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市営団地に30年、「退職金3,000万円」「貯金4,000万円」の共働き夫婦、60歳定年後に念願の田舎暮らしを実現…年金月35万円で余裕の老後のはずが一転、突然の終焉を迎えたワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月17日 8時15分

市営団地に30年、「退職金3,000万円」「貯金4,000万円」の共働き夫婦、60歳定年後に念願の田舎暮らしを実現…年金月35万円で余裕の老後のはずが一転、突然の終焉を迎えたワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

学校を卒業して以来、40年近く、働き詰めの毎日。そんな会社員のひとつの区切りとなるのが定年です。セカンドライフ、どのように過ごしたいかと思い描いているなかで、都会を離れて田舎へ……と、憧れを現実にする人たちも。ただ夢の先にあるのは、甘い話だけではないようです。

結婚以来、市営団地暮らしでコツコツと貯金…いよいよ夢を実現する時がきた!

日本では65歳以上を高齢者、65~75歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義していますが、実際に「自分は高齢者だ」と意識するのは何歳からなのでしょうか。

60歳以上を対象とした内閣府『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』によると、「自身を高齢者だ」と意識している人は、「60~64歳」で19.1%、「65~69歳」で30.7%、「70~74歳」で49.2%、「75~79歳」で68.8%、「80歳以上」で86.2%。半数を超えるのは75歳以上で、いかに昨今は「元気なお年寄りが多い」かが分かります。

一方で定年年齢の主流は60歳ですが、来年からは65歳までの雇用確保が義務となり、さらに現在、70歳までの雇用確保が努力義務になっています。長い長い定年後、働くのもよし、セカンドライフをスタートさせてもよし。どうするかは人それぞれといったところです。

ともに60歳で定年を迎えたという、里田浩二さん・由美子さん(ともに仮名)夫婦。結婚したのは、今から30年ほど前で、ちょうど共働き世帯と専業主婦世帯の割合が拮抗(きっこう)していた時代です。2人の子宝に恵まれましたが、夫婦は共働きを選択。お互いの実家は地方で、親(祖父母)のサポートは得られず、子育ては大変だったといいますが、50代前半で下の子が大学を卒業し、子育てからは解放。あとは2人のセカンドライフを考えるだけ、というタイミングで、「定年を迎えたら、田舎に移住しよう」という案が急浮上したといいます。

子どもが生まれてから、何度かマイホーム購入を検討したといいますが、なかなか決めきれず。その大きな理由が、住まいである市営団地、その周辺に子どもたちの友人が多数いたから。「絶対、転校したくない!」「お友達と離れたくない!」という子どもたちの願いを大切にしていたら、市営団地での生活は30年を超えていたといいます。

――おかげでお金は十分貯まりました

コツコツと続けてきた預貯金は4,000万円、さらに定年退職金が2人で3,000万円と、合わせて7,000万円。年金支給が始まるまでの5年間で必要な生活費を1,500万円、老後資金として2,000万円を確保したら……田舎暮らしスタートの軍資金は3,500万円。実に堅実的なシミュレーションで物件探しを始めると、由美子さんの地元近くで、900万円で状態のいい古民家を発見。敷地面積は300坪と広大で、自家菜園し放題。最寄り駅まで車で30分と交通の便には難はあれど、車を運転できる間は何ら問題はなく、またコミュニティバスも走っているので、車を手放しても何とか生活もできそうでした。

熟考の末、里田夫婦は定年後に田舎暮らしをスタートさせます。

お金を全然使わない充実の「田舎暮らし」だったが、もうここでは暮らしていけない

田舎暮らしをスタートさせてから、コツコツとDIYで古民家を修復。二人が思い描いた住まいが完成したとか。

また65歳からは年金生活がスタート。夫婦の受取額は月35万円ほどだといいますが、「田舎だとお金を使っても月10万円ほど」だといい、まさに悠々自適な夢見た老後が実現したといいます。

――市営団地での暮らしにも愛着はありますが、住み替えて本当によかった

内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、高齢者に住み替えの意向を聞いたところ、「あり」「将来的に検討したい」が合わせて30.4%。特に賃貸住宅に住んでいる場合は、55.9%が「あり」「将来的に検討したい」と回答しています。

住み替えの意向を持つようになった理由としては、最多が「健康面・体力面で不安を感じるから」で24.8%。「自身の住宅が住みにくいと感じるから」18.9%に続き、里田さん夫婦のように「自然豊かな環境で暮らしたいから」が10.3%で続きます。

また住み替え先として、「実家がある」「(実家以外で)住んだことがある」となじみのある場所を志向する人は49.7%。まったくなじみのない場所を志向する人はかなりの少数派で4.9%でした。

理想的な老後。ただ里田夫婦の田舎暮らしは、急に終わりを迎えます。ある暑い夏の日、「草むしりをしてくる」と外に出たまま戻ってこない浩二さんを心配し、様子を見に行った由美子さん。そこで畑で倒れている浩二さんを発見。熱中症で意識を失っていたのです。命に別条はなかったものの、歩行障害が残ったといいます。

そうなると不便な田舎暮らし。「もう、ここでは暮らしていけない……」と、利便性を考え、定年前に住んでいた街へ転居。田舎暮らしはわずか7年ほどで終わりを迎えてしまったのです。

前出の白書に戻ると、「住み替え先で期待すること」として、最多は「買い物が便利であること」。ほか「医療・福祉が充実していること」「交通の便がいいこと」が圧倒的に支持されている要素です。老後は静かで自然豊かなところで……そんな憧れを抱く人は多いものの、実際に住み続けることは難しいことかもしれません。

[参考資料]

内閣府『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』

内閣府『令和6年版高齢社会白書』

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