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もっと早く年金をもらえばよかった…73歳男性「年金月30万円に増額」も〈繰下げ受給〉を大後悔している理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月16日 10時15分

もっと早く年金をもらえばよかった…73歳男性「年金月30万円に増額」も〈繰下げ受給〉を大後悔している理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」にも、大きく記されている「年金の繰下げ受給」。「(65歳での受取り開始と比べて)最大84%増額」と、魅力的な文言で推されています。ただ制度を利用し大きく受取額が増えても、後悔を口にする人もいるようです。

ねんきん定期便でも激推しされている「年金の繰下げ受給」

毎月、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」。35歳、45歳、59歳の節目の年には封書で、そのほかは圧着ハガキで届きます。保険料の納付記録や、将来の年金受取額が書かれているので、1年に1回、きちんと目を通しておきたいものです。

50歳未満の「ねんきん定期便」。その表面には、「これまでの加入実績に応じた年金額(昨年)」の上に金額が記され、その右隣に「これまでの加入実績に応じた年金額(今年)」の上に金額が記されています。「保険料を納付した分、これだけ年金が増えたんだ」と目で見ても分かるわけです(図表1)。

さらに、その右隣には今後の加入状況に応じた年金額(65歳時点)と記され、「今後の加入状況に応じた年金額(75歳まで遅らせた場合)」のイメージ図も。「はて、これはなんのことか」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、さらにその上には「年金の受給開始時期は60歳から75歳まで選択できます。年金受給を遅らせた場合、年金額が増額します」と記されています。

50歳以上の「ねんきん定期便」にも似たような記述(図表2)。「老齢年金の見込額(X歳時点)」、その右隣に「老齢年金の見込額(70歳まで遅らせた場合)」、さらにその右隣には「老齢年金の見込額(75歳まで遅らせた場合)」と記され、その上には金額が記されています。

「はて、これはなんのことか」と疑問に思えば、ここでも「年金の受給開始時期は60歳から75歳まで選択できます。年金受給を遅らせた場合、年金額が増額します」との記述。

これは原則65歳から受け取れる老齢年金を66~75歳の希望するタイミングで受け取れる「年金の繰下げ受給」についての説明。1ヵ月受給開始を遅らせると、65歳で受け取れる年金額に対し0.7%の増額となり、5年遅らせると42%、10年遅らせると84%増額となります。

「老後資金2,000万円不足問題」により、「老後資金が足りない!」と騒がれましたが、それであれば「年金の受取額を増やせばいいんじゃない」と、ひとつのアンサーになっているわけです。

65歳以降も給与があるから…「繰下げ受給で年金70%増額」も、なぜ後悔?

実際にどれほどの人が「繰下げ受給」を利用しているのでしょうか。

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 』によると、厚生年金の繰下げ受給者は37万4,481人。これは老齢厚生年金受給権者2,746万3,864人の1.3%。この5年間で0.7%→1.3%、数にして18万人が繰下げ受給を利用しています。

実際に繰下げ受給制度を利用した内藤登さん(仮名・73歳)。65歳時点の年金額は月16万円程度でしたが、40年以上、仕事ひと筋だったため、現役を引退してもやることが見当たらず……65歳以降も引き続き働き続けると決めたときに、「それであれば、必要になってから年金を受け取れるようにしたらいい。そのぶん、年金が増える」とアドバイスされたのだとか。「そのほうが将来的にいいかな」と思い、今に至ります。

先日、仕事を辞め、年金を請求。増額率は70.0%となり、65歳で16万円だった年金は27.2万円、さらについ最近まで保険料を納めていたことで、さらに年金額は増え、月29万円ほどになるのだとか。

――月に30万円近くも受け取れたら、老後も安泰ですね

そう思うかもしれませんが、内藤さんは「もっと早く受け取っていればよかった」と後悔を口にします。内藤さん、実は体を壊したことで仕事を引退。年金の受給を開始していました。医療費などもかさむので多くの年金がもらえるのは心強いものの、ここまで必要なのかといえば疑問符。

――仕事しかないなんて考えず、やりたいことを見つけていたら

――年金が増えたところで、使い道といえば病院代に薬代……むなしい

日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.14年。一方で「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は2019年時点で男性が72.68年、女性が75.38年。内藤さんは健康寿命を超えて働いていました。結果、老後、健康である期間に年金をもらうことなく過ごしてしまったわけです。

もちろん、将来の医療費や介護費用を見込んで繰下げ受給を選択するというのもひとつの考え方。自身がどのように年金を受け取れば納得できるのか、後悔しないのかも考えて、繰下げるかどうかを選択することが重要です。

[参照]

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』

日本年金機構『年金の繰下げ受給』

厚生労働省『令和5年簡易生命表』

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