1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

先週、一時「1ドル=149円台」まで反発も…国際金融アナリストが示唆する、米ドル/円「下落トレンド」への転換の可能性

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月20日 11時0分

先週、一時「1ドル=149円台」まで反発も…国際金融アナリストが示唆する、米ドル/円「下落トレンド」への転換の可能性

(※画像はイメージです/PIXTA)

先週、一時は149円台まで反発した「米ドル/円」。しかし、すぐに147円台へ反落するなど「米金利上昇=米ドル高・円安」は伸び悩む結果となり、米金利はすでに「低下トレンド」に転換した可能性が高い、とマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は考察します。今週の相場の展開予測と合わせて、詳しく見ていきましょう。

8月20日~8月26日の「FX投資戦略」ポイント

<ポイント> ・先週は、木曜日に発表された米小売売上高の予想より強い結果などから、米景気への懸念が後退、米金利が上昇すると、米ドル/円も149円台まで反発した。

・ただ金曜日には147円台へ反落するなど、「米金利上昇=米ドル高・円安」も伸び悩む結果となった。

・テクニカルに見ると、米金利は金利低下トレンドへ転換した可能性が高くなってきた。その意味では「米金利上昇=米ドル高・円安」は限られそう。今週の米ドル/円は144~150円で予想。

先週の振り返り=米景気懸念後退で149円まで米ドル反発

先週の米ドル/円は、木曜日に発表された米7月小売売上高などが、予想より強かったことを受けて、一時149円を大きく越える一段高となりました。今月初めの予想より弱かった雇用統計の結果などの影響で、米景気への懸念が広がったことへの修正が入ったと考えられます。

ただし翌金曜日には、米ドル反落となりました(図表1参照)。

結果として、米景気への懸念後退に伴う「米金利上昇=米ドル反発」は長続きせず、一時的な動きにとどまりました。

それはなぜだったのか? 1つの考え方として、米金利がすでに「金利低下トレンド」に転換したことから、金利上昇への反応が限られ、金利低下に動きやすくなっている可能性があります。

米長期金利の10年債利回りは、足下で4.3%程度の52週MA(移動平均線)を、これまでに大きく下回りました(図表2参照)。

これは、2020年の「コロナ・ショック」以降、米金利上昇トレンドが展開したなかで、初めての現象です。その意味では、複数年にわたる継続的な動きであるトレンドが、金利上昇から低下へ転換したとも考えられます。

経験的に、米金利が低下トレンドに転換した場合、それと逆行する一時的な上昇は、最大でも52週MA前後までにとどまり、基本的には、52週MAを3割以上下回る動きに向かう可能性が高かったようです(図表3参照)。

これを今回に当てはめると、米10年債利回りの上昇は限られ、基本的に3%割れに向かう流れに入っていることになります。以上から、予想より強かった小売売上高などの結果に対する「米金利上昇=米ドル高」の反応が限られたことも、納得できるのではないでしょうか。

今週の注目点=米9月利下げは0.25%か0.5%か!?

米ドル/円は、先週末に足下で150.6円程度の52週MA(移動平均線)を3週連続で下回りました(図表4参照)。

経験的には、52週MAを1ヵ月以上と「長く」、5%以上と「大きく」ブレークした動きは、一時的ではなく、継続的な動き、つまりトレンド転換の可能性が高くなります。

以上、52週MAとの関係から判断すると、米金利は低下トレンドに転換した可能性が高いものの、一方で、米ドル/円は未だ下落トレンドへの転換を試す局面が続いているといった理解になりそうです。

とはいえ、米ドルは基本的に米金利の影響を大きく受けます。米金利が、これまで見てきたように低下トレンドに転換した可能性が高いのであれば、それに加えて、米ドル/円の下落トレンドへの転換の可能性も高まるかどうか、大いに注目されるのではないでしょうか。

それにしても、「米金利低下=米ドル安」への転換が、なかなか現実とならなかったのは、予想を超えた米景気の強さがあったと考えられます。

先週の、予想より強かった米小売売上高を受けた世界的な株高、金利上昇といった「逆ショック」は、まさにそれを再認識させたのではないでしょうか。

ちなみに、定評の高いアトランタ連銀の経済予測モデル、GDPナウが16日に更新した7~9月期の米実質GDP伸び率予想は、2%となっています。4~6月期の米実質GDP伸び率の速報値は、前期比年率で2.8%という高い結果となり、それからは減速するものの、あくまで緩やかな減速にとどまるとの見方になっています。

その状況下で、一時は9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げは、一気に0.5%の大幅なものになるという見方から、先週はやはり0.25%の利下げにとどまりそうとの見方となり、それが149円台までの米ドル買い材料の1つになりました。

今のところ、9月の利下げ見送りとの見方にはなっていませんが、9月18日開催予定のFOMCまでに発表される雇用統計や小売売上高などの結果が、注目される状況は続きそうです。

私は、52週MAを参考に、米金利はすでに低下トレンドに転換した可能性が高いと考えています。それを前提にすると、米ドルの反発も限られるのではないでしょうか。

以上を踏まえると、今週の米ドル/円予想レンジは、144~150円と想定します。

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください