1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

何度、手を合わせても…57歳ひとり娘が一生後悔を引きずる、年金14万円「老人ホーム」で亡くなった75歳母の最期の言葉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月20日 8時45分

何度、手を合わせても…57歳ひとり娘が一生後悔を引きずる、年金14万円「老人ホーム」で亡くなった75歳母の最期の言葉

(※写真はイメージです/PIXTA)

終の棲家について考えたとき、住み慣れた自宅と思い描く人が多いようです。しかし年齢と共に体の自由がきかなくなり、自宅で暮らし続けることが困難に。そうなると老人ホームへの入所というのも、ひとつの選択肢になるでしょう。ただ一度入所すれば、安心というわけではないようです。

要介護2の母親、さらにうつ病を発症…ひとり娘「私も潰れてしまう」

――このままでは、私も潰れてしまう

悲痛な言葉を口にする、松本由美子さん(仮名・57歳)。脳卒中で倒れた母(75歳)には麻痺が残り、要介護2。身の回りのこと全般に見守りや手助けが必要で、立ち上がるときや歩行のときには支えが必要。食事やトイレ、入浴も、ひとりでは難しい状態です。

15年前に父が亡くなって以来、母は実家でひとり暮らしをしていましたが、とてもこのような状況でひとりにさせるわけにはいきません。由美子さんは独身であったこと、職場には実家から通うほうが便利だったこともあり、実家に戻り、母の介護にあたるようになったといいます。

ただ仕事と介護の両立は、想像以上でした。日中、介護ヘルパーが来てくれるのと同時に出社し、早めに帰宅。ヘルパーとバトンタッチし、夜は基本的に由美子さんが母親を支えます。すでに入浴は済ませているので、食事やトイレ、着替えのサポートが中心。しかし、ほとんどの時間、見守っていなければならず、負担は大きなものでした。さらに、もともと明朗活発だった母親。病気が原因とはいえ、以前のように自由がきかなくなったことは大きなストレスだったようで、うつ病を発症。しきりに「死にたい、死にたい」と口にするようになったといいます。

――もう仕事と介護を両立させるなんて無理

――でも仕事を辞めたら、どうやって生きていけばいいのか

総務省『就業構造基本調査』によると、2022年、介護を理由に離職した人は10万6,000人。昨今は、介護者に対するサポートも充実してきて、15年前の2007年、14万4,800人と比較すると減ってはいますが、近年は10万人前後で推移。一定の介護離職者が出ている状況です。

仮に介護離職になった場合、その後、仕事に復帰しようにも、離職前のように働くのは難しいという実情があります。実際に介護離職後に離職前と同様に正社員として再就職できたのは半数以下。このような事情もあり、復職したとしても収入が大きく減ってしまいます。そうすると、自身の老後設計にも大きな影響を与えてしまうことが懸念されます。

さらに介護離職した場合、社会から孤立してしまうという懸念があります。介護者も精神的に追い詰められ、最悪の場合、悲しい事件という結末を迎えてしまう場合もあるのです。

老人ホームへの入居を快諾した母は、急激に元気を失くしていった

ケアマネージャーにも相談したところ、老人ホームへの入居を検討したらどうかとアドバイス。プロとして相性が良い施設を紹介することもできるといいます。

ただ由美子さん自身、老人ホームに良い印象はありません。昔は「姥捨て山」と言われ、「親を老人ホームに入れるなんて親不孝者!」と罵られたもの。そのようなイメージが強かったのです。ケアマネージャーにそのことを素直に言ってみたところ、「一度、見に行くといい」と、見学の段取りもしてくれたといいます。

実際に目にした老人ホームは、思い描いていたものとはまったく違いました。入居費用を見積もってもらったところ、月14万円程度の母親の年金でも、何とかなりそうであることが分かりました。

――ここならお母さんも納得してくれるはず

そう思い、母親に相談。すると予想に反して快諾してくれたといいます。

――「自宅を離れるのはイヤ!」と猛反発をくらうかと思っていたのに

こうして老人ホームに入居した母親。これで安心と思っていましたが、ホームに入ってから萎んだように元気を失くしていったといいます。そしてホーム入居から8ヵ月後、息を引き取りました。

怒涛の日々を振り返り、毎日、母の遺影が飾られた仏壇に手を合わせる由美子さん。後悔を口にします。

――息を引き取る前に、聞こえるか聞こえないかの声で言ったんです、母は「家に帰りたい」って

老人ホームへの入居を快諾した母親でしたが、実は「このままでは、私も潰れてしまう」という由美子さんの言葉を耳にしていたといいます。「これ以上、娘に迷惑をかけていられない」と考えたのでしょう。快諾をしたふりをしてくれていたと、振り返ります。

公益財団法人日本財団が行った『人生の最期の迎え方に関する全国調査』によると、人生の最期を迎えたい場所「自宅」が58.8%と半数を超え、一方で避けたい場所としては「介護施設」が34.4%でした。

――せめて、最期の願いくらい叶えることはできなかったのか

何度、亡き母に手を合わせたところで、後悔の念は消えません。

[参照]

総務省『就業構造基本調査』

公益財団法人日本財団『人生の最期の迎え方に関する全国調査』

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください