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“消えゆく地元なじみの飲食店”後継ぎがいない高齢店主に救世主…常連客「この味を残したい。継がせてくれ」の急展開【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月26日 11時45分

“消えゆく地元なじみの飲食店”後継ぎがいない高齢店主に救世主…常連客「この味を残したい。継がせてくれ」の急展開【弁護士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化を理由に飲食店が閉店してしまうケースが相次いでいます。子どもがいても後を継がない選択がされる時代です。そのようななかで、その土地、人々に慣れ親しんだ飲食店がなくならないように、常連客が後を継ぐ場合もあります。そこで、ココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、飲食店の第三者への事業承継について、松尾裕介弁護士が詳しく解説します。

もう限界…お店はもってあと2~3年

相談者のももちゃんさんは、従業員数名の飲食店を経営しています。長年地元に愛され、常連客も多いものの、体力の限界からあと2~3年でお店を閉めようと思っていました。後を継ぐ息子や娘はいません。

そのようななか、常連客の1人が「この味を残していきたいから後を継ぎたい」と言ってきました。長年通うお客で、人柄やプライベートのことなど、なんでも話してきた間柄です。安心して任せられるとは思っているものの、いざ継がせようとなるとなにをすべきかわかりません。

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。  

(1)法的トラブルなくスムーズに引き継ぐにあたって、いまからすべきことはなんでしょうか?

(2)ほかの従業員や取引先への対応で、注意すべき点はありますでしょうか?

(1)スムーズに引き継ぐためにいまからすべきこと

法律の専門家や事業承継(M&A)サポート機関への相談

「引き継ぎ」というと、なんだか簡単にできそうですが、実際のところ「引き継ぎ」、すなわち、飲食店の「事業承継」のためには、さまざまな検討すべき事項があります。

たとえば、飲食店などの中小企業における事業承継は、事業承継の手法(親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A))の選択後継者の選定事業承継における法的手続(株式譲渡、事業譲渡など)事業承継契約書の内容の確定事業承継に関する税制事業承継補助金や事業承継支援融資の活用などの多方面における、非常に専門的な知識が欠かせません。

そのため、事業承継をスムーズに引き継ぐにあたっては、法律の専門家や事業承継(M&A)サポート機関への相談が欠かせません。経験豊富な専門家からのサポートを受けることにより、事業の譲渡側及び譲受側がスムーズに事業承継に着手でき、安心して事業承継を実施でき、また、一般に、事業承継の成功の可能性も高まると考えられます。

1人で考えても、なかなか結論が出るものではありませんので、まずは、法律の専門家や事業承継(M&A)サポート機関などに気軽にご相談されることを強くお勧めします。  

事業の現状把握、株式・資産の整理

事業承継のためには、事業の現状把握が大切です。株式の保有者が誰か、事業用の不動産や資産がどれだけあるか、第三者の名義になっていないかなどを把握することが肝要です。

会社形態の場合には、株式の把握が非常に重要です。特に、株式が分散していたり、 一部の株主が所在不明であったりすると、事業承継の重大な障害となるおそれがあります。また、飲食店など家族経営の場合には、譲渡側の財産と経営者の個人財産が明確に分離されていないケースも少なくなく、明確に区別して財産を整理する必要があります。

後継者の選定

常連客がお店の後を継ぐことを希望しているとのことですが、事業の継続のためには、常連客の意思が強固なものであるのか、実務への理解や経営能力の有無など後継者として相応しいかなどの確認、検証も必要と考えられます。

また、親族や従業員に後継者候補がいないことを確認しておくことも肝要です。具体的には、子どもや兄弟など身近な親族が承継する意思がなく、親族以外に事業承継されることの確認、了承を取っておくこと、従業員に後継者候補がいないことを確認することが、事業の継続や後々の紛争回避には重要であると考えられます。

(2)ほかの従業員や取引先への対応で注意すべき点

秘密保持を特に気を付けることが大切になります。外部はもちろん、親戚や友人、従業員や取引先に対しても、事業承継を知らせる時期や内容には十分に注意する必要があります。

ほかの従業員や取引先に不用意に情報が漏れたり、経営者の不用意な一言でトラブルが生じ、事業承継が頓挫してしまう、取引先の喪失や従業員の退職などの事態が生じてしまうといったケースもあり、情報の取扱いには、特に慎重な対応が認められます。

事業承継にかかる契約書の締結

事業承継を実施するうえで必要な手続き・工程は複雑なため、契約書に定めて合意しておくことで、可能な限り事業承継後の不測のトラブルや紛争を回避することができます。  

具体的には、事業承継にかかる契約書において、事業承継の方法(一般には、株式譲渡、事業譲渡など)を定めます。たとえば、譲渡の対象となる事業や財産、譲渡の時期、譲渡の対価、支払時期・方法、経営者や従業員の処遇、表明保証条項、クロージングの前提条件、競業避止義務、契約の解除事由、補償の内容などの条項について合意し、契約を締結します。

譲渡側および譲受側双方が納得した形で事業承継を成功するために、各局面で細心の注意を払う必要があり、また、契約書の作成は非常に専門性が高い事項であり、弁護士など法律の専門家のサポートのもと、慎重な対応が求められます。

なお、最終的な契約締結前に、主に譲受側がデュー・ディリジェンス(DD)を行い、譲渡側の財務・法務・税務等の実態について弁護士や税理士などの専門家を活用して調査し、デュー・ディリジェンス(DD)において洗い出された問題点を契約書に反映させたり、譲渡対価に反映させるといったこともあります。

飲食店の事業承継は国による支援も

このように、事業承継には、さまざまな検討すべき事項があります。しかし一方で、飲食店の後継者不在問題の解決の観点からも、国は事業承継税制や経営承継円滑化法の改正、食品衛生法の改正により飲食店営業許可の地位承継も可能にする、事業承継補助金を設けるなど、事業承継を積極的に行うようさまざまな対策や支援を行っています。

長年愛されてきた飲食店の味や伝統が次の世代に引き継がれ、地域の人々にとっての大切な場所として残り続けることは非常に喜ばしいことであり、少しでもそのようなケースが増えることを願って止みません。

事業承継を検討される際には、まずは、弁護士など法律の専門家や事業承継(M&A)サポート機関などに気軽にご相談ください。  

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