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「夜遅くに歩いているほうが悪い」「いつまで落ち込んでいるの?」…被害者をさらに追いつめる「二次被害」に遭ったときはどうすればよい?【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月20日 17時15分

「夜遅くに歩いているほうが悪い」「いつまで落ち込んでいるの?」…被害者をさらに追いつめる「二次被害」に遭ったときはどうすればよい?【弁護士が解説】

犯罪の一次被害に起因して、周囲の人の言動などで被害者が傷つけられることを「二次被害」と呼びます。二次被害に遭ったとき、どんなふうに対処すればよいのでしょうか? 上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、具体的な二次被害の例と対処法について解説します。

事例:性被害にあって刑事裁判中。SNSを通じて誹謗中傷が届きます。

CASE:性被害にあって、刑事裁判が行われているのですが、「美人局(つつもたせ)だろう?」「被害者ヅラやめろ」などという誹謗中傷が、SNSにたくさん届きます。匿名ですが、身近な人しか知らない情報も書かれているので、知り合いなのではないかと疑心暗鬼になっています。 ANSWER:そのような状況は明らかな二次被害です。刑法の名誉毀損罪や侮辱罪にあたる可能性があります。このような誹謗中傷は許さない、という趣旨で、侮辱罪が改正されて刑が重くなりました。警察に相談して、相手を特定して立件してもらうことも検討しましょう。

あなたを守る法律

「犯罪被害者等基本法」第3条 基本理念  

1 すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。

2 犯罪被害者等のための施策は、被害の状況および原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。

3 犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする。

解説:回復を妨げる二次被害

犯罪被害には、生命・身体・財産などを侵害されるさまざまな被害(一次被害)があります。そして、その一次被害に起因して、周囲の人の言動などで被害者が傷つけられるのが「二次被害」です。

一次被害よりも二次被害のほうがつらかったという被害者はとても多いです。二次被害は、被害回復を遅らせる要因になります。

警察庁の調査によると、二次被害の相手は、①加害者関係者(加害者本人・家族、加害者の弁護人など)、②捜査や裁判等を担当する機関の職員(警察、検察官、裁判官など)、③同じ職場・学校に通っている人、④家族・親族……の順に多くなっています。

しかも、加害者よりも、身近な人からの二次被害にあった人ほど、被害回復が妨げられていることが明らかになっています。

二次被害により回復が遅れ、それまでの人間関係が壊れてしまう人もたくさんいます。「自分は被害にあっても毅然としていられると思っていたのに、全然違っていた」という方は少なくありません。

自分の意思とは関係なく、朝起きられない、食事が取れない、眠れない、外に出られない、勝手に涙が流れてくる、といったことは、被害にあうと誰にでも起こりうることです。

犯罪被害にあうことがその人にどれだけ重大な悪影響を及ぼすのか、しっかりと理解して被害者に接することが重要です。

二次被害の例

二次被害には次のようなものがありますが、これらはほんの一部です。

1 友人、恋人からの言葉

・「夜遅くに歩いているほうが悪い」

・「被害なんて言ってるけど、あなたもその気があったんでしょう?」

・「忘れたほうがいい。時間が解決する」

・「あなたが警察に行かなかったら、他の人が被害にあうから行くべきだ」

2 親、きょうだい、配偶者などの家族からの言葉

・「世間体が悪いから黙っていて」

・「警察沙汰を起こすなんて恥だ」

・「なぜ今頃言うの?自分が悪いから黙っていたんでしょう?」

・「いつまでそうやって落ち込んでるの?」

3 マスコミによる報道

・重大事件の被害者宅に各社が押しかけ、近所にまで迷惑をかける

・遺族の許可なく、お通夜や葬儀の取材をして報道する

・被害者の写真を勝手に報道する

4 警察、検察、裁判所などの捜査や裁判の場で

・取り調べの過程で、被疑者と同じような扱いをする

・「なぜそこにいたの?」など、被害者に落ち度があるような聞き方をする

・法廷で被告人が被害者を侮辱するような発言をしても、阻止しない

5 被害者支援弁護士

・「加害者にも言い分があるのだから、被害者も配慮して」

・被害者参加制度や心情等に関する意見陳述など、刑事裁判における被害者の権利に無知な結果、「被害者は刑事事件にはあまり関わらないほうがいい」などと決めつける

6 医師

・「警察に届け出るなら診察しない」

・「たいしたケガじゃないから、放っておけば治る」などと言ってカルテにも記載せず、そのために後日、事件の立証ができずに不起訴となってしまう

・「中絶するなら、加害者の同意をもらってね」などと間違った助言をする

上谷 さくら

弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長

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