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父の前では贅沢できず〈タンス預金1,000万円〉をせっせと貯めた70歳母…父亡き後、様子が激変。40歳娘が目を疑った、実家にある「ネズミ色のスーツケースの中身」【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月25日 11時15分

父の前では贅沢できず〈タンス預金1,000万円〉をせっせと貯めた70歳母…父亡き後、様子が激変。40歳娘が目を疑った、実家にある「ネズミ色のスーツケースの中身」【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

タンス預金には空き巣や火事により財産を失ってしまうなど、さまざまなリスクがあります。しかし、現金主義の根強い高齢親の世代では、タンス預金を何年も続けているという人も少なくなく……。自分の親のタンス預金を見つけたら、あなたはどうしますか? 放っておくと想定外の事態となることも。本記事では、Hさんの事例とともに、高齢親の資産管理について、FPの三藤桂子氏が解説します。

想定より早くおひとりさまに

Hさんの夫は中堅企業のサラリーマンでした。同居していたひとり娘は独立。現在は結婚して、夫の会社の社宅で暮らしています。

夫が60歳のとき、退職金として1,000万円というまとまった収入がありました。購入から30年が過ぎていた都内近郊の分譲マンション。退職金のうち200万円を支払って、マイホームの住宅ローンを完済しました。

住宅ローンの呪縛から解放されて少し経ったころ、夫は73歳で急性心不全にて他界しました。夫は年齢の割にめずらしく、高血圧気味ではあるものの、大病したこともなかったため、Hさんはきっと長生きするだろうと思っていました。しかし、予期せぬタイミングで訪れたあっけない別れ。70歳にして突然Hさんは1人で暮らすことになったのです。

Hさんの収入は年金のみ。遺族年金と自身の老齢年金とで、生活することになります。Hさんの年金収入は次のとおりです。

Hさんの老齢年金は2024年度額の満額の老齢基礎年金とする。 夫の老齢厚生年金の計算は41万円×5.481÷1,000×500月=112万3,605円、遺族厚生年金額は112万3,605円×3/4=84万2,703円とする。 ※加算等は考慮せず。

Hさんの1ヵ月の年金収入としては、月額13万8,000円ですが、遺族年金は非課税のため、介護保険料等は抑えられるでしょう。住宅ローン等がないHさんは、倹約しながらであれば年金収入のみで賄っていけそうです。夫の退職金は、夫の葬儀代に使いました。残りは今後のマンション管理費等の引き落としにする予定です。

一見経済的になんの問題もないようにみえますが、娘からすると、高齢になって、1人で暮らす母が心配でたまりません。ずっと専業主婦だったHさんのことを、少し世間知らずなところがあると思っているのです。しかし、Hさんは「あなたの世話にはならず暮らしていけるだけはあるから、心配しないで大丈夫」といいます。

それでも心配の言葉を繰り返す娘に、焦れたHさんは娘に打ち明けました「じつはお父さんにも内緒だったんだけれど、結婚したときからへそくりをしていて。ほら、使っていないネズミ色のスーツケースがあるでしょう。1,000万円くらいは入っているの」。

そういって母はネズミ色のスーツケースを持ち出し、中を開けてみせてくれました。紙幣が金種別に束ねられており、几帳面な性格の母らしさが表れています。大事に整えられている紙幣からは、いままで頑張って貯めてきた思いが伝わってきました。

「すごいね。でもこんな大金を家の中に置いておくなんて不用心だよ。泥棒や火事に遭ったらすべてパーになっちゃうよ」娘は母を諭そうとします。しかし「これは、昔からの癖みたいになってしまっているのよ。どうしてもやめられないの。これをみると、心が落ち着くの」頑なな様子に言い争いを避けるため、娘はこの件についてこれ以上話すことをやめました。

貯金だけが趣味だった母、夫から解放されて…

Hさんは夫の手前、贅沢を一切することなく生活してきました。1人になって時間を持て余すことが増えたことから、近所の友人夫婦の勧めで、シニアクラブの集まりに参加してみることに。

いままでサークル等、集まりや人との付き合いにはあまり積極的に参加してこなかったHさん。これまでで一番切なかった思い出は、娘の中学校の付き合いでできた友人たち(現在でいうママ友)が誘ってくれた長野旅行へ参加できなかったことです。

娘つながりで顔を合わせる仲となったとはいえ、非常に馬の合う友人たちでした。そのため、Hさんはどうしてもこの旅行に参加したかったのですが、ついに夫の許しが出ませんでした。それから何度かそうしたチャンスはありましたが、集まりへもイベントへも欠席率が高いHさんは、付き合いが悪いと思われたのか、次第に友人たちとも疎遠に……。

Hさんにはそうした昔のしこりがどこか胸の中に残っていたようです。好きなときに出かけられる、好きな友人に会いに行ける環境は、新鮮に感じます。シニアクラブの年齢層は60代から90代で、Hさんのように配偶者に先立たれた、おひとりさまも多くいます。

おひとりさまは、一般的に、お金も時間も自由に使うことができます。Hさんは既往症もなく、毎日自由な時間が多いため、シニアクラブ以外でも誰かを誘わずとも、ランチに旅行にとアクティブに出かけるようになりました。

いきいきと暮らす母、不安が募る娘

電話で話す母は、思い切って入会したシニアクラブがとても楽しいと、いきいきとした声をしています。楽し気な母の様子に喜ぶ一方、羽振りがよくなっていることを悟った娘は、不安が募ります。

父が亡くなった当時は、放心状態で家に引きこもりがちだった母が、ここ1年で雰囲気が大きく変わりました。明るくなったことは喜ばしいです。しかし、最近は食事や旅行等、頻繁に出かけているようで、母にお金の管理がきちんとできるのか、疑わずにはいられません。

娘は「お母さんが、楽しく過ごしているのは嬉しいけれど、お金、本当に大丈夫?」と尋ねると、母は「もちろんよ」と誇らしげに答えます。

「1,000万円」あるはずのスーツケース、開けてみると…

久しぶりに娘がHさんの家を訪れました。娘の気がかりはあのネズミ色のスーツケース。母親が夕飯の買い物に出かけているあいだに、そっと覗いてみました。

以前は1,000万円だったけれど、少しは減っているだろうな、そう思っていた娘は目を疑います。なんと、スーツケースの中には小銭が散らばり、ほとんどのお金がなくなっていたのです。

帰宅した母に、娘は詰め寄ります。「自分のお金だからといっても、いままでコツコツ貯めたタンス預金をたった1年でいくら使ったの?」

母は娘の問い詰めに戸惑いながら、「お父さんが生きていたころは、お金を自由に使えなくて、唯一、生活費で残ったお金を貯めるのが楽しみだった。おしゃれも旅行も行く機会がなかったから、今回、シニアクラブに入って知り合った人たちから誘いを受けたら嬉しくなって散財してしまった」とのこと。

初めての自由に、楽しさのあまり「いまだけ、いまだけ」といままで我慢してきたことがあふれ出るように使ってしまったとのことです。

夫婦がおひとりさまになってからのマネープラン

人生100年とするならば、高齢期のライフプランの転換期は、定年退職や介護が必要になるタイミング、さらにはHさんのようにおひとりさまになるタイミングが考えられます。

また、収入のない専業主婦が貯めたタンス預金は税務調査などにより、あとから税金の追納をもとめられることもあるため、この点でも注意が必要です。

家庭、特にお金に関する悩みは、なかなか人に相談できないという人もいます。家族がこまめに連絡をとったり、訪問したりすることで、いままでと違ったサインを見逃さずにリスクを回避することも可能です。もしくは定期的に専門家に相談することも一案でしょう。

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

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