち、将来の投資行動に役立つのではないでしょうか。

お金は、そこにあるだけではただの紙切れや金属。お金が自分の幸せを実現するだけでなく、企業を応援し社会を循環させ、自分たちの生活をさらに発展させる道具だと、実体験の中で感じさせてあげたいものですね。

投資には「お金を増やす投資」と今すぐ始めたい「自己投資」がある

そして、投資とはお金を増やす金融商品のことだけではないということを前提に伝えていきましょう。大人でもついつい金融商品の買い方や運用だけに偏ってしまう世間の流れを感じています。『時間』と『お金』を費やすことは共通ですが、これから長い長い人生を歩む子どもには、自分自身に自己投資が大事だと伝えましょう。最もコストパフォーマンスが高い未来への投資です。

キッズマネー講座を開催している筆者が最近特に気になることがあります。講座の中で、お金は貯めることより上手に使うことの方が実は難しいから練習しようねと伝えるのですが、子どもたちは口々に「使わないで貯金する!」と言います。

お金の学びを子どもに伝えたいとの思いで参加下さる保護者の方々なので、きっと貯金は大切と伝えてくださっているのでしょう。もちろんそうなのですが、その貯金の一部を子ども自身が自分の能力をつけるために自己投資をする経験をさせてあげてほしいのです。

長期休みの体験イベントでも、学びになる本の購入でも、金額が負担にならない程度で何でもいいのです。中学生になれば、しっかり伝えることで、自分で将来の自分に何百倍もの効果をもたらすかもしれない可能性や夢に投資をすることの高揚感を理解できるようになるのではないでしょうか。大事なのは、その自己投資での成長に親が気づき、声掛けすることです。自己投資することに自分自身で成長を見出せるようになり継続できたら、何よりの『ジブン資産』形成ですね。

投資される側になるには?人生を考えるきっかけに

自己投資を通して子どもに考えてほしいことが、『投資される側になるには?』という視点です。日本では、貯蓄から投資へ、自助努力で資産形成をと、全世界株や米国企業への投資でお金を増やすという論調が目立っています。しかし、個人資産が増えたとしても、国内預金が海外へ流出するばかりで日本の企業や日本経済の成長に投資しなければ、日本の衰退に歯止めがかからないでしょう。

そこで、子どもたちには『時間』をいう最大の武器をもって自己投資することを伝えていきたいのです。日常の中の「なんで? こうしたらもっと良くなるよね!」という子どもたちの声を、できるだけ拾える親でありたいと思うのです。社会の不便さを解決する新しい製品やサービスを生み出す人材となり日本経済を救う、『投資される側になるには?』を考える教育現場であってほしいですね。

投資はお金を増やすだけのマネーゲームではない

政府が推し進める新NISAの効果もあり、以前よりずっと投資が身近になってきています。高校の授業でも扱われるようになり、自分事になるのは良いことではあるのですが、誰もが思いつきでスタートする簡単なゲームとは違うということはしっかりと伝えておきたいものです。

ゲーム(投機的なギャンブル)は運に依存したものですが、投資は知識や経験、正しい情報を取り入れるスキルがあれば、ある程度成果をコントロールできる可能性があります。前回の寄稿の中でふれた、おこづかい管理の方法にもあったのですが、我が家では『おこづかいは予算で仕分け管理』を練習しています。

将来も先取り貯金と先取り投資をし、残りで消費なのか浪費なのか投資なのか考え生活するという習慣をスキルとして身につけてほしいからです。そして、お金がお金を生む実感をするために、我が家ではおこづかいの中の貯蓄部分の月末残高に対して数%の利息をつけることにしています。その利息も含め、おいておけば、その利息が原資となりまた利息を生むという複利効果も体験できます。

また、小学生のうちから『にちぎんキッズ』など公的な機関のお金を学ぶツールを見せたり、モノポリーや人生ゲームなどのボードゲームを通して遊びの中で投資の世界を疑似体験もしています。

実際に体験するのも勉強

ここまで、家庭の中で育てる投資マインドをお伝えしてきましたが、中学生になれば、株シミュレーションアプリを使ってみたり、実際にお金ではないポイント投資で株価の動きを疑似体験してみたり、実際の投資に向けてできることが増えていきます。

とは言え、やはり実体験に勝るものはなしです。お年玉やおこづかいを活用して、少額からでもコツコツと自分のお金が育つ経験をしてください。少額でも自分のお金が動いていると思えば、経済ニュースや世間の声に関心をもつ習慣になります。たとえ失敗しても、親が目の届く範囲内で損失も子どもサイズです。

大人になって大きな取り返しがつかないほどの損失を出す前に、小さな失敗経験を積めば、それは将来の大きな成果の種となります。子どもにしかない武器『時間』を今から最大限生かすことで、お金にも自分にも複利効果をもたらし、人生豊かにワクワク歩むことができるのではないでしょうか。

北村 由紀

ファイナンシャルプランナー

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