25歳のご長寿猫「みけちゃん」の家に3匹目の猫がやってきた!新入り仔猫「パレオ」が持ってきた、なかなか大変な〈お土産〉とは?
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月14日 10時0分
出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋
人間なら116歳! SNSで注目されているご長寿猫「みけちゃん」と、拾われてみけちゃんの弟になったピース。そんな2人の新しい家族は、小さな小さな仔猫「パレオ」でした。みけちゃんと家族の「普通で愛おしい」日常を、みけちゃんの飼い主であり、児童文学作家である村上しいこ氏の著書『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より一部抜粋・再編集してお届けします。
村上家「3匹目の仔猫」と出会った話――“末っ子”パレオ登場
新聞の折り込み紙で『三重ふるさと新聞』というのがある。2012年の10月中旬のある日、「猫もらってください」コーナーに、片腕だけが茶トラ猫毛色で、あとはキジトラ猫毛色という仔猫が載っていて、
「なんやこの珍しい柄!! 会ってみたいやん!!」
となり、すぐに電話をした。すると先方から、
「ああ、その子はもう里親さんが決まったんです」
やっぱりな、そうやよな、と落胆する私に、
「あ、でもほかにもたくさんかわいい子がいるんです。会うだけでいいので会ってくれませんか」
じゃあ、お願いします! 私は、最初からそう決まっていたかのように、それが当然のように即答していた。おいおい、最初の珍しい柄の仔猫じゃなくてもいいんかーい! という声がどこからともなく聞こえたような聞こえてないような……。
そうしてやってきたのが、生後1ヵ月くらいで、私の手のひらに収まってしまう小さな小さな仔猫。体だけではなく一生懸命に鳴くその声もまたか細くて、こんな小さい子を私は育てられるのかと不安になるくらいだった。
保護したボランティアさんが言うには、まだ目も開いてない仔猫が5匹一緒に段ボール箱に入れられていて、みんなわりとすぐにお家が決まったけど、私のところへ来た子だけが最後まで残り、また1番弱っていたらしい。
いやいやちょっと待って。そんな状態の子を私が育てられるのか。
ピースを保護したときも生後2ヵ月〜3ヵ月で小さいと思ったけど、それなりにしっかりしていたからそこまで不安はなかった。でも、か細くても必死に鳴くその姿が、
「もうぼく、どこにも行きたくないの。ここの家の子になりたい」
と言っているように聞こえ、まずはみけちゃんとピースが受け入れるかどうかを確かめるべく、ショートステイで預かることになった。しかしこのときばかりはショートステイの2週間、生きてるか何度も確認した。
―ぼく、一生懸命鳴いてアピールしたもん。 かあちゃんに届いてよかった ―パレオ
新しい仔猫は寄生虫を連れてきた! てんやわんやの話
2週間のショートステイの間、みけちゃんとピースは仔猫ちゃんを威嚇することなく、どちらかといえば興味深そうに代わる代わる見に来ていた。ということは、受け入れOK! 家族になれる! 大丈夫やん!
ショートステイのときに持ってきたケージ、毛布、食器、おもちゃ、ごはんはそのまま使わせてもらうことにし、お泊まり猫から正式に、みけちゃんとピースの弟になった。
一通りの手続きを終えたあと、まだ目も開いてなかった仔猫を育ててきたボランティアさんは、帰りぎわ涙されていたので思わず、やっぱり戻しましょうかと声をかけると、
「毎回さみしくなるんですけど、そんなこと言ってたらきりがないし、この子は村上さんに託します」
と言われ、内心めっちゃほっとした。だってショートステイの間にすっかり愛情がわいていたし、みけちゃんもピースも受け入れてたから、その時点でもう家族やん。
2週間が経つ前に名前は決めてあった。
「パレオ」
ピースのときと同じで、庭に咲いているバラからつけた。
まだ小さすぎたから少しずつ慣れさせようということになり、しばらくはケージのなかで過ごしていたのだけど、どうもうんちが緩い。いや、緩すぎた。最初は仔猫だからか? とか、環境が変わったせいかと思っていたけどそれにしても緩すぎたから病院で検査をしてもらった結果、おなかにコクシジウムという虫がいる「コクシジウム症」だと分かった。病名もさることながら、みけちゃんもピースもそういうことと無縁だったから頭の中は「?」がいっぱい。
感染するから、とにかくケージに完全隔離し、使ってる毛布は毎日消毒。パレオを触ったら必ず手を洗う、などなど注意があり、ちょっと緊張した日々だった。
そしてボランティアさんのところにもたくさんの猫ちゃんがいるから万が一、感染してる子がいては大変と思い連絡をしたら、幸いどの子も感染していなくて、病気の子を引き取ってもらうのは申し訳ないから、ほかの子と交換させてと言われたけど、縁あってうちに来たパレオ。交換とかそんな気持ちは1ミクロンもなく、そうじゃなくて〜とお伝えし、結果的に治療費を全額出していただくことになった。
だってもう家族やったもん。一緒にいた時間とか日数とか関係なく、愛やん、愛! 愛情に時間なんて関係ないもんね。
それにこんなかわいい子もう絶対手放さへんもんね、って思うやん。完全隔離はかわいそうだったけど、そのときはまだケージのなかが生活の基本スペースだったことはよかったのかも。
それから数日経ち、やっとコクシジウム症が治って隔離から解放! やったー! これで姉弟一緒だ!!
―ぼく、いろいろ手土産持ってきたねえ。 一緒に持ってきた毛布は今も使ってるけどねえ ―パレオ
村上 しいこ
児童文学作家
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