資産運用の心強い味方「投資信託」だが…投資初心者が“決して手を出してはいけない銘柄”の特徴【杉原杏璃が警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月7日 7時15分
数ある金融商品のなかで、投資信託は初心者に最も適している金融商品のひとつです。とはいえ、当然すべての投資信託がそうかといわれると、そんなことはありません。なかには“決して手を出してはいけない”銘柄も……そんな「NGファンド」の特徴について、杉原杏璃氏の著書『マンガでよくわかる資産運用1年生 億り人杉原杏璃と一緒に』(かんき出版)より、詳しくみていきましょう。
投資信託は“短期売買”に向いていない
投資信託について、こんなことを聞かれたことがあります。「投資信託を買ったら、どのくらい持てばいいのでしょうか」と。
株式の場合、私は株価が購入した時よりも下がった場合、根気強く自分が買った株価を上回るまで持ち続けることがほとんどです。それは投資信託についても同じです。
投資信託の場合、むしろ株式以上に長い時間軸で投資したほうが良いかも知れません。というのも、そもそも投資信託は短期売買に向いていないからです。
なぜなら、まず購入時手数料を負担しなければならない場合、短期で解約・購入を繰り返すと、購入時手数料が物凄い負担になるからです。
仮に購入代金に対して2%の購入時手数料が取られるとしたら、短期間で10回、解約・購入を行うだけで20%の購入時手数料がかかります。20%ものコスト負担を、投資信託の運用成績でカバーするのは、非常に大変です。
次に、投資信託は非常に長期的な目線で運用計画が立てられ、それに沿って運用されていることです。投資信託会社の運用担当者は、できれば売却せずに持ち続けられるような企業を厳選して投資しています。
特に、アクティブ型で、組入銘柄数が20銘柄とか30銘柄に厳選して投資しているようなファンドの場合、その傾向が顕著です。
このように、投資信託会社が長期的な目線で運用計画を立てているのに、その投資信託を買う人が短期で解約してしまったら、その解約資金を用意するために、せっかく長期的な目線で選び、投資した銘柄を、短期間で解約しなければならなくなります。これでは、ファンドの運用成績が伸びていく前に解約にさらされて、運用そのものが立ち行かなくなる恐れが出てきます。
これらの点から、投資信託は短期のうちに解約・購入を繰り返すのには向いておらず、基本的には10年単位で保有し続けるものと考えた方が良いのです。また、これは後述しますが、長期で保有し続けられる投資信託を選ばなければいけないということでもあります。
投資してはいけない銘柄の特徴
投資信託だからといって、何を買っても良いというわけではありません。なかには買わないほうが良いと思われる投資信託もたくさんあります。
これは「絶対」といっても良いくらいなのですが、純資産総額の規模が小さいファンドは、買わないほうが良いと思います。
純資産総額とは、ファンドに組み入れられている株式や債券などの時価総額のことで、その規模が小さいということは、お金が順調に集まっていない、あるいは解約によってお金が減っていることを意味します。
具体的に、どのくらいの純資産総額だったらやめたほうが良いのか、ということですが、恐らく30億円を下回っているようなファンドは買わないほうが良いでしょう。
そして、実は多くの投資信託の純資産総額が、30億円を下回っているのが現実です。ですから、投資信託の本数が全部で約6,000本などと言われていますが、実態を言えば、その半分近くのファンドの純資産総額が30億円以下だったりします。
つまり、半分のファンドは買わないほうが良い、というのが、今の日本の投資信託の本当の姿だったりします。
なぜ純資産総額の小さいファンドがダメなのかというと、長期投資できなくなるからです。また、解約が多いファンドも要注意です。
結果的には、純資産総額の小さいファンドにいき着くわけですが、解約が止まらないような投資信託は、満足な運用ができなくなるリスクがあります。
日本の投資信託は基本的に、保有者が「現金化したい」と言ってきた時には、ファンドに組み入れられている株式や債券の一部を市場で売却して、解約資金を作ります。解約が止まらない場合、ファンドに組み入れられている資産をどんどん売却し続けなければなりません。
結果、将来の成長を見込んで投資した株式も売却せざるを得なくなります。そうなったら、ますますファンドの運用成績はじり貧になります。ですので、解約が続いている投資信託は買わないほうがいいでしょう。
杉原杏璃
投資家
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